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#映画感想文249『65』(2023)

映画『65/シックスティ・ファイブ』を映画館で観てきた。

監督と脚本はスコット・ベックとブライアン・ウッズ、出演はアダム・ドライバーとアリアナ・グリーンブラット。

2023年製作、93分、アメリカ映画。

行くか行くまいか、かなり迷った。わたしは主演のアダム・ドライバーが好きなので観たかったのだが、いかんせん、タイトルが微妙。

SNSで口コミをチェックすると、「B級映画っぽくてよい!」という意見がチラホラ。鑑賞しながら考えていたことは「これはB級というより、夏休みのファミリー向け映画なのでは?」ということだった。

舞台は惑星ソマリスという架空の星から始まる。(タルコフスキーの『ソラリス』じゃないよ。ソマリスなのよ)

ミルズ(アダム・ドライバー)は、宇宙探査の仕事をしている。妻と病弱な娘がいて、その娘の治療費のためにも稼ぐ必要がある。家族と離れて、長期探査を終え、帰路についたところ、宇宙船が小惑星と衝突し、ある星に墜落する。そこはなんと、6500万年前の地球。恐竜やら気持ちの悪い虫やら動物がわんさかいる古代の地球だったのだ!

乗組員のほとんどは墜落時に亡くなってしまい、生き残ったのはミルズと少女のコア。ミルズたちは自動翻訳機を使って会話をしていたため、言語が違っていても問題がなかったのだが、そんなものは墜落時に壊れてしまい、二人は身振り手振りで、意志疎通を図っていく。

二人のミッションは、とにかく地球から脱出すること。そのためには、山頂に落下した救命ボート(脱出船)に乗り込み、SOSを出さなければならない。

そこら中に沼地はあるし、鰐や凶暴そうな鳥はいるし、肉食恐竜は二人を捕食しようと襲い掛かって来る。文明の利器のビーム銃で、ミルズは立ち向かうのだが、恐竜の動きがうねうねしていて気持ち悪い。恐竜って現実にいたら、こんな感じかもしれないなとも思った。

(二人の移動があまりにも過酷で、都市生活って最高じゃんと思ってしまった。寝ていると口の中に、牙を持った虫が入ってきたりするのよ、ひょえーー、6500万年前の地球には住めない)

そして、この映画の展開のほとんどが「アダム・ドライバー、後ろ、後ろ!」と、忍び寄る恐竜に必ず観客が先に気が付くように作られている。

「志村! 後ろ、後ろ」を実際に見たことはないのだが、あれの繰り返しなので、小さなお子さんは夢中になって見るのではないだろうか。心地の良いマンネリズムであった。

そして、二人が山を登っている最中に、ガンガン小惑星が落ちてくる。えー、恐竜が滅びる、あれじゃん! 『ドラえもん のび太の恐竜』で勉強したやつじゃん。一日で、ミルズとコアは恐竜に襲われまくり、小惑星によって何度もピンチを迎える。確かに、この設定がB級っぽい。しかし、てんやわんやは悪くないし、ミルズは父性的な人なので、安心して観ていられる。

もちろん、二人は無事に脱出できるので、家族で安心して観られる映画だと思う。まあ、ちょっとグロテスクな感じはあるけれど。

アダム・ドライバーって、マッチョなのだけれど、文系っぽく、狂気と天然を兼ね備えた、掴みどころのない俳優さんで好きなのだけれど、ここのところ、仕事に恵まれていないような気がしないでもない。『ホワイトノイズ』の評判もあまりよくなかったし…。いやいや、それでも、追いかけていくよ。ひっそり、こっそり、応援し続けていきたい。

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