思考の整理学の話その3「拡散的思考と収斂的思考」の2つの思考を区別する。
週末3週連続の「思考の整理学」の話。最近私は「私自身の思考はどのようになっているのか?」に興味あります。今回の話は「拡散と収斂」という2つの思考について。
思考に関して「拡散と収斂」の2つ作用を区別するのは重要。
収斂的思考による、思考の整理は比較的に簡単。しかし収斂的思考は思考の半分にすぎない。しかも受動的半分。
創造的半分は拡散的思考。
エネルギーによって生み出される思考である。
日本の社会がこの拡散的思考を充分に理解・認識しないのは不幸である。
週末のお供の本「思考の整理学」
「拡散と収斂」の章
われわれには二つの相反する能力がそなわっている。
① 拡散的作用
与えられた情報などを改変しよう、それから脱出しようというもの
② 収斂的作用
バラバラになっているものを関係づけ、まとまりに整理しようとするである。
例えば話の要約について。十人十色正解はない
かりに十人の人に、三分間の話をして要約を書いてもらうと十人十色のはずだ。
つまり「正解はない、ことになる。」
数学には正解があるけれども、要約には正解は存在しない。
要約をするには拡散的思考がはたらいている。
入試の小論文に正解があるのか?
入試で小論文がある。
お題を与えて文章を書かせる。
収斂するわけがない。正解の文章なんてあるわけない。
しかし、おどろくべきことに、ほとんどが同じことを書いている。
おそらく、入試対策の効果をあげすぎたせい。
つまり小論文にも数学と同じような答が求められていると考えているのか?
繰り返すが、作文の文章である。
一字一句まったく違わないということはあるまい。
しかし、言わんとするところがまったく同じであれば、収効的思考によってのみ文章を書いたことになる。
そういう文章からは個性を読みとるのは不可能であろう。
本来人間は強い拡散作用を備えている
各人は正しく、正しくと心掛けている。
それなのに、拡散作用がしのび込んで、メッセージを化けさせる。
デマは、見方によれば、自由な解釈にもとづく伝達の花だということにもなる。われわれはだれでもデマの担い手となる資格をもっている。
拡散作用によって生れたもの
拡散作用によって生れたものは、散発的である。線のようにはまとまらないで、点のように散っている。点と点とは一見、相互に関係がないように思われる。
すべてのことに、正解がある!という錯覚
整理には、焦点が必要。
学校教育は、主として収斂性による知識の訓練を行なってきた。
いつも正解が予想され満点の答案がありうる。
長い間学校教育を受けていると、すべてのことに、正解がある!という錯覚におちいるのは、収斂能力だけを磨いているからだ。
答のない問題
答えの無い問題を収斂能力だけで解決するのは難しい。
正解が無いからね。
拡散的思考と収斂的思考
思考に関して「拡散的思考と収斂的思考」二つの作用を区別するのが重要である。
主に収効的思考で考えていたなら、思考の整理も比較的に簡単であったように思われる。しかし、収効的思考は思考の半分にすぎない。しかも受動的半分である。
創造的半分は拡散的思考、つまり、誤解をおそれず脱出しようとするエネルギーによって生み出される思考である。
例えば本を読む
作者の意図を絶対としてそれに向って読む収斂的読書。
それに対して、自分の新しい解釈を創り出して行く拡散的読書。
収斂派の心配事。拡散派はデタラメではないよ。
拡散的思考の生み出すものは、まとまりのつかない点。放っておいては、とんでもない混乱になってしまうと収斂派は心配してきた。
拡散派はデタラメに勝手放題なことを考えているわけではない。一見いかにも混乱のように見えても、充分に多くの点をとってみると、おのずから収斂に向っているのである。
例えば新しい言葉
人々はめいめい勝手なつかい方をする。拡散的使用である。収斂したくとも辞書の定義もない。ところが、ある歳月がたってみると、そのことばの意味はおのずから定まっているのである。拡散的思考がおのずから収斂しているみごとな実例である。もし、拡散のみあって収斂することを知らないようなことばがあれば、それは消滅する。
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