面白さを追い求めない

楽しさ、と言ってもいい。
とにかくそういう、ポジティブで、害がなくて、人生の幸福に寄与すると一般的にされている性質・感情。
そういったものを、欲しがる心が、それらを遠ざける。

休みの日に、友達もいなくて、用事もなく、家でダラダラしている時。
このままではいけない、という気持ちになってしまう。
それはなぜかというと、楽しくないから。
どこかに「楽しい人生」があって、自分がそれを体験できない世界線にいる気がしてくる。
そして「楽しい人生」というまだ見ぬ桃源郷を夢見て、「楽しいこと」という青い鳥を見つける旅に出かける。

でも、その旅に出かけた時点で、負けなのだ。
探した時点で、捜索対象は消え失せる。

楽しさは野生の、野良の生物ではない。
退屈という卵を大事に温めた末にようやく孵化するヤツなのだ。
退屈をモグラ叩きみたいにハンマーで叩いていたらいずれひょっこり顔を出してくれるような相手じゃない。

今そこにある退屈を、優しく抱いていなくてはならない。
退屈をアリンコのように軽視して踏み潰すようなことがあってはならない。
全ての感情・感受・己の内に湧いてくる森羅万象を平等に扱うものにしか、良いものは訪れないから。


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