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映画『バニラ・スカイ』(2001)の感想

映画『バニラ・スカイ(Vanilla Sky)』を見た。1997年のスペイン映画『オープン・ユア・アイズ(Abre Los Ojos)』のリメイク作品である。

監督・脚本はキャメロン・クロウ、出演はトム・クルーズ、キャメロン・ディアス、ペネロペ・クルスといった当時の大スターが三人も出ている。

トム・クルーズは製作にも関わっているのだが、ペネロペ・クルスに会いたいがためにリメイク権を買い、彼女をハリウッドに呼び寄せ、ニコール・キッドマンに離婚を切り出したと言われている、いわくつきの作品でもある。

ストーリーはいけ好かない金持ちのボンボンのデイヴィッドが、女性(キャメロン・ディアス)をもてあそんだがゆえに、交通事故に遭い、大きく運命が変わってしまう。

そして、痛みの伴う現実から逃れるために、夢を見ることを選んでいたことに夢の中で気が付く、というお話である。

「起きて」「目を覚まして」が作中頻繁に使われる。これは身体を使わない、肉体労働をせずに暮らせるようになった現代の人々に対するメッセージでもあるだろう。ただ、パソコンをいじくるだけの労働をしている人に、生きる実感はあるのか、と問うているようでもある。

日々、身体と頭を使って、身体性を失わずに生きている人々は、成功者と呼ばれることはないが、より健康に生きられるような気がする。

わたしはすでに中年にさしかかっているのに、いまだに自分の体と頭とうまく付き合うことができない。朝、起きられないし、夜は夜更かししてしまう。そして、運動不足になると、たちまち、抑鬱状態になる。わかってるなら、運動サボるなよ! と思う。

肥大化した脳みそとどう付き合えばいいのか、というのが、この映画の主題であると思う。人類は思考に振り回され過ぎるのだ。もっと、身体とうまく付き合わなければ。

そして、この映画で見るべきは、やはりペネロペ・クルスである。当時27歳の彼女は、本当にキラキラしている。スクリーンの中の彼女はとてつもなくキュートで、めろめろになってしまったトムの気持ちもよくわかる。そういう一瞬を切り取ることができている映画は貴重だ。

『バニラ・スカイ』のトム・クルーズは、『レインマン』の主人公と同じで嫌な奴である。でも、悪人ではない。近いうちに『マグノリア』も見直したいなあ。

(そして、本日2月24日、ロシアのウクライナへの侵攻が始まってしまった。リアリティもなければ、緊急性、必然性もない戦争に驚いている。政治に無関心でいい、なんてことはありえないのだなと)

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