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【出会いは漫画広告vol.5】『MURCIELAGO -ムルシエラゴ-』は読者を〇〇に目覚めさせる怪作?

SNSを眺めているとよく目にする漫画広告。時に煩わしさを感じることもあるけれど、広告によっては公開しているシーンやコマのチョイスが本当に秀逸で、思わず1話を購入してしまいたくなる広告と出会った時は、作品はもちろん、この広告クリエイティブを作った方に拍手を送りたくなる。

そこで、本記事では、タイトル通り漫画広告で出会った面白い作品たちを広告のクリエイティブと共に紹介していこうと思う。「あ!これ漫画広告で見かけて気になってた!」という方の参考になれば幸いである。

"ジャンル不明感"に興味を掻き立てられる

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今週思わず目に留まったのは、スクウェア・エニックスが発行する漫画誌「ヤングガンガン」によるこちらの広告。どうやら主人公は同性愛者という設定なようで、百合漫画でラブコメ系かと思ったらツイート本文には「アンチジャスティス、バイオレンス、アクション」の文字が...。

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コメディ要素が強いシーンを厳選しているようだが、最後にかけてシリアス風味になるところで一気に興味が湧いた。どんな物語なのか想像がつかない、ジャンル不明感がこの広告の魅力だと思う。

ダークヒーローが大暴れ『MURCIELAGO -ムルシエラゴ-』

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そんな本作の正体はヤングガンガン」で連載中の『MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-』(よしむらかな先生)だ。主人公は、元大量殺人者で同性愛者である紅守黒湖。彼女は本来死刑になるはずだったが、凶悪犯罪者たちの討伐を行う「国選処刑人」として活動することと引き換えに死刑執行の無期延期を言い渡される。こうして彼女は相棒・屠桜ひな子と共に凶悪犯罪者たちを粛清してくという物語だ。

ちなみに、タイトルにもなっている"ムルシエラゴ"とはスペイン語でこうもりという意味だが、これは主人公である紅守黒湖(こうもりくろこ)の名前繋がりのようだ。

読者を〇〇に目覚めさせる?

漫画広告にあった「アンチジャスティス、バイオレンス、アクション」という言葉通り、物語はもちろん描写が過激なため、正直好き嫌いがかなり分かれる作品だと思う。

けれど、激しい戦闘シーンや黒湖の流れるような身のこなしは迫力満点で、アクション漫画としては最高に見応えがある。また、凶悪犯罪者たちに立ち向かう物語の数々は、背景にある犯罪組織の関係性なども緻密で、海外ドラマさながらの面白さだ。

冒頭で、描写が過激であることから好き嫌いが分かれるだろうと書いたが、個人的にはこの描写こそが本作の魅力だと思う。よしむらかな先生の圧巻の筆致で描かれる、エロ、グロ、バイオレンス、アクション...これらはどこか自分の中のマゾ気質を目覚めさせるような不思議な魅力を放っているように感じる。

注意しておきたいのは、ここでいうマゾ気質というのは心理傾向のことであって、例えばめちゃくちゃ寒い日にあえて冷たいアイスを食べたくなってしまう...というように、なぜか真逆の状態を求めてしまうような日常に潜む(?)マゾ気質のことだ。

普段ならこういった系統の漫画はあまり読まないのに...と思いながらついページをめくってしまい、その先を求めてしまう『MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-』。普段とは違う刺激を求めている方におすすめしたい作品だ。


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