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【詩】独尊

温かみのある布団に籠る
冬がもうすぐ終わりを迎える
独りは良い
自分の世界だけで生きていけるから
自分の価値観だけで息ができるから

夫婦になる事が全てでは無いが
生物学上つがいを結ばなければ
我々人類といえど滅びてしまう

だが我等人類の特権は心を持っていること
尤も他の動物に心が無いとは限らないけど
人間は心を持ち、言葉で伝え、想い合う。
それ故に想いが互いに理解し切れなければ
子孫を残すことは叶わずそっと鬼籍で眠る

相思相愛ほど奇跡的なものを私は知らない
互いに想いが伝わり合って生涯を共にする
二人の軌跡が産まれた子の家路になるのだ
それはさながら闇を照らす輝石が如き美麗

しかし

私は

もう散々だ

想いは続かず

想いは届かず

想いは散り行くばかり

幸せを確かに経験した

だがそれ以上の苦痛を味わった

自分を愛せずして他者を愛せるか

その自信は私にはもう無い

だから、独りでいいんだ

どうしようもなく寂しい夜を何度も味わった

誰かと共に楽しんだ後のあの虚無に満ちた

あの永劫に感じる時間がどうしようもなく

苦しいのだ

辛いのだ

ならば最初から

独りで生きれば良い

誰にも看取られず

誰も看取らず

孤の時間を

独占すれば良い

周囲に合わせて何をする必要なんて無い

唯、我を、独り、尊べ

そうすりゃ悲しくなることも無い

哀れむ必要も無い

一秒一瞬を噛み締めて

残された僅かな時間を過ごそうか

目を瞑ってご覧よ

篝火なんて要らないよ

この時間がたまらなく愛おしいのだ

もう何も考えたくないな

疲れちった。

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