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【詩】恋した夏の夜

恋した夏の夜

昼に飲んだカルーアが
ほんのり甘く体を包む

もういっちゃってるの?
と誰かが聞く

生ぬるい潮風が
海の響きを運び込み

その調べに酔いして
体は左右に動き出す

海が奏でる音色には
恋する予感の優しい囁き

窓辺に佇み眺める景色は
水平線に向かう太陽の
オレンジ色の影が水面を射し
一体となって溶け合う瞬間を待っていた

夕方のコーストの街の賑わいは
これから起こる
悦楽を待ちわびる若者の
汗ばむ肉体が作りだす

Tシャツに透かして見えるピンクのビキニ
デニムのスカートから剥き出た淫らな太もも

人が賑わう酒場に入りビールを片手に握れば
ちっぽけなストーリーも笑いを誘う
何がそんなに可笑しいのか

自覚もないまま深い夜へとはまりこみ
体内に流れ込んだ酒に身を委ね
日常の煩わしさも孤独も存在しない
恍惚な夜の華へと変身する

今ならば誰とでも恋ができる

いつしかそんな催眠にかかり
夢遊のエクスタシーが広がった
皆で恋した夏の夜

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