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『家族に頼らない おひとりさまの終活』を読んで

 今週、『家族に頼らない おひとりさまの終活〜あなたの尊厳を託しませんか』という本を読んだ。祖父母・義父の認知症を身近に見てきた私は、40代の今から、自分の老後について考えている。

 私には子どもがおらず、夫との関係もいつ終わりにするか分からない状態。一人の老後を想定して、できる備えは早めにと思っている。この本は、具体例もたくさん出ており、実践的で読み応えのある本だった。

本書は、生涯独身の方、子どものいない夫婦で配偶者に先立たれた方、離婚された方など「おひとりさま」と呼ばれることの多い方々だけでなく、子どもや兄弟はいても事情があって頼れない・頼りたくないという皆様の“終活”のために書かれた本です。
そんな皆様は、自分で判断できなくなったときに備えて、事前の自己決定が必要不可欠です。そしてその実現のためには、信頼できる誰かに「自己決定=尊厳」を託しておかなければなりません。本書では、これを「尊厳信託」と名付け、家族に頼らずにエンディング期を迎える皆様へ、ひとつの解決方法としてご提案します。        Amazon紹介ページより引用

 この本で心に残ったのは、「尊厳信託」の相手となりうる選択肢を考える部分(p68-70)。選択肢として、①親族(例:以前から親しく付き合ってきた姪)、②知人・友人、③弁護士等の専門家、④居住地の自治体や社会福祉協議会、⑤「身元保証等高齢者サポート事業者」と呼ばれる団体、が挙げられており、以下の懸念が提示されている。

 ②の場合、同世代の知人・友人だと、自分より先にエンディング期に足を踏み入れてしまう可能性がある。③の場合、それなりの費用がかかる。④の場合、需要が急増する中で公的サービスを無尽蔵には増やせず、現在のところ、所得制限が設けられていることがほとんど。⑤の場合、医療・介護現場のニーズに応えて生まれた事業だが、まだ業界横断のルールや監督官庁もなく、法律も未整備とのこと。

 ⑤の「身元保証等高齢者サポート事業者」は、ここ5年ほどで急増したが、まだ小規模な団体がほとんどで、信頼性の担保が不十分だという。エンディング期の全てを任せる重大な契約で、死後事務にかかる費用を預託金として預ける場合が多いが、管理方法に不安が拭えないこともある。利用に際しては、事業者の比較検討が必要となる。(p82-84)

 利用者が身元保証等高齢者サポート事業者を自由に選べて、安心して利用できる社会状況になるまでには、まだ時間がかかるだろうと思う。しかし、私が以前この問題について調べた時よりは、選択肢が増えてきたと感じる。

 任意後見制度を使うとなると、弁護士などの後見人への報酬と任意後見監督人への報酬で毎月6~7万円以上の費用がかかると読んだ。これほど多額の費用がかかるのでは、自分が将来利用できるとは思えない。

 心配性の私の場合、老いること・死ぬことに備えるのは、今を安心して生きるために大切なこと。今後も情報収集していきたい。

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