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プロジェクトマネジメントPMの実務 vol.2 『進まない時の12個の対策テクニック』

【組織は組織、個人は個人。という意識】

※この記事の対象者※
• 組織横断プロジェクトを担当している人
• 他部署や取引先を巻き込む役割の人
• 担当プロジェクトが進まずに悩む人

〚 この記事の結論 〛

• 担当の部署、役割、そして担当者の個性によって阻害要因は異なる

• 懸念点に多角的なアプローチを加えて不安材料を解消する

• 阻害要因はプロジェクトフェーズで異なる

• 環境変化や相手の立場に柔軟に対応する

〚 はじめに 〛

今回のテーマはプロジェクトマネジメントです。

 皆さんが担当している案件を他部署や社外の関係者を巻き込んで進めていく時に、必ずと言っていいほど進みが遅れたり止まったりすることがあるかと思います。

 私も企業買収(M&Aと呼ばれる業務)後の会社統合(PMIと呼ばれる業務)や既存事業の構造改革プロジェクトのマネジメントオフィスを担当してきましたので、そこでの実体験から有益な情報をお届けしたいと思います。


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前回の記事はこちらから。

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〚 コミュニケーションマネジメントの作業手順の流れ 〛

 プロジェクトの推進フェーズによっても課題は様々です。

その都度コミュニケーション手法を柔軟に変えていくことも重要になります。

ここでは、その大きな流れをまずは理解していきたいと思います。

《 作業手順の大きな流れ 》

① プロジェクトの立ち上げ期

② 施策の計画期

③ 施策の実行期

④ 進捗の管理期

一つずつ説明していきます。


① プロジェクトの立ち上げ期

 プロジェクトの目的から巻き込むべき関係者を特定します。

プロジェクトの成功に必要な要件を洗い出します。

どの部署の協力が必要なのか

だれの承認を要するのか

更には『どんなビジネススキルを持った社員が必要なのか』を、なるべく細かく、できればバイネームでリストアップしていきます。

この時『各関係者にどういったポジションでプロジェクトに関わってもらうのが一番効果的な推進体制なのか』も併せて設計します。

例えば、

意思決定の責任者

施策推進の責任者

アドバイザー

施策推進の実務メンバー

情報提供してほしいメンバー

情報共有すべきメンバー

などです。

 推進主体の部署や人物を見誤ると無駄なコミュニケーションが増えるだけでなく、何も決まらずにプロジェクトの機能不全を引き起こすリスクまでありますから、できるだけ慎重に議論したいところです。

だからこそバイネームで考えることをお勧めします。


② 施策の計画期

 その関係者を巻き込むために必要な要件を整理します。

 例えば、デイリー業務を多く抱える営業部を巻き込みたいとすれば、そのメンバーとなる営業担当のデイリー業務量を減らす交渉を営業部長とすべき可能性があります。

 例えば、グループの子会社・関連会社を巻き込みたい場合、事業計画や人事評価制度も異なっていてプロジェクトの利害が一致しないこともあり得ます。

グループ戦略の全社最適視点で協力いただくために、予め社長・役員同士の目的共有会議をセッティングして、ビジョンレベルでプロジェクトに共感いただく機会を作ることも必要だったりします。

 このように巻き込みたい関係者が何かしらの理由で協力してくれないということ事前に想定することで、予め起こり得る阻害要因を取り除くような働きかけが可能になります。

 この事前準備を疎かにしてしますと、納得しないまま無理やりプロジェクトに巻き込まれたという被害者意識が芽生えてしまいます。そうした不満が顕在化してからでは、協力体制を築いていくのも一苦労になってしまいます。

③ 施策の実行期

① で関係者を特定し、②で巻き込みに必要な要件を洗い出したら、さっそく巻き込みを開始します。

 計画に沿って各要人に対してコミュニケーションを図ります。

この時、計画はあくまで仮説であることは意識しておきたいです。

 関係者の『負』が想定とは異なる領域にあることも少なくないですから、実際にコミュニケーションをしながら実際のリアルな声を拾っていきます

 業務量が『負』だと思っていたら、部署のKPI設計が本質的な『負』だった、なんてことがザラにあるということです。

 他にも、成果評価を気にすると思っていた人物が、実は予算計上ルールや業務量負担をボトルネックだと考えていた、なんてことが起こり得ます。

 ですから、柔軟に巻き込み要件を修正しながら、コミュニケーションするのが成功の秘訣です。

④ 進捗の管理期

 プロジェクトに必要な関係者からの協力の合意をもらい適切な役割に落とし込むためのコミュニケーションは、関係者が多くなればなるほど複雑になります。

 プロジェクトマネジメントオフィス(推進事務局)では、この関係者のひとりひとりのステータスをモニタリングし、コミュニケーションに遅れが出ていたり、新たな阻害要因が発生している人物に対して組織的に働きかけを行っていきます。

そのために関係者全体を俯瞰した管理を意識して、優先度や進捗率を把握することが重要です。

AさんよりもBさんの協力が必要なのに、Bさんの巻き込みに時間を割いている状態はよろしくありません

 例えばプロジェクトの下に複数施策が紐づくような場合、規模の大きい重要な施策に欠かせない関係者の主体的な協力体制ほど重要になりますから、ここではそうした塩梅が成功の鍵となります。

いかがでしたでしょうか。

 プロジェクトがうまく進まない理由とその解決策についてまずは導入部分を理解いただけたかと思います。

 次回はどこかでより踏み込んだ私の経験談を実践編としてまとめたいと思います。

実践編では、プロジェクトが始まってから関係者が動かなくなる要因とそれに対しての具体的な打ち手を私の実体験を元に、読んですぐに使えるテクニックとして提供したいと思います。

まさにタイトルのテーマについてです。


〚 プロジェクトメンバーが動かなくなる12個の阻害要因 〛

・予算の取り扱い

・組織上の役割と責任範囲

・プロジェクトの方向性の理解

・正しい指示命令系統の選択

・納得のいく実態把握

・実行のリスクと対策

・あいまいな言葉の取り扱い

・事業全体の戦略理解

・過去の過ちの犯人捜し

・成果評価の明確化

・主体性の欠如

・実行プランの取り違い


※増えるかもしれません。

以上。

それでは、また。

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プロジェクトマネジメントPMの実務
『進まない時の12個の対策テクニック』

vol.1 https://note.com/mem_yu/n/ne8ac5b0c58ac

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vol.63

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