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2022年8月「読んだ!」マンガまとめ

こんにちは。マンガライターのちゃんめいです。

新旧問わずに、今月読んだマンガを全て紹介する本企画。元々マンガが大好きで毎月たくさんマンガを読んでいましたが、マンガライターとして活動し始めてから読む量が尋常じゃなく増えました。できることなら全作品、しっかりとした漫画評を書きたい!けれど、現実的になかなか難しいので、あらすじや一言感想メインで紹介していこう…といった背景で誕生しました。

ちなみに、「Real Sound ブック」さんでは“今月発売された新刊”というしばりでおすすめのマンガを紹介しているので、とにかく新作が読みたい!という方はこちらもぜひ。

読み応えのある、または濃密な漫画評が読みたい方にとっては、こちらのnoteはかなり薄く感じるかもしれませんが、もし良ければ読んでいってくださいませ。この記事が、あなたにとって新たなマンガとの出会いになりますように。

▼ 過去の記録はこちら

BOOZE&SWEETS~酒と菓子の日々~(1巻)

お酒とスイーツのマリアージュを楽しむBARが舞台のグルメドラマ。 ホットカクテルにおはぎ、ウォッカと花見団子など、作中に登場するペアリングは衝撃的なものばかり。けれど、丁寧な味の説明、色彩を感じるようなキラキラとした筆致によって全てが魅惑の組み合わせに見えてくる。

プライスレスな絵画

https://taiwan-comic-city.taicca.tw/book.php?id=4

7月28日〜8月28日の期間限定で、コレド室町テラスで開催された『台湾漫画喫茶』。厳選された台湾漫画35作品を鑑賞しながら台湾グルメが楽しめるイベントで、数ある台湾漫画の中でもHON先生の『プライスレスな絵画』が好みでした。実在する台湾の画家・楊三郎の半生を真実とフィクションを交えて描いた作品で、華やかで艶やかなフルカラー描写は圧巻!

インク色の欲を吐く(1巻)

19世紀末のイギリスに実在した画家、オーブリー・ビアズリーの数奇な人生を描く。 実在の姉・メーベルが物語に深く関わってくる事で、オーブリーの人生譚だけではなく、耽美な愛憎劇としての面白さがある。そしてもうカバー下の仕掛けが……!これは間違いなく紙で買うべき漫画。

絶滅動物物語(1巻)

もしも小学生だったら、この漫画を自由研究の題材にしたなと……。 人間によって絶滅させられた動物たちが絶滅に至るまで、そして人間の所業を当時の時代背景を踏まえながら描く。 特にニホンオオカミの話は、今も残る狼信仰の話とリンクしていてとても面白かった。

ブレス(1巻)

メイクがテーマの超王道青春ストーリーなんだけど、登場人物全員がとにかく本気。バトル漫画さながらの勇ましさ、強さがページいっぱいに伝わってきて心鷲掴みにされた。 「自分には才能がないってわかった上であがいてくる奴が一番恐ろしい」なんとも痺れるセリフ。

山口つばさ短編集 ヌードモデル

『ブルーピリオド』山口つばさ先生による初の短編集。1作目に収録されている表題作は主人公から八虎の原型っぽさを感じるけど、読後に甘美な余韻が残るのでブルピリとはまた違う趣がある。 満たされない欲求、快楽、歪んだ愛情など、アングラな感情が詰まった一冊。

日暮キノコ短篇集 特異なあのコ

『喰う寝るふたり 住むふたり』でお馴染み、日暮キノコ先生の短編集。 “特異”な体質を持った男女が織りなす5つの短編が収録された一冊。各話、設定がかなりぶっ飛んでいるけど、物語自体に芯があるので、読後も余韻に浸れて何度も読み返したくなる。

喰う寝るふたり 住むふたり(3巻)

昨年から『喰う寝るふたり 住むふたり 』の続編が開幕しているって、なぜかあまり周囲に知られていないので、何度でも私はTwitterで叫んでいくよ……。

今月発売された3巻では、リツコが初めての推し活にハマったり、出産て母になった友人に会いにいく(1巻でリツコとのんちゃんは不妊治療をしていたが子どもを持たないという選択を取った)話など、楽しいだけではなく、DINKsの葛藤といった現代のリアルな夫婦像に切り込んだ人間ドラマが魅力的。しかし、リツコものんちゃんも、そして周囲の人たちも優しすぎて…..。いや、相手への想像力に長けていてもう素晴らしすぎる。

王様の耳(1〜2巻)

