かえりみちのブルー

誰にも言えない気持ちを書いています。

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彼が100均で買ってくれた桜のグラスの柄を今でも覚えている

春が近づき、桜モチーフの雑貨がショップに並び始めると、毎年胸がキュッと痛む。 15年前の春、100円ショップで買った桜のグラスが、私たちの儚い幸せの象徴だった。 15年前の3月 私は恋人と同棲を始めた。 ふたりとも若く、貧しかった。 築35年のボロアパートで一緒に暮らし始めた。 食器のすべてが、キャンドゥという100均で揃えたものだった。 季節は春で、桜の絵がついたグラスを彼がふたつ買ってきた。 その模様を今も覚えている。 それが15年後たっても胸が痛むモチーフになるなん

    • やるせない時だけ吸うタバコ。見上げた夜空に飛行機がゆく。

      週末に恋人ともめて、とても疲れた。 こんな時、10年前にやめたタバコを吸いたくなる。 こんなふうに、なんかあった時だけ、たまーにタバコを吸う。 久しぶりにコンビニに買いに行く。今は570円もするんだな。 数ヶ月、もしくは数年に一度しか吸わないから、イマドキのタバコの銘柄も値段も覚えられない。 一度本格的にやめているので意外と依存性はなく、数本吸ったら満足し、残りをゴミ箱に捨てるのだけど。 夜更けに、タバコを持ってベランダに出る。 三角座りをしてタバコに火をつけた。 深く吸

      • 別れ話。我慢した感情は決して消えることなく、圧縮されていつか大爆発すると思い知った日

        半年前から、恋人を信じることができなくなった。 信頼関係が崩れ去るような彼の秘密が発覚した。 彼は、私にそのことを知られていると思ってはいない。私もまた、気づいていることを彼に黙っていた。 秘密に気づく前の3年間、 私たちは、本当に大切にしあって何年も過ごした。 だからこそ、と言ったら私の身勝手かもしれないけれど、別れるのなら憎しみ合わずに別れたかった。 ふたりの幸せだった時間までもが後悔に変わるような、そんな言い合いをしたくなかった。楽しかった思い出を綺麗なまま保存した

        • 8年間恨み続けた人物に、予測なくバッタリ再会してしまった日の話

          冒頭から失礼いたしますが、断じてわたしは恨みがましい人間ではない。 わりと人情派だし、もし誰かとけんかしたとしても、のちに爽やかに和解している。冷静になってから「相手にも事情があったんだろう」と考えると、それ以上責める気にはならない。 「あんなことがあったのに、よく普通に戻れるね」と人に驚かれることもある。今、試しに嫌いな人を思い浮かべようと試みたが、該当者が浮かばなかった。 「そんな時代もあったよね、と いつか笑って話せるわ」の中島みゆきばりに 時効を多発し、許し許され

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        彼が100均で買ってくれた桜のグラスの柄を今でも覚えている

          ああけっこう病んでいるなと気づいた今日

          このところ、無理をしていた。 普通に考えて受け入れ難いことを、なんとかして受け入れようともがいていた。 それくらいやれるさ!と自分を鼓舞し、心に折り合いをつけようと無理をしていた。 でも、うすうす気づいていた。 たぶん無理なことに。 往生際が悪い。でも後悔だけはしたくないから、もうこれ以上はない!というところまでやり切りろうとしていた。この数ヶ月。 そしたら今日 不意に、なんでもない場面で涙がこぼれた。びっくりした。 夜に車を走らせていた。 一時停止のところで停止すると

          ああけっこう病んでいるなと気づいた今日

          失恋の予感

          私はもしかしたら失恋するのかもしれない 3年間幸せだった。 終わりが来ることなんて考えてもいなかったけれど、ただ私が楽観的すぎたのかもしれない。 彼が隠していることに、ひょんなことから気がついてしまった。 どうか気のせいであってほしいよ。 でもどうやら気のせいではないみたい。 彼は、変わらず私にとても優しい。 きっとバレない限り、彼のほうは別れるつもりはないのだろう。 気がついていることを、彼に言おうか。 それともこのまま黙っていようか。 それが事実なら、私はとても受容

          お世辞とか、八方美人とかじゃない褒める理由

          「人をよく褒めるよね」と言われることがある。 「人のいいところをよく見ているよね」 「嬉しいことを言ってくれるよね」 しかし、この人(私)は調子良く誰にでも言っているのだろうと思われてしまったり、お世辞なんじゃないかと訝しむ人もたまにいる。 褒められること自体好きではない人もいるし 褒めるという行為は、厳密に言えば上から目線でもあると思うので、褒められると不愉快になる人もいるかもしれない。 褒めるなんて、エラソーにするつもりなど少しもないのだけれど いいなと思うと、伝え

          お世辞とか、八方美人とかじゃない褒める理由

          お正月のブルース

          子供の頃からお正月が苦手です。 いろいろ大変な家庭で育ったので お正月というのは、一年で最も孤独を感じてしまう数日間でした。 日頃、普通であることに何の価値も見出してはいないのに お正月は、明るい普通の家庭がまぶしく見えてしまってね。 厳密には、普通の家庭なんてきっとどこにもないのだろうけれども。 そんなままで大人になった私は、 毎年お正月が近づくと、ほんの少し憂鬱になります。 お正月の寂しい記憶を、楽しい記憶で上書きしたい願望があるようで 毎年、綺麗なお椀でお雑煮を食

          お正月のブルース