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技能実習生が日本に来るまで


前回紹介した外国人技能実習生。(前回の記事は下のリンクから)

彼らはどのようにして日本に来るのか。

技能実習生の受け入れ方には2つある。
「企業単独型」と「団体監理型」だ。

企業単独型は、日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人や取引先企業の職員を受け入れ、技能実習を実施する。一方で、団体監理型は、事業協同組合や商工会など営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、参加の企業等で技能実習を実施する。企業が自分たちで実習生を受け入れるか、間に監理団体が入るかという違いがある。2018年末では、企業単独型の受け入れが2.8%、監理団体型の受け入れが97.2%となっている。技能実習生を受け入れている企業の多くが、零細企業だ。そのような会社が、単独で受け入れを行うのは難しいということだろう。

 

企業単独型
団体監理型

上の図にもあるように、団体監理型は、日本の監理団体と送り出し国の送出機関とパイプ役になっている。

現地の送り出し機関は、技能実習生候補者を集め、彼らに対して日本での技能実習に向けた教育を行う。具体的には、日本で生活し働く上で必要となる語学力や日本の文化、マナーや習慣、現地で必要となる実技のトレーニング等とされ、約6ヵ月程度実施される。

送り出し機関にとって、レベルの高い技能実習生を日本に送り出すことが最大に任務であり、送り出した実習生の評価が、送り出し機関の評価になるため、軍隊のように規律正しい教育を行っている送り出し機関も散見される。実習生も、送り出し機関も日本で評価され、安定した収入を得られるように必死だ。

そんな送り出し機関にも問題点がある。それは、技能実習生から、「実習実施機関」から逃げ出すことを防ぐための保証金を取り立てたり、逃亡した場合の違約金等が誓約されていることだ。その金額は、合計100万円を超えることもある。例えば、前回も紹介したようにベトナムの平均月収は3万4千円。年収に換算すると、約41万円だ。そんな彼らから年収の2倍以上のお金を取るというのは、果たして理にかなっているのだろうか。この41万円というのはあくまでも平均年収であって、技能実習生として日本に来ることを希望する人の中には、家計が厳しい農村出身者も多くいる。彼らにとっては、よりこの金額は大きく、多くの人が借金をして用意する。このように、借金を負って日本に来るため、労働環境が悪かったり、賃金が低かったり、暴力を受けていたりしても、簡単に国に戻ることは出来ない。最初から、「借金」という重荷を背負って彼らは日本に来るのだ。1年目でその借金を返済し、2年目から家族に仕送りをする実習生が多い。

なお、2019年に新設された「特定技能」においては、「送り出し機関」が特定技能実習生から事前に保証金や違約金を徴収することが禁止されている。

日本に行けば、祖国の何倍ものお金を稼ぐことができる。そう期待して、借金をしてまで来日する技能実習生。確かに日本に来れば、その借金を返済して、家族に仕送りも出来る。しかし、その裏の面を認識して日本に来る技能実習生はどのくらいいるのだろうか。

ライター:岡田栞那

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