誰にも言えない“秘密”を買い取る不思議なバーで繰り広げられる人間ドラマ。 秘密から浮かび上がってくる人間の業。ストーリーはもちろん、各章のタイトルがカクテルの名になっていたり、作中に登場するイソップ童話の存在が醸すミステリアスな雰囲気もたまらない。

しあわせは食べて寝て待て(1〜2巻)

体の不調によってバリバリと働くことができず、職や住まいを転々とし、人生に停滞を感じている38歳独身の麦巻さとこ。そんな彼女が隣人である大家の鈴さんと同居人の司さんから薬膳の知識をシェアしてもらい、心身を整えていく物語。不調を治すとか、どうしたら元気になれるのか?ではなく、不調と折り合いをつけて自分の中の心地よいを模索していくところがとても良い。最近、台湾発の漢方ライフスタイルブランド「DAYLILY」 の食べるお茶に救われている&ハマっている身としては(薬膳と漢方は全然違うけれど)この“自然の恵みで心身を整えていく“という点にシンパシーを感じてグッときてしまった。

もえばな

お花の擬人化アニメをこよなく愛する高校生・深草九十九。そんな彼がオタク心と推しに導かれて華道部に入部、仲間たちと生け花に青春を燃やす物語。最近では少年マンガ、少女マンガといったカテゴライズにあまり意味はないと思うが、掲載が「少年ジャンプ+」ということで。少年マンガで華道部が舞台ってかなり珍しいなと。アイキャッチからも伝わるように、キャラクターがとっても可愛く、またメインである生け花のシーンでは立体感のある繊細に目を奪われる。ちなみに作中に登場する華道の流派はあえて架空のものにしているようで、これによって変な流派論争とか起きずに物語として楽しめるところも良い。9月2日に1巻が発売予定!

だっておれ螺旋丸できたから

毎月、マンガ業界では何かしらの読み切り作品が話題になり、Twitterトレンドにランクインしているが、今月は間違いなくこの作品がやばかった。タイトル通り、あの『NARUTO』の“螺旋丸”という技が突如できるようになってしまった男性高校生の話。同じ集英社とはいえ、これをOKした『NARUTO』岸本斉史先生も最高だし、編集部の皆様、何より作者の月島大先生がクレイジー過ぎてもう大拍手。

女王のトランク(1〜3巻)

父親からDVを受け、毎日つらい暮らしをしている女子高生ハレカ。そんな彼女は、ある日街で見かけた美しい女性のトランクを盗んでしまう。この“美しい女性”というのが、実はSMの女王様で、この女性に導かれてハレカはSMの世界へと足を踏み入れていく。書影からも伝わる通り、女王はもちろん、SMの描写がとにかく美しくてまるでファンタジーマンガを読んでいるかのよう。そして、DVは望まない痛み・暴力。一方でSMは望まれる痛みであり、単なる暴力ではなく一種の愛の証であるという点。痛みの対比と、SMの世界に足を踏み入れたことでハレカが強い女性へと成長していく姿から目が離せない。

七つ屋志のぶの宝石匣(1〜17巻)

『のだめカンタービレ』二ノ宮知子先生の最新作。老舗質屋を舞台に、宝石のオーラが見える質屋の娘・志のぶとイケメン宝石外商・顕が織りなす、宝石ラブコメ&ミステリードラマ。なぜ今まで読んでいたなかったのだろうか……と過去の自分を殴りたくなったほどドハマり!実は顕が“質流れ品”というトンデモ展開に始まり、彼の家族の秘密を巡って複雑に絡み合っていくミステリー展開がたまらん。また、宝石の描写や説明も面白く、これを読んでからというもの宝石を買いたい欲が止まらない。

あかね噺(1〜2巻)

最近だと『約束のネバーランド』以来の「週刊少年ジャンプ」女性主人公ということで話題の本作。落語界の最高位「真打」を目指して、落語に情熱を燃やす女子高生・朱音の物語なんだけど、誰かの意思を継ぐことや努力といった、超王道なジャンプヒーロー要素が詰め込まれていて胸が熱くなる。

生き残った6人によると(1〜3巻)

実写ドラマが絶賛放送中の本作。ゾンビが町に溢れるなか、幕張のショッピングモールに逃げ込んだ6人の男女が織りなす命懸けの恋物語。ゾンビに囲まれた状況でも恋に夢中……という少々ゆるいラブコメっぽく始まるが、物語が進むにつれて奇妙で歪な人間ドラマへと物語が転がっていき、挙句この“6人”って〇〇〇〇〇の可能性もあるのかい!と衝撃的な展開に。毎巻驚きと面白さを更新してくる怪作。

薔薇村へようこそ(1巻)

