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2024年7月「読んだ!」マンガまとめ

こんにちは。マンガライターのちゃんめいです。

新旧問わずに今月読んだマンガを全て紹介する本企画。元々マンガが大好きで毎月たくさんマンガを読んでいましたが、マンガライターとして活動し始めてから読む量が尋常じゃなく増えました。できることなら全作品しっかりとした漫画評を書きたい! けれど、現実的になかなか難しい。いやでも、せめてあらすじや一言感想メインだけでも!……という謎の使命感からこのnoteが誕生しました。

ちなみに、「Real Sound ブック」さんでは“今月発売された新刊”というしばりでおすすめのマンガを紹介しているので、とにかく新作が読みたい! という方はそちらもぜひ。

読み応えのある、または濃密な漫画評が読みたい方にとっては、こちらのnoteはかなり薄く感じるかもしれませんが、もし良ければ読んでいってくださいませ。この記事があなたにとって新たなマンガとの出会いになりますように。

▼ 過去の記録はこちら


ROPPEN-六篇-(5巻)

最凶の殺し屋たちによる最狂の殺し合い。 この作品の世界では写植というか文字が真っ二つにされるし時には倍速で再生される……。何言ってるか分かんないと思うけど本当にそうなの。ストーリーもさることながら、表現の面でも度肝を抜かれる。

君がまた描きだす線(1巻)

女性向けのマンガ編集プロダクション。そこに集いし、元声優の編集者、恋愛以外の少女漫画を描きたい漫画家、とある読者からのファンレターを心待ちしている漫画家など.......。登場人物たちが夢と現実の狭間でもがき、時には挫折を経験しながらも“自分の道”を歩もうと、マンガを通して連帯する物語が展開される。

理不尽な出来事や不安定な社会情勢に取り囲まれている今の世の中。知らず知らずのうちに心身が疲弊して、つい悲観的な気持ちになってしまうけれど「あきらめるのはまだ早い」と。『君がまた描き出す線』は、再び立ち上がる力を授けてくれるような気がする。

こっち向いてよ向井くん(7巻)

「でも何回も何回も話すしかないの 人と人ってほんとにもうそれしかないの……でもそれがある とも言えると思うな お母さんは」

最近読んだマンガの中でもんのすごく響いたセリフ。“話す”は一見すると簡単だけど実はとても難しい、そして尊い行為。

星旅少年(4巻)

たまらなく美しいのにどこか寂しい3巻とは打って変わって、現実と夢の狭間をたゆたうような星旅アイテム&旅記録に人との優しい距離感。私的『星旅少年』の好きポイントが詰まっていてなんかもう抱きしめたくなる。

やぶさかではございません(4巻)

本当に裏切らないというか、絶対的な安心と多幸感に満ちている作品でした。表紙が一貫して不思議さんと上下さんっていうところも個人的な悶えポイント。 最終巻とかいってますけど、同棲編、果ては来世編って続くんですよね? ね?

悪魔二世(1巻)

いやー超面白かった。人間の母と悪魔の父の間に生まれた“悪魔二世”な少女が悪魔退治をする物語。 悪魔と渡り合う力を持つ一方で、人間の血も引くから悪魔が付け入る人の弱さや欲にも寄り添えるニューヒーロー。静かな筆致でやってることエグいのも好き。

島さん(1〜6巻)

ベテランのコンビニ深夜アルバイト・島さんと、その同僚やお客様たちが織りなす群像劇。島さんは人の優しさや誠実さとか、そういった絶対に忘れちゃいけないのに、つい見逃したり捨て置いてしまうモノを丁寧に掬い取ってくれる。最新6巻では、初めて島さんが「怒る」んだけど。その理由も実に島さんらしくて沁みた。

最新巻の発売を記念して、川野ようぶんどう先生にメールインタビューさせていただきました。連載初期から現在に至るまでの変化や、6巻の見どころなど、たくさん綴ってもらっています。

彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる(全3巻)

実写ドラマが絶賛放送中の通称・あやひろ。テンション高めなハッピーGLかと思いきや、話が進んでいくごとにこの世界は2人だけの世界ではないのだと…….。同性愛者を巡る、社会の無自覚な差別意識みたいなところにも切り込んでいる作品です。

実は、今月は作者・Sal Jiang先生のインタビューを担当させていただきまして。作品が誕生したきっかけや、ストーリーの構築など、連載の裏側についてがっつり話を伺ったのでこちらもぜひ。

太陽よりも眩しい星(1〜9巻)

『先生!』『高校デビュー』『青空エール』と、学生時代にたくさんお世話になった(胸キュンさせていただいた)河原和音先生の作品たち。その後も『俺物語!!』『素敵な彼氏』と先生の作品は必ず追っていたのに、最新作『太陽よりも眩しい星』読めてなかったな……!? と気づきこのタイミングで既刊まで一気に読了。結論、マジで、マジで最高でした。

