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【フェムテック③通信】経営者が「フェムテックが重要」と腹落ちするのは数字とグラフである

IT関連の団体からフェムテックに関する講演依頼を受けて、先日講演をさせていただいた。40代以上の男性9割という参加者からの感想が「率直に数字がわかりやすかった」というコメントをいただいたので、実際の講演内容+αをお伝えしたい。

【背景①】女性版骨太方針が政府から発表

米ゴールドマン・サックスでは、クライアント企業で女性取締役が少なくとも1人いる企業の株価は、上場後1年で44%上昇。
しかし、女性取締役ゼロの企業の株価は13%上昇にとどまったため、取締役候補に女性が1人もいない企業はIPOサービスを引き受けないと宣言している。

このように、多様性のある企業は成長が見込めることが数字として表れていることも関係し、日本でも経営における多様性確保が重要視されている。

2022年6月、女性活躍・男女共同参画の重点方針2022(女性版骨太の方針2022)に「フェムテックの更なる推進」が盛り込まれた。多様性確保のためにはフェムテックの推進が一助になると政府が理解したと推測している。

【背景②】女性の社会進出による「M字」解消

日本における女性の労働力率は、20代から30代にかけて、出産や育児を気に職を離れる女性が増加し、過去労働力率が下がっていた。
筆者の母親(70歳)も、30歳のときに結婚を機に退職。その後専業主婦だったが、現在はそのような女性も減りつつある。

上記の記事によると、最近では30代を中心に働く女性が減る「M字」の解消が進んでおり、35~39歳で働く女性の比率は、2020年で78.2%と働き続ける女性が増えている。

しかし、女性は非正規社員として働くケースが多く、その背景には家事・育児の負担割合などがあるとも言われており、社会システムとしてどうサポートしていくのかが課題となっている。

【背景③】経営に求められる多様性と情報開示

2022年4月から企業経営に求められる「多様性の3つのルール」が新設された。

(1)市場区分変更による、コーポレートガバナンス・コード改訂

上場企業に企業価値の向上を求める行動指針、コーポレートガバナンス・コードが3年ぶりに改定された。改定内容は、2022年4月の市場区分の見直し(プライム・スタンダード・グロース市場)や会社法の改正が背景だが、
取締役や管理職など、積極的な女性登用や情報開示を求めている。

(2)女性活躍推進法の改定

大企業だけでなく、中小企業(101人以上)も女性リーダー登用促進と情報開示が求められるようになった。
フェムテックでも、企業向けサービスを考えている方もいらっしゃると思うが、日本の大半は中小企業であるため、中小企業向けサービスを検討するのもひとつのビジネスチャンスである。

(3)育児・介護休業法の改正

事業規模を問わずすべての組織で男性の育休促進が義務付けられた。
男性・中小企業・地方など、すべてで多様性と情報開示が求められている。

【まとめ】数字とグラフでアクションにつなげてもらう

さまざまな方々から、フェムテック事業のご相談を受けることが多いが、特に大企業で多いのが、「意思決定層に男性が多く、フェムテックの重要性を理解してもらえない」というもの。
課題を理解してもらうために、自分ごと化してもらう必要があるが、男性にわかるような工夫をすることが重要と考えている。

今回の講演でも、
・フェムテックの世界市場規模は、2027年に7兆円以上と言われている
・生涯の月経回数は昔は50回だった、出産数の減少などで現在は450回と10倍近くまで増えている

など、数字とグラフを多用することで、「そんなに!」という印象を持ってもらうことができた。
フェムテック事業を検討されている方には、ぜひ参考にしてほしい。

【イベント案内】日米コミュニティメンバー:ミートアップ交流会

活動しているFemtech Community Japanでは、2022年6月23日(木)19時~、日米コミュニティメンバー:ミートアップ交流会を開催。
当日は渋谷の会場で、ファシリテーションを担当しますので、ぜひ会場&オンラインでお会いできたらうれしいです。申込は上記Peatixからお願いします。

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