一本のろうそく

やっと見つけだした一本のろうそくに
なんとか探しだしたマッチで火をつけ
その小さなあかりは危うく揺れてた
やっと見つけだしたろうそくは
火をつけなければあかりは無いし
火をつければろうそくは小さくなるし
小さく小さくなってゆくろうそくを
ただじっと座って見つめていた
そして待っていたのは
もとの暗闇
誰かがやっと灯してくれたあかりに
初めてこの目で見た世界は
世の果てそのものだった
こんなことなら何も見えない方が
よっぽど良かったかもしれないほどの世界
暗闇の中じゃ自分が
涙を流していることにさえ
気づかないけれど
暗闇の中じゃ生きてきた自分の傷跡も
何も見えないでいたけれど
此処では全てが見えるんだ
哀しいと泣く自分も
ハッキリと分かってしまうんだ
それでも人が生きる世界は
此処しかないんだろうね
それでも私が生かされる世界は
此処しかないんだろうね

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