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映画『ヒア アフター Here after』(2010)の感想

映画『ヒアアフター(原題:Hereafter)』を観た。監督はクリント・イーストウッドで、マット・デイモンとセシル・ドゥ・フランスが出演している。2010年のアメリカ映画で、言語は英語とフランス語が使われている。

死者の魂と対話する超能力を持つジョージ(マッド・デイモン)のもとには、その噂を聞きつけたたくさんの人々が訪れる。彼らは死者と少しでも話がしたい。藁をもすがる思いでやってくる。ジョージは自分の能力を使うことに抵抗感、嫌悪感を持ち始め、能力を使うのをやめたいと考えている。

マリー・ルレ(セシル・ドゥ・フランス)は、津波に巻き込まれ臨死体験をする。そこで、死後の世界があるのだと知る。そして、それにこだわるようになり、職場の人々や周囲とのあいだに溝が生まれていく。(この津波は2004年のスマトラ島沖地震がモデルになっていると思われる)

もう一人の主人公はロンドンに暮らす一卵性双生児のマーカスとジェイソンだ。不良少年たちに絡まれ、運悪く交通事故に遭いジェイソンが亡くなってしまう。ジェイソンと話したいという一心で、マーカスは霊能者のジョージを探す。

ジョージが霊能者として、死者とのあいだに入り、死者と生者の対話を成り立たせる。それだけの映画なので、大掛かりな装置は何もない。マット・デイモンが薄暗い部屋で目を瞑り、集中するだけの描写しかない。だからなのか、この映画が持っている静かな雰囲気に不思議と癒される

疲れを感じているときに、見るにはちょうどよいテンションで、なぜだか、繰り返し繰り返し見てしまった。

ソナーリ・デラニヤガラの『波』は、2004年のスマトラ島沖の津波によって夫と子どもたちを失う。その当時とその後の痛みが丹念に描かれている。巻末には、東日本大震災の3.11でダメージを受けた日本へのメッセージもある。痛みと苦しみを抱えて生きている人々はたくさんいる。幸せそうな人々を見て、わが身の不幸を嘆きがちだが、痛みを胸に秘め、生きている人々がすぐ近くにいることを忘れてはいけないのだと思う。

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