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同じものをつくり続けられることが、何よりいとおしい。

STORY03 :“丁寧な量産”を続ける毛布ブランド「LOOM&SPOOL」

つくり手のストーリーを通じてつかい手と“いとしさ”を共有するエシカルオンラインショップ「メルとモノサシ」に掲載中のブランドストーリーをnoteでもご紹介しています。ブランドさまへのインタビュー記事です。

同じものをつくり続けられることが、何よりいとおしい。


長年、テキスタイルデザイナーとして商品をつくるお手伝いをしてきました。シーズンごとに毎回毎回新しいデザインをつくって。もちろん楽しさもあるけれど、デザインの大量消費の日々で。物と同じように人だって、あんまり消費されると疲弊してきちゃうんです。それをずっと感じていたから、もうどっかで止めたいなって思っていて。

だからこのブランドは、1つ商品を開発したら骨の髄まで使うっていうつもりでやってます。

これまでのやり方だと、せっかくつくっても商品の良さを伝えきれずに次のシーズンの企画が始まる。このブランドでは、シーズンごとにデザインを開発する代わりに売り手として商品のいいところをいっぱい伝えていこうと思って。

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毛布に行き着いたのは、今から思えば不思議なきっかけでした。ぼんやりとブランドの構想があって企画書を持ち歩いていた時期に、お手伝いしていた他ブランドの仕事で毛布の生産工場へ立ち会いに行くことがあり、なんかの拍子にそんな話になったんです。

その工場の担当者っていうのが4代目か5代目ぐらいの若い男性社員で。家族経営だから社長の息子と専務の息子がいとこ同士で会社を継いでいくんだけど、古い毛布工場の中でその二人がキラキラしていて、可能性に満ち満ちていたんです。

お父さんたちのことをすごくリスペクトしていて仕事も大好きだし、工場を継ぐのは全然やぶさかじゃくて嬉々として頑張っている感じが、えらいなぁと思って。つくってるのは昔から変わらない毛布でしょ、グレてちゃってもおかしくないのに、すごい前向き。

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だから私も、ちょうど今考えてるのがね、という感じでその企画書を見せることができたんだと思う。「こういうことを考えていてこういうことがしたい」と話したら「めっちゃいいと思います」と言ってくれて。つながった!って。

私はアクリル毛布が好きだったから、つくるつもりだったんだけど、年間通して売ることを考えたら綿かなって思って綿毛布からつくり始めました。そうすると天然素材を売りにしていくことになり、ブランドとしてもなんとなくサスティナブルとか、環境への責任感とか、そっち方向になっちゃって、もうアクリルはできないですね(笑)

泉大津の綿毛布って、元々は戦争中に化学繊維が手に入らなくなって、毛布工場の人たちが綿の産地であるお隣の泉佐野の落ち綿を分けてもらってつくり始めたものなんです。高度経済成長期にすごく人気になったけど、同時に海外製の粗悪品が出回ってイメージがガタ落ちしちゃって。最近ようやく、天然素材ってことでまた見直されてきているところ。

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日本の綿毛布って技術も本当にすごいし、触ったときに「え、これ綿なの?」ってみんなが驚くくらい。技術はすごいのにいまいちメジャーに躍り出なくて、市場では結構レアですね。あっても赤ちゃん用のかわいい柄ばかり。

たとえば、男の子がちっちゃい時からずっと綿毛布を使っていて、中学生や高校生になっても赤ちゃん柄のものを持ってたら違和感あるけど、このデザインだったら「めっちゃ物大事にする人やん」って思うでしょ?そんな感じにしたくて。毛布の角に名前が書けるラベルをつけたのは、そんなふうに愛着を深めるため。書く書かないは自由なんだけど、自分の名前が書いてあるものって、安易に捨てられなくなったりするでしょ。自分とのつながりを強めるというか。

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このブランドの何よりもいとおしいポイントは、同じものをつくり続けられるところ。再生産ができる、大量生産ができるところです。

新しいものってつくる時は楽しいかもしれないけど、工場とか職人さんにしてみたら割と苦痛なんですよ、慣れてないことをするから。でも、みんなに喜んでもらえている安定的な商品って作り手もすごい慣れてるから品質も上がるし、丁寧さにも慣れる。それが安定的にできるっていうのが、大好きなところかもしれない!

1点1点オーダーっていう世界もあるけど、それだと一部の人の手にしか届かないでしょ。大量生産で、たくさんの人の手に届いて、値段的にもちょうどよくて、品質がいいものってめっちゃよくない?って思っていて。

それがずーっと続いていけば、働いている人も、工場も倉庫も、おんなじものを安心して出せる。イレギュラーがない、みたいな。変化は大事だけど、変化って結構簡単にできるから、安定したものをずっとやることの方が逆に難しかったりするんですよね。

個人でやってるから経営が大変だったりして、「数量もっと減らしてまめに生産したら?」って言われるけど、それは大反対!逆に「生産ロットを守ることが工場を守ることにつながるんだ!」って思うくらい。

これに限っては、新しいデザインもつくらず、最初のものをずっとつくり続けていくつもりです。

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