《前編》収益性を高める経営システムの作り方〜負のスパイラルからの脱却〜
【収益が改善する仕組みの作り方】
〜経営計画と予算管理と業務の三角関係〜
※この記事の対象者※
• 事業改革や収支改善が成果に繋がらない
• 中期経営計画や年度計画が機能しない
• 予算管理を徹底しても費用が下がらない
• 業務を遂行しても財務成果が見えない
今回は、私の本業である経営管理のノウハウをまとめました。
これは私がM&Aやベンチャー投資、事業の収支改善プロジェクトを推進する中で培った考え方です。
リテールセクターの事業会社での実務経験を通じて得た実践的な視点でまとめていますので、実務で課題意識を持つ方にはこの臨場感が伝わればと思います。
〚 この記事の結論 〛
• 経営システムの歯車が機能していないと施策は空回りする
• 『経営計画』『予算管理』『業務』の連動性に着目する
• 売上向上か費用削減に紐付かない業務を洗い出す
• 業務の財務的成果が見える環境を整える
〚 努力の果てに疲弊する社員 〛
業績が良くない会社の従業員はきちんと『危機意識』はあることがヒアリングを通じて最近分かってきたことです。
「従業員全員で変化しなければならない」
「失敗を恐れず改革を進めよう」
そんな覚悟を持って経営陣をはじめ従業員はチャレンジをしていることは間違えないでしょう。
だからこそ何年経っても成果が出ないと、社内には徐々に『諦めムード』が漂ってきます。
外部環境のせいにしたり、役員や部長のせいにしたり、めっきりモチベーションが下がりチャレンジをしなくなる、なんて状態に陥ってしまいます。
そんな組織では一体どんなことが起きているのでしょうか。
〚 成果が出ないカラクリ 〛
「すべての部署で、コスト削減と業務改革に取り組むように」
経営陣からそんなトップダウンの号令がかかります。
アルバイトや派遣社員を抱える部署は、業務委託コストを削減するため『業務の内製化』に努めます。
広告宣伝部は訴求媒体に優先順位を付けて削減していきます。
物流部は在庫を圧縮したり、物流センター業務の簡略化により人件費を削減します。
一方で、戦略的に事業拡大を目指す領域では、数年後の売上/収益拡大を目指して予算を増やし投資規模を拡大させていきます。
経営の基本である『選択と集中』がなされているように思います。
ですが、年度を締めた決算を見ると、どういうわけか費用が全く変わっていないという現象が起きています。
「コスト削減するところは確かに減っているが、同時に投資領域のコストも増加した」
「ただ戦略的に投資はしたが財務リターンがあったかは分からない」
そんな状態でP/L上の費用は全く変わらなかった、なんてことが平気で起こっています。
一体何故でしょう。
もう少し話を進めていきます。
〚 経営計画や年度計画が機能しない 〛
収支改善案が盛り込まれた経営計画が発表されました。
各現場ではチャレンジングな目標達成に向けて新しい取組みがボトムアップで積み上がっていきます。
新しい部署やプロジェクトチームが組成され、部門横断型の働き方改革がどんどん浸透していきます。
経営会議には進捗報告や追加投資の申請が次々に上程され、一見すると未来志向の風土に変わりつつあるようです。
しかし、1年経っても2年経っても、どの施策を見ても『推進中』のステータスのままです。
新しいプロジェクトの組織は肥大化し、計画通りに進捗しているのかどうかすら経営陣は評価できない状況に陥ってしまっています。
計画を半期ごとにローリングしながら、課題解決に向けて計画の修正•改善を重ねても、その計画通りに組織が動いている実感が持てない状態が常態化しつつあります。
〚 予算管理を徹底しても費用が下がらない 〛
トップダウンによる予算削減を断行し、月次で予実管理を徹底しました。
そして、実績が予算を超過してしまうコストを特定し、全体のキャッシュアウトを抑えるよう経費コントロールを徹底します。
しかしながら、戦略的投資と位置づけられた先行投資コストなどが発生すると共に、詳細不明の計上課目などが出現してきます。
その結果、期初の予算削減は計画通り達成したのに費用全体では全く下がらなかった、ということになってしまいました。
〚 業務を遂行しても財務成果が見えない 〛
業務改善や売上拡大施策を打ち出して、目標も経営陣と合意ができました。
その目標達成に向けて各部が活動をして、月次で進捗管理を徹底します。
例えば、
• 新規顧客の獲得数
• 購買単価の向上
• 商品展開と在庫数の拡大
• 残業代の削減
• 会議時間の短縮
などです。
1年が過ぎた時には部署ごとに設定された目標は達成していましたが、その成果が財務上どのように効果発現したのかが全く分かりません。
部署ごとには成果が出ているわけですから、人事評価はそれに比例して人件費(賞与)だけが上がってしまいました。
〚 正体不明の負のスパイラル 〛
このように経営計画も予算管理も業務推進もそれぞれの分野では精巧に練り上げられ、実行されたにも関わらず、会社の業績自体は一向に回復しないという現象が多くの企業で起こっています。
私の経験上、このような原因不明の『負のスパイラル』は特に大手企業で起こっています。
〚 鳥の目で捉える経営エコシステム 〛
結論から言うと、、、
↓続きの記事↓
《後編》収益性を高める経営システムの作り方〜負のスパイラルからの脱却〜 https://note.com/mem_yu/n/n9e7b2e45a48b
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