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ハレもケもハレ17 : 婚約期間のこと / 後日談と結婚式前夜

お付き合いをしている彼と同棲を検討し始めたのをきっかけに、人生とは?結婚とは?家族とは?を考え始めた今の心境を書き綴ることにしました。
結婚してからも変わらず、「ふたり」の選択におけるあれこれを好きに書き綴っていこうと思います。
お好きなところだけつまみ食いしていただけると幸い。


本当は結婚する前に投稿しようと思い、書き溜めていた婚約期間の日記が出てきました。
最近聴いているPodcastで「感情を冷凍保存しておく」という話が出てきており、本当にそれ〜!となったので、冷凍保存しておいたものを取り出してみようと思います。
読み返すと、ギャー!!となるようなことも書いてありますが、それはそれで加筆修正せずそのままで。過去になったからこそ感じること、振り返っての今の心境も後半に。

🕊



20220423
お互いの実家に結婚の挨拶へ行くときの洋服を買った。過剰にきっちりしすぎるわたしと、過剰にルーズな彼でまた意見が食い違う。「まだ20代なのだから、失敗しながら生きてこうよ。至らないときは怒られて、ちゃんと謝ろう」と彼は言う。そういう寛容さと堂々としたところが心から羨ましいやら、そういう問題じゃないの!とピシャリと言いたくなるやら。
結局、「ビビビッときたから」と、ジャーナルスタンダードで良いセットアップを買っていた。わたしはTONALで、同じくスカートのセットアップを購入する。こういう、どちらも間違っているわけではないけれど折り合いをつけなくてはならないことが増えていくんだろうな。家族になるって難しい。

20220506
明日、彼のご実家へ結婚の挨拶に行く。
「堅苦しくない人たちだから大丈夫」と彼は言うけれど、それはホーム戦だから!!!と力説すること数回。このGW中、仕事をしながら患者さんが予想の遥か斜め上をいく行動に出るたびに「今……余裕ないの……キャパを……上回る思考を……させないで……」と内心嘆くことn回。
眠る直前、どこか落ち着かないわたしを見て、眠そうにしながら「ナーバスになってるね」と、とろんとした声でわたしの頭を引き寄せて撫でながら「大丈夫」と話してくれた。彼のこういうやさしさを、忘れずにいたい。


20220507
彼のご実家へ挨拶に行った。
寝ては悪夢で目が覚め、を数回繰り返していたら朝だった。彼は彼で起き抜けから「……ちょうど腰に痛み止め打たれたところだった……」と話すので驚いた。夢の話でしたか。どうやら2人して揃いに揃って近年稀に見る最悪な睡眠だったらしい。仲良しだ。

結論から言うと、本当に素敵なご両親だった。彼をあくまで一個人として向き合っている、良い距離感に安心した。こちらの細かな事情を尋ねるときの踏み入れ方や、でも伝えておきたいことはきちんと伝えてくださるような。気を遣っていただいてると感じると同時に、家族として迎え入れてくださることを感じる。

お母様から「自分のことを話さない子だと思ってたけど、最近はこんな近くにお話相手がいたのね。そりゃ親となんか話さないわよね」と言われたのを思い出す。それから改めて、「育て方があってたかは分からないけど、愛情を持って大事に育てたつもりです。今後はどうかよろしくお願いします」と話してくださったことに心がきりりとすした。親と同じ戸籍から抜けるって、こういうことなのかもしれない。分からないけれど。


20220521
結婚指輪の打ち合わせに行った。
今はマリッジリングのフルオーダーしか受けていらっしゃらない、ずっと憧れていたジュエリーデザイナーの方に初めてお会いした。今までメールでざっくりと話していたことをもとに、素材、幅、加工方法、平打ちや甲丸などの形、石とその埋め方、デザインを決める流れ。フルオーダーとなると決めることが多くて驚いた。

普段、腕時計もしないほどに装飾品を苦手とする彼の指輪に対する解像度は低い。拘りも「身につけていて違和感がない、シンプルなもの」程度。それでもちゃんと指輪について調べてくれていたのも「一生身につけていくものを選ぶと思うと緊張する」と話してくれていたのも嬉しかった。とっても良い指輪になりそう。楽しみ。


20220522
ひとつずつ決まっていくのが嬉しい。でもこんなに大きな選択を、こんなに短い月日のなかで行っていくことなんて今までの人生には無かった。選択が重い。変わることがこわい。彼と家族になれることは嬉しいし、結婚することに対しては前向きなまま。でも正直、すこし疲弊している。

20220604
彼と一緒に実家へ帰った。
「結婚を了承していただけませんか」なんて言って彼が自分の両親に頭を下げていることも、我が両親が「ぜひ娘をよろしくお願いします」と涙目になっているのも、なんだか我がことではないみたいだった。不思議。



20220605
東京に帰ってきた。
実家へ行き、両親に会い、また東京に帰ってくるまでのなかで( 夜は別行動だったとはいえ ) ずっと彼と一緒だった。わたしの家族はこれから両親じゃなくて彼のほうが近しい存在になるのだと、うっすら実感が湧いてきた。不思議で、でも、うんと嬉しい。

