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原形の地図(キャニオン・デ・シェイ)

ニューメキシコ州サンタフェを後にして、またアリゾナ州に戻った。
長年、機会があったら行ってみたいと思っていたキャニオン・デ・シェイに行くためだ。
英語で綴ると、Canyon de Chelly になり、思わずキャニオン・デ・シェリーと読みたくなるのだが、これは、キャニオン・デ・シェイが正解。

初日は、地形を真上から眺めることになったのだが、この日は、病み上がりの私の体に骨まで染み入るような寒さで、写真を撮るのも非常に辛かったのだが、気合いだけでなんとか頑張った。

初めて見るキャニオン・デ・シェイは、古い西部劇を思わせる地形を地図の上に広げて見ているような感覚だった。ゴツゴツとした巨大な岩山や岩が並んでいて、その合間に小川が流れている程度のとてもシンプルな地形ではあるのだが、その大きさは半端なく、自分の中にあるおおよその測量尺度なんて全く役に立たない。だから、ただ圧倒されながらぼんやり眺めるだけなのである。

翌日は、ネイティブ・インディアンのガイド兼運転による四駆車で、実際にキャニオン・デ・シェイの中を見て回った。キャニオン・デ・シェイはインディアン保護区となっているので、中に入るにはインディアンガイドを付けなければならない。これは、神聖な土地を汚されないようにするためだ。

壁のように横たわる巨大な岩は思っていた以上に高かった。観光用の煌びやかな施設も観光スポットも全くない素朴な景色そのもので、インディアン文化やこの辺りの地質であったり地形に興味がないと少々退屈に感じるかもしれない。

岩肌の色と山吹色の銀杏の葉の調和が心地よい

私はまだ寒さによる胸と喉の痛みがあり、できる限り寒くならないように気をつけるので精一杯だった気がする。元気があればもう少し楽しめただろうにと、思うように動かない体を車のドアに押し付けながら大きな岩山を背景にオレンジ色や黄色に光る木々の葉を眺めながら、「今自分はキャニオン・デ・シェイにいる」という一瞬一瞬の感覚を体全体で感じていた。

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