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映画『ドライブ・マイ・カー』(2021)の感想

濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』を映画館で観てきた。村上春樹の『女のいない男たち』が原作である。

車が走るシーン、車の中での会話に不思議と癒される。

3時間近くあるのだが、起承転結がはっきりしている物語ではないので、今、自分がどのあたりにいるのかが、わからなくなっていく。主人公と同じく、他人に運転を任せるほかなく、どこにたどり着くのだろう、と思いながら、観ていた。

西島秀俊さんは、あれほどイケメンであるのに、女にふられたり、裏切られる男の役が、なぜあんなに似合うのだろう。

役者が役者を演じ、映画の中に脚本があり、妻の語りによる小説がある。ストーリーと『ワーニャ伯父さん』の台詞がリンクしたり、離れたりしていく。重層的なメタ構造があり、車の中と外というのも、メタ構造の一部になっているのだと思われる。

原作は読んだことがあるはずなのに、何も覚えていなかったので、再読しようと思う。

なぜ、二人は、北海道に行くのか。ロシアに似た白い大地は、北海道にしかない。白のイメージはロシア文学の核であり、そこに神様がいるのだと以前、亀山郁夫さんが指摘されていたことを思い出した。

チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!