幼馴染の2人が織りなす、青春ラブストーリーなんだが。いやね、幼馴染だから(?)2人ともすぐに「好きだよ(意味深)」って言うんですよ。しかもめっちゃ爽やかなテンションで。「好きだよ」ってやたら言いまくる割に、どの好きかわからないっていうこの焦ったさ!!!! しかもまた登場人物が全員もれなく良い人でさ!! テンプレな悪者キャラとか全然いなくて、もうページをめくるたびに眩しさと清らかさで心がパンクする。直視できない。本当に河原和音先生は天才すぎる。

結婚するって、本当ですか(全10巻)

旅行代理店を舞台に、今の生活を手放しなくない男女2人が、海外転勤を阻止すべく偽装結婚するお話。人と関わることが苦手だったり、避けてきた2人が「結婚」を通じて、他者と真正面から対峙する、対話を重ねていく。コメディ感が強いのでさらっと面白く読める一方で、人と関わることの本質が描かれている作品。アニメの放送が楽しみだ〜

その霊、幻覚です。(1巻)

実は視えている臨床心理士と、視えなくなってしまった幽霊探偵が織りなす、オカルトコメディ。心理学で真っ向から幽霊の存在を否定した後に、しっかりと霊障に見舞われる2人の物語は怖くもあり、くすっと笑えるコメディ要素もある。気軽にホラー作品を読みたい人(ガチで怖いのは嫌って人)におすすめしたい。

詳しくは「文春オンライン」さんでレビューを書かせていただいたので、こちらをぜひに。

ハスリンボーイ(全4巻)

奨学金返済のために、非合法(ハスリン)ツールを調達する「道具屋」として暗躍する大学生のダークヒーローストーリー。2018年〜2019年に「ビッグコミックスピリッツ」で連載されていた作品なのだが、ここ数年の社会情勢を鑑みると闇バイト的な感じで割とリアルな話に感じる。「道具屋」の仕事内容もかなり事細かに書かれているので、なんだか裏社会をそっとのぞいているような。かなり読み応えのある作品。

スーパースターを唄って。(3巻)

表紙を飾るリリーの過去編がメインの最新3巻。1巻でリリーが鏡に向かって「大丈夫だよね。リリー」っていうシーンがなぜだかすごく好きだったんだけど、今巻を読んでからはこのシーンがまた違う意味を持って心に響く。 あとオッサン…….。子供をちゃんと“子供”にしてくれる大人、最高です。

2024年7月雑記🔥

ここからは毎月恒例、今月のお仕事報告です。

▼ コレカラ「編集者の時代」:パイ インターナショナル 斉藤香さんインタビュー

立ち上げ2年で宝島社『このマンガがすごい!2023』ランクイン。芸術書の出版社「パイ インターナショナル」が立ち上げたマンガレーベル「パイコミックス」。その裏側と“既視感ゼロ”の世界に迫ります。

▼ Real Sound ブック:『島さん』川野ようぶんどう先生 メールインタビュー

川野ようぶんどう先生のメールインタビューを担当しました。 初期から現在に至るまでの変化。最新6巻の見どころなど、たくさん綴ってもらっています。

▼  Real Sound ブック:『彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる』Sal Jiang先生 インタビュー

Sal Jiang先生のインタビューを担当しました。 まるでクリエイター版「電車男」みたいなSal 先生の衝撃過去話から、創作秘話、実写ドラマへの想いをぜひご覧ください。

その他執筆記事一覧はこちら

7月はもうとにかく暑すぎて。取材か出社する用事がないなら家に籠るという、かなりインドアな日々を送っていたのですが。「伊藤潤二展 誘惑 JUNJI ITO EXHIBITION ENCHANTMENT」だけは行かねば! と、滝のような汗を流しながら世田谷文学館までエンヤコラ。

伊藤潤二作品のなかでも愛してやまない『死びとの恋わずらい』シリーズの原画を拝めて感無量でした。この作品を象徴すると言うか、不気味さを増幅させている“濃い霧”ってどうなってん??! とずっと思っていたのですが、細かい、細かい、細かい、線の連なりで表現されているんですよ。とても静かで、どこかひんやりとした涼しさを感じる一枚なのに、肉眼で原画を見るとものすごい“圧”を感じる……..。いやー、すごかった。ちなみに、『死びとの恋わずらい』については、8月公開予定の「コレカラ」連載コラムで色々と語っているのでぜひチェックしていただけたら嬉しいです。

そして、早いもので明日からは8月。夏本番。

初旬には今年担当させていただいた数あるお仕事のなかでも、本当に光栄 & 嬉しかった & 楽しかった。『スーパースターを唄って。』薄場圭先生と『BLUE GIANT』石塚真一先生の対談記事が公開されるのでお楽しみに!


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