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「外国人技能実習生」って?

「在日外国人」と聞くと、どんな人たちを思い浮かべるだろうか。

学校のALTの先生。日本文化が好きで来日した留学生。最近ニュースでも取り上げられている難民。一口に「外国人」と言っても、様々な形で来日した外国人がこの日本で生活している。


では、「外国人技能実習生」という存在を知ってるだろうか。


在留外国人の中で2番目に多く、2020年末の時点で、約37万人の外国人技能実習生が日本で生活している。
永住者の次に多い外国人技能実習生という存在があまり認知されていないのはどうしてなのか、そもそも外国人技能実習生とは何なのか。


技能実習生とは、「人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術または知識の移転により国際協力を推進することを目的」とした「技能実習制度」によって日本に来ている人のこと(「外国人の技能実習の適正な実施および技能実習生の保護に関する法律」より)。簡単に言うと、「途上国の人を日本に呼んで、技術や知識を提供し、彼らの国の発展に活かしてもらうことで日本は国際貢献をする」ということだ。
技能移転を目的としているため、技能実習生は3年もしくは5年経ったら本国へ変える必要がある。つまり、技能実習は「永住」のない在留資格なのだ。


じゃあ、純粋に技術移転だけをしているのかと言われればそうではない。2019年には特定技能という在留資格を創設し、単重労働と言われる業種で外国人を積極的に受け入れる方向に舵を切った。政府はずっと単純労働外国人は受け入れないと主張していたが、ここで大きな方向転換をしたことになる。このように実際、技能実習生が本当に技術移転による国際貢献のために受け入れられているかは疑問が残る。彼らは実習機関と雇用契約を結ぶため、労働基準法等労働関係法は適応される。技術を学んでいるというよりは働いているという感覚の方が正しいのかもしれない。言ってしまえば、日本の労働不足を補うために受け入れているのだろうか。


では彼らはどんな国から来ているのか。ベトナムが53.2%と半数以上。中国、フィリピン、インドネシアと続く。技能実習制度は、日本と距離が近いアジアからの受け入れを想定しているため、このような国からの受け入れになっている。従来は中国からの技能実習生が一番多かったが、中国の賃金水準が上がり、家族と離れてまで日本で働くことを望む人が少なくなったようだ。そこで代わりに台頭してきたのがベトナムだ。ベトナムの平均月収が約3万4千円。日本で技能実習生として働く場合、最低賃金でも自国の賃金より数倍以上の額をもらえるため、日本で働く魅力はあるようだ。このような理由から、技術習得というよりは、出稼ぎ目的の技能実習生も少なくない。


技能実習生が働ける業種は限られており、農業、漁業、建設、食品製造、繊維・衣服、機械・金属、その他と大きく分けて7業種、82職種ある。最も多いのが、「その他」、2位が「建設」、3位が「食品製造」。その他には、塗装、溶接、ビルクリーニング、介護、宿泊などの職種が追加されている。日本が就労人材として最も入ってきて欲しいと言い続けていた「専門的・技術的分野の在留資格」の外国人数が4位で、アルバイト的な資格外活動が2,3位を閉めていること考慮すると、先程述べたように、単純労働者は受け入れないと言い続けてきた政府の方針とは実態が大きく乖離していることが分かる。
日本も単純労働者を受け入れようとしている。実習生も出稼ぎ目的。そんな現状がある中、外国人技能実習生とかは何か、その意義が改めて問われている。


だからこそまずは知って欲しい。私たちの住む日本に、37万人もの「外国人技能実習生」と呼ばれる人たちがいることを。

ライター:岡田栞那


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