宿坊20代目当主から見る地域のいまと未來【地域の「先達」にインタビュー①】
こんにちは!めぐるん社の水澤です。
夏本番、サウナのような熱気に包まれていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
さて、突然ですが、本記事より4回に分けて、「地域の持続可能性を深堀する」ことをテーマに、出羽三山に深く関わる皆様へのインタビュー記事を発信していきたいと思います。
今年の3月より、出羽三山地域のうち、羽黒地区の文化・地域運営に携わっている方々に私水澤がインタビュアーとして、
羽黒地区の過去と現在の違いは何か
めぐるんの印象
めぐるんに期待することは何か
未来を生きる世代に期待することは何か
という4つの観点でお話を伺ってきました。
確固とした伝統が根付く当地域ですが、めぐるんへの意見を含めて「持続可能な観光とは何か」を考える機会にしていただきましたので、興味がある方はぜひ目を通していただければと思います!
本記事では、粕谷 典史さん(かすや のりふみ、羽黒宿坊組合長・宿坊三光院(さんこういん)二十代目当主)の声をお届けしていきます。
①時代に伴う地域の変化について
水澤)過去(数十年前)と比較して、羽黒地区のどのようなところに変化を感じますか?
粕谷さん)少子高齢化、それに伴う村落の崩壊、若者の信仰離れが大きな変化。(かつては)同じ人口をもつ人たちが集団でバスで出羽三山に来ていた。(現在は)そもそも(観光に来る)人がいない。(その上に)コロナで追い討ち、講中(こうちゅう)*含めて人が来なくなっている。
水澤)コロナの影響はやはり大きいですか?
粕谷さん)コロナによって、松例祭(しょうれいさい)など地域の催しができなくなり、若者の伝統に対する意識が薄れてきている。(これは)由々しきこと。
②めぐるんに対する印象
水澤)めぐるんはこの地域に移住してきた皆さんで立ち上げられましたが、粕谷さんから見て、めぐるんに対してどのような印象を当初はお持ちでしたか?
粕谷さん)めぐるんができた当初に(めぐるんが)言っていたことは、まさしく絵に描いた餅だったという印象。教科書に書いてあるような理想的な意見(町おこしのためにこうするべき、など)ではなくて、自分たちの地に足ついた意見を出すことが必要で、もっと現実を見て行動する必要があると、めぐるんの様子を見て感じた。例えば、檀家と触れ合う機会を作るとか、現場をもっと見る必要があるのではないか、という印象を持った。
③めぐるんに対する期待
水澤)この地域にめぐるんが関わり続けていく中で、期待されていることはありますか?
粕谷さん)新しい参拝の形が生まれてくるかもしれないよね。(これまでなかった海外からの旅行客への修行体験の提供などの活動を起こしてきたことで)大きな動きが生まれてきそうな気がするよね。
④若い世代へのメッセージ
水澤)未来を生きる世代に対して、粕谷さんが期待をすることなどあればお聞きしたいです。
粕谷さん)慣習、お祭り、催しなどの伝統を守ること。そして、それらの意味を理解し、尊重し、守っていく若者を(集落で)育てていく必要がある。今のところは地域の人間によって文化や慣習が守られているけれど、数十年後に(少子化によって)どういう状況になっているか分からない。
水澤)文化や慣習に関しては、確かに若い世代に引き継ぎ、守っていく必要がありますよね。信仰に関しては、どのようにお考えでしょうか?
粕谷さん)信仰とは、伝統を守ることで、自然に養われていくこと。建物を守る、伝統を守ることが、信仰に触れること。これまでの集落が共同体の中の公平性を保つために工夫してきた(からこそ)信仰が根付き、だからこそ山を守るという意識や、信仰を守るための基盤がある。だから、集落としての「共同体」という意識を守ることが、信仰を守ることにつながる。面倒なこと、お金がかかることもあるが、良いということはみんなでやりたい。(その過程で)若い世代に、任せる、預ける、ということも一つの手。最初はぎこちないとは思うけど、誰にでも最初はある。これからの若い世代に引き継ぐための道標、土台作りといったことが、私たちにとってするべきこと。
時代も世代も変わり、まさに過渡期を迎えている羽黒地区。これまで通りの集落運営が難しくなる中、若い世代のために土壌を作っていくという粕谷さんの意気込みが言葉からひしひしと伝わってきました。めぐるんに対しても厳しいお言葉を頂きつつ、これまでに無い取り組みに対して評価していただきありがたい限りです。
現在羽黒地区では、めぐるんだけでなく行政や学術関係者なども参画して、景観保護や環境保全、町おこし施策の検討など、幅広い改革が行われている真っ最中。今後羽黒地区が文化資源としてより注目されるために、引き続きめぐるんも幅広い施策を打っていきますので、ご注目いただければと思います!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
本ページでは「持続可能な観光」をテーマに、山形県鶴岡市を拠点とするめぐるんの活動と、地域にとっての持続可能な観光について発信していきます。
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では、また次の記事でお会いできることを楽しみにしております。
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