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クリスマスにマンガを贈る〜かつての恋人たちの本棚から学ぶ、マンガの選び方〜

2020年は当たり前だった日常がぬるっと失われて行った1年だった。けれど、こうしてクリスマスは例年通りやってくる。

今年は3密を避けるクリスマスということで、巷では貸切クルーザーや自宅でクリスマスディナーといった新しい形式のクリスマスデートが話題になっている。

けれど、クリスマスといえばやっぱり「クリスマスプレゼント」。

これだけは今も昔も変わらないビッグイベントなのではないだろうか。

クリスマスにマンガを贈る

クリスマスプレゼントに何を贈るか。

これは贈る相手やその人との関係性によってまちまちだろう。でも、相手の趣味趣向に合ったアイテムをプレゼントするのがなんだかんだ正解なのだと思う。

少し話が逸れるが、私はマンガが大好きだ。そして、今まで付き合ってきた恋人たちもなんだかんだマンガ好きな人が多かった。故に、私は彼らによくマンガをプレゼントしてきた。

マンガをプレゼントすると、渡す時に「なぜこの作品を贈ろうと思ったのか」という軽いプレゼンが発生し、読み終わったら相手から感想が送られてくるなど、マンガについて何かと深堀して話す機会が増えるのでとっても楽しい。

という具合で、普段はなかなか話す機会がないであろうマンガの感想を聞くことで、彼の審美眼というか...意外と知らなかった価値観とかが甲斐見えたりするので、マンガ好きな人はもちろん、メインのプレゼントの+aとしてマンガを贈るのは全力でおすすめしたい。

「マンガを贈る。」

となると、何を贈れば良いの?という疑問が浮かぶだろう。

そんな時は、贈る相手の本棚を見るのが一番。

完全に持論ではあるが、今回は、私が大好きだったかつての恋人たちの本棚を例に挙げて「本棚から読み取る 、プレゼント(マンガ)の選び方」をご紹介したい。

本棚①|選書がこなれている彼

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私より3つ年上で、趣味は美術館巡りでインストバンドが大好きだったあの人。私が知らないことを沢山知っていて、いつも面白いところに連れて行ってくれたよね。(でも待ち合わせにいつもいつも30分以上遅刻してくるのはまじでどうかと思うぞ!)

そんな彼の本棚がこちら。すばり「選書がこなれている彼」

ポイントはとにかく表紙がアートっぽい。そして、マンガ好きの私ですら「え、どこに売ってるの?!」ってくらい大型書店ではあまり取り扱いがない隠れた名作たちを所有していた。

いちばん衝撃を受けたのは浅野いにお先生の『素晴らしい世界』。浅野いにお先生の作品、もちろん私も大好きである。でも彼の本棚にはあの不朽の大名作『ソラニン』がなかったのだ。理由を聞いたら「俺、浅野いにお先生の良さはあの短編に全て詰まっていると思うんだ...」とのこと。

知名度的に『ソラニン』や『おやすみプンプン』を所有している方が多いのかなと思っていたのだが、王道は行かずに短編選び、そして、冒頭にも出た通り個性派書店でマンガを購入する...。まさに「選書がこなれている彼」。

そんな彼に贈りたいマンガはこちら。

彼御用達の個性派書店でマンガを購入するのが一番手っ取り早い気もするが、もしかしたら本棚にないだけで電子版で購入している恐れがあるので避けたい。また、表紙がアートっぽいという軸で選ぶのも、マンガ好きとして何だか解せない...。

というわけで「選書がこなれている彼」には、必殺・選書返し...!

