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別れ話。我慢した感情は決して消えることなく、圧縮されていつか大爆発すると思い知った日

半年前から、恋人を信じることができなくなった。
信頼関係が崩れ去るような彼の秘密が発覚した。
彼は、私にそのことを知られていると思ってはいない。私もまた、気づいていることを彼に黙っていた。

秘密に気づく前の3年間、
私たちは、本当に大切にしあって何年も過ごした。

だからこそ、と言ったら私の身勝手かもしれないけれど、別れるのなら憎しみ合わずに別れたかった。
ふたりの幸せだった時間までもが後悔に変わるような、そんな言い合いをしたくなかった。楽しかった思い出を綺麗なまま保存したかった。
私は、何も言わずに綺麗に別れようと自分の中だけで決めた、半年前。


「綺麗に別れる」といえばなんだか聞こえはいいが、そうじゃない。私は正面から向き合わないことを選んだのだ。卑怯だよね。
私はこれまでそういうタイプでは全くなかった。
それなのに今回に限って一体なぜだろう。絶望したからなのか、青天の霹靂だった秘密の発覚に心がフリーズして言い合う気力を失ったのか、それとも本気で好きだったからなのか、わからないけれど。

この半年間、最後の時間だと思って仲良く過ごした。
ある意味濃密な時間だった。
何も知らない彼と笑い合うたび、ああ、あとどれくらいこうやって笑い合えるだろう、と胸がキュッとなった。ああ、本当に好きだったこの人が…としみじみした。
手を繋いで夜道を歩く時、ああこの手を永遠に離す日が近いのだと思うと、その温かさに心で泣けた。

…と、こんなセンチメンタルなことを書いておいて何なのだが、現在から振り返って、この時の自分を「独りよがりでキモい女だった」と回想する。

なぜなら、このあと私は、綺麗に別れるどころか最悪の修羅場を繰り広げてしまったからなのである。いやはや。


感情を我慢しすぎて爆発したのだ。
ある日、そんな話をするつもりもなかったのに、話の流れで大爆発してしまった。自分でもびっくりした。

あなたの秘密が本当に嫌だった!
ずっと前から気付いてるのよ、冗談じゃないわよ!
あなたが私の立場だったらこの状況どう思うのよ?!
もうこんな状況はごめんなのよ、
私を大切にしない男とは付き合うつもりないから別れてちょうだいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!と、キレたのだ。あたくしったら。

せっかく綺麗に別れようと思っていたのに台無しだ。最悪の展開になってもうた。まったく、何もこんなにキレなくても。。
でも、なんか爽快だった、どこかで確実に開放感を感じていた。
こんなみっともない私を嫌いになるんならなってみろ!
いやもういっそ、私を憎めばいいさ!
っちゅうーか、ほんま知らんがな!!!
と、謎に勢いづいて、不必要によくわからない気炎をごうごうと吹き上げた。爆風に髪をなびかせ、そのまま風に巻き上げられ龍のように大空に登ってゆくかのような感覚が訪れ、カタルシスのようなものさえ感じた。なんですかこれ。いったいわたし、どんだけ我慢してたのかっていうのよね。


彼はたじろいだ。そして逆ギレした。
ひとしきり逆ギレした後、静かになり、侘びた。

我慢をすれば、その我慢した感情は少しずつ小さくなり、いつか昇華できるのじゃないかと思っていた。そうだったらいいなと思っていた。
でもそうじゃないのかもね。我慢した感情は、奥底に追いやられ、なりを潜める。でも消えはしない。
そして無意識下に確実に存在し続け、タチ悪いことに、小さくなるどころか増殖することだってあるのかも。
だめだね、我慢は。むしろ危険物だね。

綺麗に別れる計画、自分はやり遂げられなかったことを受け入れよう。
自分の器の大きさがラージではなかったことも認めよう。
最悪の嫌な女になってしまったことも認めよう。
方法は間違っていたけれど、自分はある意味限界まで頑張ったことを認めよう。

でも、すっきりしたよ!
綺麗には別れられなかったけど、ある意味ちゃんと最後に向き合ったよ。
花火のように砕け散って燃え尽きたぜ☆
失ったものも大きいかもしれないけれど、こうしかできなかった自分、人間ぽくて嫌いじゃないよ。長い間お疲れ様!!

彼は謝ってきた。
別れたくないと言った。
でもどうするかは決めてない。
しばらく決めないつもりだ。

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