『東京ラブストーリー』柴門ふみ先生が今描くのは令和の家族。薔薇村と呼ばれる地方への移住を検討する人々の背景にある、家族の物語をオムニバス形式で描く。 家族生活の難しさや尊さ、そして多様な家族の形……。愛情と哀愁を深く感じられる作品。

教えて艶姫神さま~お江戸でアレのお悩み解決いたします~

大ヒット作『人は見た目が100パーセント』『節約ロック』でお馴染みの大久保ヒロミ先生が描く新境地・奇想天外タイムスリップギャグコメディ。仕事も恋もうまくいかない、冴えない令和のOLが江戸時代にタイムリープしてしまう……という話だが、色々あって女性の悩みを解決する“艶姫神”と勘違いされて、江戸時代の女性たちから崇め奉られてしまう。勘違い&タイムリープギャグが多く、基本的には笑いを楽しむタイプの作品。だけど、時代を超えてタッグを組み、とあるプロジェクトに奔走する彼女たちからは前向きなパワーと勇気をもらう。

私の夫と結婚して

https://manga.line.me/product/periodic?id=Z0001993&t=1652447837954

サレ妻がタイムリープして、夫と浮気相手に復讐をしつつ、自分の人生をやり直す物語。ここ数年人気を博しているサレ妻系作品……とうとうタイムリープするところまで来たのか!とその進化に驚きを隠せなかったが、本作ではタイムリープという要素がとにかくうまいこと使われており、復讐方法はもちろん、ストーリー展開がとんでもなく面白い。

2022年8月雑記

夏といえばホラーですよね。まぁ、元々ホラーマンガやホラー映画が大好きなので、季節関係なくホラーコンテンツはチェックしているのですが、今月は本当に豊作だった。というわけで、今月私の琴線に触れたホラーコンテンツを2つ紹介して〆たいと思います。

『マリグナント 凶暴な悪夢』

あの『死霊館』を手がけたジェームズ・ワン監督が、久々に“ホラーをやる”っていうんだから、もう期待しかなかった本作。(死霊館のあとはアクアマンの監督を担当されて少しホラーから遠ざかっていたのです)期待している割に、昨年の映画館公開時はなぜか観にいけなかったのだけども……。

とまぁ、そんな『マリグナント 凶暴な悪夢』が今月Netflixで配信開始しまして、配信日に即視聴したのですが。もうね、ホラーっていうかエンタメ映画なんですよ。多分、最後の20分をやりたくてこの映画を制作したのかな?ってくらい、後半のブチ上がり方異常でした。『マリグナント 凶暴な悪夢』に登場するアレは、チャッキーとかアナベルと肩を並べる、いやそれらをぶちのめすくらいのニュー・ホラーアイコンになるんじゃないのかな。

フェイクドキュメンタリー『Q』

私には、おすすめのホラーコンテンツをひたすらおすすめし合うだけの、稀有な友人がいるのですが。そんな友人が「ねぇ、これ知ってる?」と教えてくれた知ったのが、YouTube番組「フェイクドキュメンタリー『Q』」でした。

チャンネル登録者数 81万人の超人気ホラー系YouTube番組「ゾゾゾ」の皆口氏と寺内康太郎監督が手掛けるフェイクドキュメンタリーで、その名の通り“フェイク”なんですけど、そう思えないリアルさ、そして「あ、これみちゃいけないやつだ」と直感で言葉にできないヤバさを訴えかけてくる、あの感じ。もうね、見たくないのに見てしまうんです。

そして、THE・幽霊的な存在が一切登場せず、また、原因みたいなものを明確にしないところが本当に良い。「で、あれはなんだったの?」なんて感想はマジで野暮。その得体の知れない気味悪さと、答えを言わない余白があるから生まれる余韻と、そこから考察を楽しむのが良いんだよ!!!というわけです。

で、先日の8月27日24時に待望の完全新作スペシャル「フィルムインフェルノ – FAKE DOCUMENTARY Q」が公開されたんですけど、公開までMacの前でいそいそと待機しちゃったりして。もうちょっとしたお祭り騒ぎでした。これがまた40分近くある動画で、史上最高の長さなので、ホラー好きの皆さんはぜひご覧ください。ちなみに、私の一番のおすすめは「留守番電話」という動画です。

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最後に、念のため『東京卍リベンジャーズ』無敵のマイキーを投下して、邪気祓いというか、ホラーコンテンツが醸す陰鬱な雰囲気をかき消すとしますか!

9月もたくさんマンガを読んで、その魅力や面白さをたくさん伝えていきますので、よろしくお願いいたします。


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