『珈琲いかがでしょう』は、昨年ドラマ化もされた『凪のお暇』のコナリミサト先生の作品で、移動式の珈琲屋さんを舞台に繰り広げるヒューマンドラマだ。

メディア化された作品を手掛けた先生の過去作は意外と盲点。そんな盲点を突いた作品を贈ると「選書がこなれている彼」の心に刺さるかもしれない。

👉「選書がこなれている彼」の本棚をもっと見る

本棚②|ひたむきなヒロインが好きな彼

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とにかく優しくってサプライズが大好きだったあの人。付き合っていた当時、クリスマスデートの前日に「明日は動きやすい格好できてね!」という謎のLINEを突然送ってきて、当日着ようと思っていたワンピースをそっとクローゼットに戻したこと一生忘れません。(登山でもするのかと思ったら普通にイルミネーションを見るだけでした)

そんな彼の本棚がこちら。すばり「ひたむきなヒロインが好きな彼」

とにかく彼の本棚は、女性ヒロインが活躍するマンガが多かった。

中でも彼のお気に入りは『四月は君の嘘』のかをちゃん(宮園かをり)。まるで春のように温かくて天真爛漫なかをちゃんのことを絶賛していて、少々性格がきつめで気性が粗い私は、申し訳ないけどかをちゃんみたいにはなれないな...と思った切ない思い出がある。

そんな彼に贈りたいマンガがこちら。

彼が好きそうな「ひたむきなヒロイン」が登場するマンガは、挙げようと思えば沢山浮かぶ。でも、せっかくなら彼の好みを尊重しつつ、新しいマンガと出会ってほしい。

ジェンダーレス男子に愛されています。』は、SNSで大人気のジェンダーレス男子・めぐると、どちらかというと男らしい社会人女性・わことの同棲生活を描いた恋愛コメディ作品だ。

めぐるくんがとにかく可愛くて、この作品ではヒロイン的な立ち位置をする一方で、彼女であるわこちゃんを恋人として力強くリードする一面も甲斐見えて、気付いたらめぐるくんにハマってしまう。

というわけで「ひたむきなヒロインが好きな彼」には、必殺・ニュータイプのヒロイン返し!

ヒーローにもヒロインにもなり得る、そんな新しいキャラクターと出会うことで彼の本棚がもっと彩豊かになったら良いな。

👉「ひたむきなヒロインが好きな彼」の本棚をもっと見る

本棚③|あれ、ここは漫喫?もはや解読不能な彼

最後にご紹介するのは、正確には恋人ではない...。でも、好きだった、でも恋人になることが叶わなかった彼の本棚だ。

「え・・、ここ漫喫?」

それくらい壁一面に本棚とマンガが並んだ、恋においても趣味のマンガにおいてもラスボスみたいな部屋に住んでいる人だった。

こんなラスボスみたいな人にマンガを贈るなんて、もうお手上げだ。

「マンガ」というエンタメを愛している以上、おそらく全作品を愛している。だから、今までの彼のように本棚から傾向を分析するなんて愚行だ。

そんな彼にクリスマスプレゼントにマンガを贈るのであれば、残された手段は「発売日」という圧倒的スピード感しかない。

作戦はこうだ。「コミック発売カレンダー」をもとに、クリスマス前後に発売されるマンガをチェックする。

いくつか目星をつけて、その作品を購入しまずは自分で読む。その中から自分の中で面白かったと思う作品をプレゼントする、という方法だ。

ここまできたら、もう意地。

マンガ好きなあの人に喜んでもらえる、そんな一冊を選ぶ。もはや自分の中のマンガ愛をかけた戦いなのだ。

一番のプレゼントは

かつての恋人、そして大好きだったけど恋人になれなかった計3名の男性の本棚を(勝手に)見せながら「本棚から読み取る 、プレゼント(マンガ)の選び方」を紹介してみた。

改めて振り返ってみて思ったのは、こうして「相手のことを考えて、相手のためにプレゼントを選ぶ時間」。それが何よりもかけがえのない時間であり、その過程が相手にとっては何よりも嬉しいのプレゼントなのではないのだろうか。

最後に。今年のクリスマスプレゼントにマンガを贈ろうとしている、またはメインのプレゼントの+aに何かを贈りたいと思っている方にとって、このnoteで紹介した選び方が参考になることを願うばかりである...。

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