20220609
【結婚後に豹変する夫 見分け方】で検索する手が止まらない。何があった訳でも決してなく、そんな人じゃないと分かっているのに。

20220611
はじめて不動産屋さんで物件の申込書を書いた。手続き上必要とはいえ、続柄に「婚約者」と書くの、くすぐったいな。


20220613
不動産屋さんから、同時審査の結果、もう1組の方と契約することになったとのご連絡が来た。物件探し、白紙に戻る。なんだか「あなた達は一緒に暮らせないよ」と不相応の烙印を押されたよう。違うと分かっているのだけれど、把握はしているけれど。理解と納得に至れない。


20220618
今日も物件に縁がない。2件目の内見が済んでから「前者のほうで」と申し込みをお願いしたら、タッチの差で埋まっていた。振り出しに戻る。やるせない。ずっと気持ちが塞ぎ込んでいる。


20220619
午後休、のち、電話で作戦会議。申し込みが入っているかだけ聞く?とお尋ねの電話をしたところから、あれよあれよと内見に行き、申し込みを済ませた。やっと前に進んだ。

しかしそのあと、我が家に来ないことは予め確認していたのにもかかわらず急に「家でテレビ観せて」方針転換するから、ムッとした。( 彼の家にはおもちゃみたいなテレビしかないのです )誰であれ、ペースを乱されるのが得意ではない。とはいえ、ちゃんとこの人にも苛立つんだな。なんか安心した。


20220624
審査通りました!!!!!と嬉しさ満点の笑顔が伝わってくるLINEが届いた。おうち探し、これにて完結。わたしの部屋、納屋くらい狭いな?と思ったけど、まあどうにかなるでしょう。リビングの隣だし、ベッドを置くだけの広さはあるし、なによりふたりで生活するのだし。


20220720
今週末に控えた顔合わせが延期になった。なんとなく嫌な予感はしていたけれど、ほんとうになってしまうとは。延期になったことよりも、彼が件のアレになったことが理由なだけにシンプルに心配。
気が動転してしまって何度か電話でやりとりをしたけれど、後から落ち着いて考えるに、体調しんどかったろうな、と思う。ごめんね。そんな中でも付き合ってくれてありがとうね。


20220725
引っ越し前夜。とはいえ一緒に暮らすまではまだすこし時間があるし、なにより仕事終わりに引っ越し準備なんて出来る訳なかった。アラームを延ばし延ばし、2時間仮眠をとって引っ越し準備再開。
退寮までしばらく期間があるので、引き渡しまでに幾度となく行き来するのだろうけれど、それでもやっぱりすこしだけ寂しい。初めて自分で働いたお金で家賃を払い、家具を買い集め、沢山泣いたり笑ったりした、だいすきなわたしのお城。




読み返して初めて、「実家に結婚の挨拶をしに行って、ちょうど1年経つのか」と気付いた。書き記していなければ気付けなかったことだ。

長いこと一人暮らしをしていたので、結婚する直前のあの時期は、ずっと「誰かと生きていく」ことに不安ばかり抱いていた。彼のことを嫌いになること、逆に嫌われてしまうことを考えては、1人で不安になったり戸惑ったり。
何が待ち受けているか分からないドアを開くのは、とても怖い。開けずともそこそこ平穏な日々が続いているのであれば、変わらなくて良いのではないかとすら思う。

けれど、あのとき1人で考えていた未来が時を経て過去になった今なら分かる。あのときのわたしに出会えるならば、肩を叩いて言ってあげたい。

大丈夫だよ。今わたし、とっっっっっても幸せ。


彼が恋人から夫になり、家族になった。結局仕事で旧姓を使い続けているのもあり、2人して「そういや同じ苗字になったんだった」「そういや結婚したんだったね」と話すことがあるくらいには、思っていたより良い意味で何も変わっていない。

けれど、夫がいる暮らしが当たり前であることが嬉しい。仕事から帰り、夜ごはんを食べ、お茶を飲みながら話し、向き合って各自日記を書き、週末あれしようこれ食べようと話す日々は穏やかだ。特別なことは何もないけれど、声を出して笑うことが増えた。
美味しいご飯が出来たときに、綺麗に盛り付けられたほうを迷わず差し出したいと思える人に出会えたこと、そして彼もまた惜しみなく優しさを注いでくれることが嬉しい。この先なにがあるかは分からないけれど、とりあえず今のところは結婚してよかったと、心から思える。

勿論「1番近しいところにいる( 自分以外という意味での ) 他人」だと思っているので、この生活を続けるのには努力がいる。一緒に過ごす時間が長くなればなるほどまるで自分と何もかも一緒の物差しを持っているような錯覚に陥ってしまうけれど、そんなことは無いのだと定期的に思い知らされる。けれど、その違いにきちんと正面から向き合いたいと思えるのは、結構素敵なことではないかしら。

明日、ごく内輪だけで結婚式を挙げる。フォトウェディングの延長のようなものなので、ごくささやかに。ソワソワしているけれど、楽しみだ。

ハレの日もケの日も側にいる人がいることを、とても幸福に思う。

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