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どうして努力は殺されたのか?

全道大会の初戦、3回裏、私は野球をやめました。正直もう帰りたかったけど、そんなこと言えるはずもありません。だから黙って、あくびを嚙み殺しながら時間をやり過ごしておりました。

この間まで、そこそこ楽しくやっていたんです。レギュラーで試合に出れたし、私が活躍して勝てたときもありました。そのときは超然としたフリをして、胸は踊りに踊っていたり。しかしチームが勝ち進むに連れ、出場機会が減っていった。

恵まれた体格ではありませんでした。なんとか器用さで誤魔化せたのは地元大会レベルまで。筋力のない私は、ガタイの良い選手には勝てなくなっていた。もう少し技術があれば違ったのかもしれませんが、私の実力では戦えなかったのです。

全道大会が決まったあたりから、明からさまにベンチが増えました。子どもながらに、もう見切られていたことを悟りました。悟って、ぷつりと何かが切れる音がして、諦めてしまったのです。

私は筋力もないし、才能もないし、知力もない。どうせできないんだから頑張ってもしょうがないと思うようになりました。そして全道大会の初戦、もう野球をやめることを決意したのでした。

私はこの体験で1つだけ重要なことを学びました。才能がなければ努力してもダメということでしょうか。はい、それもあるかもしれません。しかし才能があるかどうかなんて、終わってみなきゃわからないものです。遅咲きの天才という表現があるくらいです。いつ才能が芽吹くかもわかりません。

私が学んだのは、才能のせいにしたら負けということです。コトバを変えると、諦めたらそこで試合終了ということです。

マインドセットはご存知でしょうか。マインドセットは人間の心理状態を表したもので、固定マインドセットと成長マインドセットの2種類ございます。

固定マインドセットとは先程の私のような、能力は才能は決まったものであり、不変であるという考え方。一方の成長マインドセットは、能力や才能は本人次第でいくらでも変えられるという考え方です。

固定マインドセットの人は努力を怠ります。彼らは能力を向上させるために努力したところで、才能は決まっているためムダと考えます。ムダなので何もしない。何もしないから成長もしない。ずっと同じ場所で足踏みをするだけになってしまいます。

成長マインドセットの人は、いつも努力しています。「どうしたら上手くいくのか」「どうすれば成長できるか」自分に問いかけて、前へ前へと進もうとするのです。成功者やアスリートはほとんど例外なく、この考え方を持っています。

私は体格や才能のせいにして、知らぬ間に固定マインドセットになっていたのです。だけどあのとき「どうしたら上手くなれるか」「どうすれば筋力が弱くても勝てるか」と自分の言い聞かせていたら、違う結果になっていったかもしれません。

今ではだいぶ成長マインドセットの考え方が身についてきましたが、気抜くと才能がないとか思ってしまいます。しかし才能なんて後付け作業、成功したからそう感じるだけであって、最初から備わっているものではありません。一部の例外を除いて、ほとんどの人は月並みですから、そんなの気にする必要なんてないのです。

才能のことなんて考えてもロクなことはございません。

「そんな暇があるなら、前を向いて突き進め!」

当時の私にそう言ってやりたいですね。

#エッセイ #マインドセット #野球 #才能 #努力 #成長

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