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【出会いは漫画広告vol.3】『ホテル・メッツァペウラへようこそ』が魅せる、深く長いフィンランドの冬と青年の成長

新たな漫画と出会うきっかけとなるコンテンツとして、私が最近注目している漫画広告という存在。

広告によっては公開しているシーンやコマのチョイスが本当に秀逸で、思わず1話を購入してしまいたくなる広告と出会った時は、作品はもちろん、この広告クリエイティブを作った方に拍手を送りたくなる。

というわけで、本記事はタイトル通り漫画広告で出会った面白い作品たちを紹介していく企画だ。「あ!これ漫画広告で見かけて気になってた!」という方の参考になれば幸いである。

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しごでき、スマート老紳士に目を奪われる

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2月初旬からよく見かけるようになった、KADOKAWAが発行する漫画誌「ハルタによるこちらの広告。どこか不安げな表情を浮かべる青年、そしてスクロールして現れたのは品格漂うスマートな老紳士!

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しかも何だかめちゃくちゃしごできじゃないですか...。映画『キングスマン』に登場するアーサーのように、品格と色気が漂う老紳士キャラが大好きなので、思わず釘付けになってしまった。また、「ハルタ」といえば『乙嫁語り』『あかねさす柘榴の都』『北北西に曇と往け』(現在は新たに創刊された「青騎士」へ移籍)など、異国情緒に満ちた優しく美しい物語の数々を生み出してきた漫画誌だ。そんな同誌が描くホテルマンのお仕事、そしてこの若き青年と老紳士の間にどんな物語が紡がれるのかと興味が湧いた。

ホテリアー・ヒューマンドラマ 『ホテル・メッツァペウラへようこそ』

物語の舞台は、フィンランドのラップランド地方で老紳士たちが営む小さなホテル・メッツァペウラ。そこで働くホテルマンのアードルフと料理長のクスタは、ある吹雪の夜に突然現れた謎の青年・ジュンを優しく迎え入れ、彼を従業員として登用することに。

『ホテル・メッツァペウラへようこそ』とは、ホテルを営む2人の老紳士と、どこかミステリアスで闇を抱えている青年が織りなすホテリアー・ヒューマンドラマとなっている。

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フィンランドの深く長い冬、一人の青年の成長

メッツァペウラは、雪が降り積もる深い森の中にひっそりと佇む小さなホテル。本作には、そんなしんとした静けさや、ひんやりとした空気のにおいが漫画越しに漂ってくるかのようなリアルさがある。

日差しの少ない、深く長いフィンランドの冬。けれど、メッツァペウラで働くアードルフとクスタはどこまでも温かい。そんな2人に導かれてホテルマンとして新たな人生を歩み始めたジュンが、少しずつ自分と向き合っていくシーンは本作の見どころの一つ。直接的なセリフではなく、彼がふとした瞬間に魅せる表情や行動でそれを表すことで、人物そしてストーリーに厚みと深みを与えているように感じる。

訪れるゲストはもちろん、起こる出来事も毎日違う。そんな変化に満ちたホテリアーとしての毎日の中でジュンが見せる成長、そして一筋縄では行かない2人の老紳士の気になる過去など今後の展開が楽しみになる一作だ。

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