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料理の向こうに、遠い国の生活風景が見える。それがすごくいとおしい。

STORY04:料理を通じて世界を伝える「世界のごちそう博物館」

つくり手のストーリーを通じてつかい手と“いとしさ”を共有するエシカルオンラインショップ「メルとモノサシ」に掲載中のブランドストーリーをnoteでもご紹介しています。ブランドさまへのインタビュー記事です。

料理の向こうに、遠い国の生活風景が見える。それがすごくいとおしい。 

10代の終わりから、自分のレストランを持つことを夢見てフランス料理店で修行をしていました。ところが旅行で初めて訪れたインドで、スパイスの魅力に取り付かれてしまったんです。それをきっかけに「もっといろんな国の料理を知りたい」と、アジアやヨーロッパなど合計30カ国を旅して、現地の人から料理を教わりました。

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その中で、いろんな国の歴史的背景や、今まさに起きている社会問題を目の当たりにしたんです。

ベトナムはフランス、インドネシアはオランダというように、植民地時代の影響を感じられる料理に出会ったり、バングラデシュやインドのスラム街で生活する人と接して「同じ世界にこんな人もいるんだ」と衝撃を受けたり、また僕自身も、フランスで料理を教わろうとしたら、「出ていけ!」とアジア人差別を受けたり。

そんな経験から、日本の人たちに「料理を通して世界で起きている問題を知り、何かを感じ取ってもらいたい」と考えるようになったんです。

旅を終えてからは、地元・神戸でレストランを始めました。コンセプトは「世界で学んできた料理を、現地に近い味で提供する」というもの。2店舗目の「世界のごちそうパレルモ」では、料理を通じてその国の裏側を知ってもらうために、飢餓や難民の支援をする寄付金付きメニューなど、いろんな企画にチャレンジしました。

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中でも手応えを感じたのは、世界全195カ国のメニューを2年かけて提供し続けたイベントです。全メニューに、その国に関する僕なりのメッセージを添えました。メディアで取り上げられたり、全メニューを制覇してくれたお客さんもいたりして、「料理を食べてその国のことを知り思いを馳せることは、その先の社会問題にまで興味を持つきっかけになる」と確信しましたね。

しだいに「レストランにやってくるお客さんだけでなく、もっと多くの人に伝えたい」という思いが強くなり、2016年からはレトルト専門に業態を切り替えました。レトルトは以前から販売していましたが、プレゼント用に選んでくださる方も多く、レトルトに注力することでより多くの人に伝えることができると思ったんです。

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現在のメニューは全部で60種類ほど。全て工房で1人でつくっています。レストラン時代からの人気メニューや、兵庫県内に暮らすシリア難民のお母さんに依頼されてつくったムスリムの子どもが食べられるメニュー、ワニやカンガルーなど珍食材を使ったメニューなんかも。「なんでこんな食材を食べるの?」という疑問も、世界の宗教や文化、生態系などを知るきっかけになるんですよね。

パッケージの裏にはその国の歴史的背景や食文化、社会情勢などをイラストでわかりやすく説明しています。料理を楽しむ延長線上で「へぇ〜、この国ではこんなことが起きているのか」と知ってもらえたらいいなと思って。

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2017年には『全196ヶ国おうちで作れる世界のレシピ』(ライツ社)という料理本を出版しました。僕がつくったものを食べてもらうだけでなく、みんなが自分で手を動かして世界の料理を楽しんでもらえたらいいな、と。簡単につくれるレシピにしたので、普段料理をしない人から「これなら私にもつくれた」と報告がきたり、プロの人から「再現性が高いね」と褒めてもらったり、いろんな人が気軽に世界の料理を楽しんで、世界を身近に感じてくれています。

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おかげさまで活動が知られるようになって、コロナ禍になる前は、レトルトの販売会や講演会など、全国のイベントに呼ばれることが多かったです。たとえば難民支援の活動をしている団体さんが「料理を食べながら聞いてください」とイベントをすると、通常より人がたくさん集まるんですよ。

「食べる」という行為を通じて、その向こう側に難民の問題があるっていうことをほんわかとでも知ってもらえる。そんな時にレトルトのパッケージを見て「ふんふん、難民ってそういうことなんや」と知ってもらえるかなと思い、「食べて知るシリーズ」という商品もつくりました。これは僕の思いの核となる部分で、講演会の後には一番売れるんですよ。ということは、僕の思いが通じてるのかなって。

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料理って、それ自体が生活で、人の営みだと思うんですよね。僕が現地で教わったいろんな国の人たちが今この瞬間にも、家族のことを考えて食事の用意をしている風景を思い浮かべると、料理はおいしい・楽しいというだけでなく、その家の歴史とか思いとかが表れていて、生活が垣間見えてくるんです。それを思うときに、僕はすごくいとおしさを感じますね。本当に、その国の食卓の風景が目に浮かぶんですよ。僕のつくるレトルトのパッケージを開けて中身を出したときに、その風景だったり匂いだったりが伝われば、それこそ僕が一番表現したいものですね。

料理を知ったときにその国のことも知りたくなって、その先にあるその国の問題を知ったときに「ああ、自分に何ができるかな」って考えてくれる人がいると思うので、そのきっかけをつくれたらいいなと思っています。

▼▼料理を通じて世界を伝える「世界のごちそう博物館」ストーリー本文はこちらからお読みいただけます▼▼

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