《後編》収益性を高める経営システムの作り方〜負のスパイラルからの脱却〜
【収益が改善する仕組みの作り方】
〜経営計画と予算管理と業務の三角関係〜
※この記事の対象者※
• 事業改革や収支改善が成果に繋がらない
• 中期経営計画や年度計画が機能しない
• 予算管理を徹底しても費用が下がらない
• 業務を遂行しても財務成果が見えない
今回は、私の本業である経営管理のノウハウをまとめました。
これは私がM&Aやベンチャー投資、事業の収支改善プロジェクトを推進する中で培った考え方です。
リテールセクターの事業会社での実務経験を通じて得た実践的な視点でまとめていますので、実務で課題意識を持つ方にはこの臨場感が伝わればと思います。
〚 この記事の結論 〛
• 経営システムの歯車が機能していないと施策は空回りする
• 『経営計画』『予算管理』『業務』の連動性に着目する
• 売上向上か費用削減に紐付かない業務を洗い出す
• 業務の財務的成果が見える環境を整える
〚 鳥の目で捉える経営エコシステム 〛
結論から言うとその原因は『事業計画』と『予算管理』そして『業務』の3要素が連動していないことで起きるシステムの不具合です。
従業員一人ひとりの行動とそれによる成果は、売上向上か費用削減のどちらかに紐付いている必要があります。
その一連の活動を方向付けるものとして経営計画という羅針盤が存在し、活動による成果つまり実績を正しく評価する指標として予算というものが存在します。
言われてみると当たり前のことかもしれません。
しかしながら、ほとんどの大企業でこの3要素は、それぞれ分断された部署ごとの個別最適の中で別々に作り上げられてしまっています。
それに加えて、従業員のほとんどは自分の部署に関係のない経営計画には興味がありません。
担当の売上や費用が管理会計上どの課目で管理されているのかも分かっていません。
さらに酷い場合は、自分の業務がどのKPIに紐付いているのかも分からないまま日々のタスクを熟しているなんてことも散見されます。
このような状態で「一致団結して改革だ!」といっても力点が定まっていないため、どんなに力を入れても大きな組織や事業はピクリともしないということです。
どれだけ真剣に取り組もうとも、力が分散されますから、部門間の衝突だったり、戦略やアクションプランの再整理などのコミュニケーションコストが積み重なり、むしろ全体の労働生産性はマイナスに働いてしまいます。
これが収益改善の進まない構造的な原因、『負のスパイラルの正体』です。
私も数年間これに気づかずに今思えば表面的な課題解決に翻弄され、無駄な労力を垂れ流してきました。
このカラクリに気が付いたきっかけは「ヒト」でした。
経営陣や従業員に全くやる気がないわけもなく、曲がりなりにも東証一部上場の大手で一流大学出身者ばかりで頭が悪いわけでもない。
生え抜きばかりで、いわゆる経営スキルを持った経営のプロはほとんど居ないとはいえ、戦略がマクロトレンドから大きく外れているわけでもありません。
それなのに、何年も何年も経営状況が変わらず、むしろ悪化の一途。
これはインフラ側に何らかの問題があるのではないか、と視点を変えたことがきっかけでした。
そして幸いなことに私自身、若手の頃から経営部門で仕事をしてきたことで、分断された経営システムの機能を一連のエコシステムとして視る目が養われていたことが構造理解が進んだ要因でもありました。
〚 勝手に収益が改善する仕組みを構築する実践テクニック 〛
『分断された経営システム』によって負のスパイラルが発生していたコトを説明しました。
ということは、『経営計画』と『予算管理』と『業務』が有機的に連動するような経営エコシステムが構築できたとすれば、正のスパイラルが生まれ、少ない力で大きな成果を上げられるのではないでしょうか。
これがまさに収益性を高める経営テクニックだと私は考えています。
私が考える実践的なテクニックを以下にまとめました。
《 経営エコシステムの作り方 》
• 予算に加えて収益性を図る指標(KPI)を導入する
• 業務を予算と紐付け進捗管理を可視化する
• 管理会計上の計上課目を最新版に修正する
• 予実管理は月次タームで徹底する
• 各部署に財務(予算)担当を配置する
• 管理会計P/Lを社内オープンにする
これによって『経営計画』と『予算管理』と『業務』のwin-win-winな三角関係が実現して、従業員の活動すべてが売上の向上もしくは費用の削減に該当するようになります。
〚 さいごに 〛
組織規模が大きくなればなるほど、コーポレートと現場の距離は拡大しますし、部門の数が増えて業務の縦割り化が深刻になっていきます。
すべての活動は売上向上もしくは費用削減に該当し利益に繋がるという原理原則を仕組み化することは言うは易し行うは難しです。
しかしながら、それすらも視えていないことで生じる『努力の空回り』ほど虚しいことはありません。
先に記載した実践テクニック『経営エコシステムの作り方』のそれぞれの項目に対して「どのように設計していくのか」「どのように導入していくのか?」という具体的な推進フローは今後時間をかけて記事化させていく予定です。
それでは、また。
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