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「開かれた質問」と「閉ざされた質問」

コミュニケーション心理学の用語に、「開かれた質問」(Open Questions)と「閉ざされた質問」(Closed Questions)という言葉があります。

「開かれた質問」とは、相手の答えを引き出す質問。英語で言うと、5WIHの疑問詞で始まる疑問文ですね。

「閉ざされた質問」とは、YesかNo、あるいは簡単な一言でしか答えられない質問。つまり、相手から何かの情報を引き出すことはできない質問です。

「開かれた質問」でないと、コミュニケーションが発展しないのは瞭然。

よく観察してみると、聞き上手な人はたいてい、「開かれた質問」で相手の話しを聞き出しているのです。でも実際には、これがなかなか難しくて…。

例えば、美容院などで、ただただ沈黙を破りたいがために、何の深い意味もなく、話しかけてくる美容師さんの質問は、たいてい「閉ざされた質問」です。

「家はお近くですか?」

「今日はお仕事、お休みですか?」

「もう、夏休みは取りましたか?」

質問された人にとっては、なんのおもしろ味もなく、それが続くと不快でしかない。「職務質問かい?!」と言いたくなるのは、わたしだけでしょうか?

「閉ざされた質問」は、答えるのが簡単なだけに、考えることを必要とせず、初対面で緊張して会話が進まないときの“とっかかり”としてはいいかもしれませんが、そればっかりでは、あまりにも…ですよね。

会話上手な人は、最初は距離感やテンポをつかむために、「閉ざされた質問」でスタートしても、必ず「開かれた質問」へと移行していく。


また、一見、「開かれた質問」のように見えても「閉ざされた質問」であることも。例えば、"Why did you do it?" は、形の上ではOpen Questionですが、聞き方や状況によっては、詰問しているように受け止められ、結果的に相手は答えずらくなってしまいます。

同じパターンで、例えば、子育てのこんなシチュエーション。子供に向かって、きっと親が毎日のように言っているであろう言葉、「片づけなさい!」。

何度も言っているのに、子供はどこ吹く風で、遊びに夢中になっている。そんなとき、ついつい、大声で言ってしまっていませんか?

「なんでやらないの?!」と。

これは形こそ疑問文ですが、実際には命令形でしかありません。こんなシチュエーションで、「開かれた質問」が本領を発揮するのです。

「なんで」「どうして」ではなく、

「なにを」「なにが」を使うのです。

例えば、「何からやったら、うまくできるかな?」と。

そうすると、子供はYes, Noではなく、答えを考えるようになります。そして、考えて出した答えは自分のものなので、命令されたという意識なく行動に移せるのです。親も、どなってしまった後のいやな空気も味わわなくてすむのです。“Terrible Two”と言われる、イヤイヤ期の二歳児にも効果テキメンです!

もちろん仕事のシーンでも、こういったコミュニケーションの方法論を知り、実践することで、よりスムースに目標達成のためにまわりの協力を得ながら進んでいくことができるようになるのだと思います。

相手が、容易にかつ楽しく(ここがポイント!)、考えを深められて言葉にできるように質問をする。要は、感情面からのアスペクトで言うと、「相手に対する思いやりの気持ち」なのだと。

愛を持って接すれば、ささやく言葉が変わってくる!


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