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1993年 SideB-2「大切なあなた/松田聖子」

Seiko Matsuda作詞 Seiko Matsuda・小倉良作曲 鳥山雄司編曲

・「わたしってブスだったの?」(TBS系 1993/4/16~7/2)主題歌

 TBS系金曜10時枠4月クールドラマ主題歌。本人自作曲の中ではベストと言っていい佳曲。ドラマの内容に合わせたポジティブなポップナンバーで、内容も「やっと出会えた運命の人があなたよ!」という王道聖子印のラブソングである。ファン待望のキラキラポップスだった事もあり、当時結婚後最大のセールスを記録。現在でも「あなたに逢いたくて」に次いでセールス第2位の座をキープしている(あくまで結婚後に限った話であるが)。

 「わたしってブスだったの?」は、前年1月の「おとなの選択」に続く松田聖子主演ドラマで、大石静初期の名エッセイのドラマ化である(というか内容的にはタイトルを借りただけという感じだが)。その大石静脚本をはじめとしてキャストもスタッフも「おとなの選択」からの続投組が多いが、作品のテイストや主人公のキャラクターは前作とはまるっきり違う。

 いくらスキャンダルが報じられても本人の人気は変わらないという「松田聖子的生き方」が支持を集め始めていたこの時期にいたってもなお、映画やドラマでは“不倫はしても純情可憐”的なヒロインを演じることが多かった松田聖子が、おそらく初めてコメディエンヌ的な演技で“出来る”キャリアウーマンを演じた。

 聖子が演じた主人公・夕子は仕事ができて男勝りでポジティブで上司にも平気で楯つくやり手だが、整理整頓は苦手で恋にも奥手なコピーライター。ある意味ステレオタイプなキャラクターであるが、なにかと久留米弁を駆使するところなど、素の松田聖子を見せようというのが制作サイドのひとつの狙いだったのだろう。とはいえ一種独特な松田聖子のクセのある演技は健在で、そこから生じる違和感が見どころといえば見どころであった。

 ライバルから同志、そして恋人へという黄金ルートを辿るパートナー役は時任三郎だったが、注目されたのは聖子と恋に落ちつつ最終的には死んでしまう年下のカメラマン役の、デビュー間もない西島秀俊であった。このあと7月クールの「悪魔のKISS」に出演し、続く10月クールの「あすなろ白書」で大ブレイクを果たすこととなる(「あすなろ」でも死んでたな)。イケメン発掘に定評のある大石静作品の面目躍如である。また、当時聖子のバックダンサーだったアラン・リードのデビュー曲「愛するほどに・・・」(松田聖子作・プロデュース)が挿入歌として使われていた。彼がいわゆる逆セクハラを訴え出て話題になるのは、さらに数年後のことである。

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