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素晴らしき哉、サントラ1:『大奥』

さて一発目のサントラは何にしよう? なんて考える間もなく決まっていたのは、フジテレビのドラマ『大奥』のもの。(つい最近『大奥 第一章』を見直して盛り上がっているという、ただそれだけの理由です)

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『大奥』はこのシーズン1が人気になったから、その後シーズン3まで製作されて、さらにスペシャルドラマとしても3回も作られている大ヒットシリーズだけど(柴咲コウと二宮和也の映画の物とは別のもの、あっちはよしながふみさんのマンガ原作の、”男女逆転大奥”ね)、

主演は菅野美穂ちゃん、ライバル的な立ち位置の大奥総取締に浅野ゆう子さん、菅野ちゃんに仕える”まる”役が池脇千鶴ちゃん。菅野ちゃんが嫁ぐ相手が、顔にアザメイクの北村一輝氏、忘れちゃいけない、恋に溺れて島流し、の初島役の木村多江さん(以来我が家では、木村さんの呼び名はずーっと「初島」。ご本人はお嫌でしょうが…)。

音楽、女同士の対決、豪華で色や刺繍がホントに美しい着物、サブキャストのようでいてかなり存在感のある男性陣、「美味でございますうう~~♪」の3人組みなど、その後のシリーズの肝となる要素はこのシーズン1に全部詰まってた。特に音楽。

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大音量の「ああああああ~ああーーっ♪♪♪」(知ってる方は脳内再生してください)のテーマ曲(のようなもの)は、「炎上」というタイトルで、ここぞ!のキメシーンに何度もかかるから一発で覚えます。コレは大掛かりな時代劇だぞ、という印象と、女性の悲劇の運命、みたいな印象が伝わる名曲。

他のシーズンも好きだけど、このシーズン1がとにかく好きで、何回か通しで見直しているので、「別離」とか「涙夜」という曲が流れると、鏡を見ながら泣いている菅野ちゃんの泣き顔が目に浮かぶ。「恋心」というピアノ曲は、ちょっとホッとするシーンとか、あまり言わなかった本音を言うシーンなんかの時(ざっくりした記憶で書いてます)。

「革命前夜」という曲は割とアップテンポでギターやシンセっぽい音もあって、ややロック調。緊迫した何かに向けて、という感じでめちゃ盛り上がる。「あーああー」って一緒に歌っちゃう。

「緑」っていう曲も誰かが悩んでたり、どうしようもないことを受け入れたりするシーンの印象。「狂気」はそのまんま誰かが悪だくみしてるとか、こっそり何か…というようなシーン。

「蝶のワルツ」(「まるのワルツ」もある(笑))は唯一のんきというかホッとさせる3拍子で、メインの音はアコーディオンだし、よく考えたら「和」の印象はない曲なのに、初めて見た時から和の映像に違和感なく受け入れてた。我が家であ「チ~タッターチ~♪」と歌われます。

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元々この『大奥』は、「スーパー時代劇シリーズ」というフジテレビのその時点での新しい試みの枠だった気がする。それまではあまり時代劇に出たことのない若い俳優も起用して、セットや衣装は本格的に、というような。

だから音楽も、それまでの印象と全然違っていい、という思い切りが感じられるし、オリジナル音楽なのにどの曲も覚えやすいメロディーと、場面とぴったり合っている印象が本当に強くて、音楽担当の石田勝範氏と、演出の林徹氏を尊敬しちゃう。

ライナーノーツを読むと、林さんが「撮影途中の映像を仮編集して、その都度京都から送りながら音楽の完成を待」っていたんだそう。なんて贅沢なっ! だからあんなに場面や空気に合う音楽になったんだと納得。ドラマ制作の通常の順序はよく知らないけど、多分映像を見ながら曲を作れることってそんなにないのだと思う。

やっぱり熱い思い入れで作られたものって、ちゃんと思いが伝わるし出来上がるもののレベルが高い。

ちなみに「スーパー時代劇シリーズ」の一発目は、三上博史主演の『陰陽師☆安倍晴明〜王都妖奇譚〜』で、そこから見てた。その時の主題歌がBOOM BOOM SATELLITESの『BLINK』って曲で、それも曲も使い方もカッコ良くてすごく気に入って、そこからBOOM BOOMを結構聴くようになった(変な出会いと笑ってください。川島さんが亡くなってしまわれ、最後のアルバムの曲を聴くと泣けます)。

エンディングのみ既存の曲だったけど(それもそれで良かった)、それ以外すべてオリジナル曲で、ここまで世界観とぴったり合って、盛り上がる音楽ばかりで構成された『大奥』のサントラは、かなりレア。

ドラマが好きだった人は、ぜひ一緒に「ああああああ~ああーーっ♪♪♪」を歌ってくださいまし。

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