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AI大国カナダのFemtech製品・サービスを調べてみて感じたデータとインサイト

Mikinsey&CompanyのFemtech記事を読んでいて、更年期分野の自宅検査キットがホワイトスペースになっているが、更年期女性のヒアリングをしていると、この分野は確実に潜在ニーズがあると思っている。

そこで、以前カナダの自宅検査キットのnoteを書いたが、今回はAI大国カナダのFemtech製品・サービスを紹介しながら、データとユーザーインサイトについて考えてみた。

カナダのFemtechサービス3選

①Reya Health(避妊)

自宅で採取した唾液をラボに郵送し、ホルモンレベルなどに合わせた避妊方法を紹介してくれる。コンサルタントだったDallas Barnesが2019年に起業。

自宅検査キットで検査後に、避妊用ピルなどによる副作用を特定し処方してくれるビジネスモデルは徐々に増加。
有名な企業だと米国のAdyn。唾液と指先の血液サンプルからユーザーのホルモンレベルを分析してくれる。

世界と比較し、日本のピル普及率は低い。しかし、このような自宅検査キットで副作用を特定し、パーソナライズされた提案をしてくれるモデルが増えれば、「ピルを飲んでも大丈夫」という認識が広がり、日本のピル普及率も上がるのではないだろうか。

https://www.un.org/development/desa/pd/data/world-contraceptive-use

②Cosm Medical(失禁)

失禁などの課題を解決する骨盤底筋ソリューションを提供。
同社によると、女性の半数以上が、失禁や骨盤臓器脱を含むなんらかの骨盤の悩みに直面しているとのこと。

失禁による経済的負担は、米国だけですでに年間200億ドル(2兆円)とも言われている。

子宮の位置異常を矯正する「GYNETHOTICS」は、2023年の薬事承認を目指している。プロダクト提供だけではなく、パーソナルケアを実現するプラットフォームを提供しているのが特徴的。

筆者の知り合いが「出産後に骨盤の戻りが悪く、緩んで尿漏れがあった」という話しをしていた。更年期はもちろん、出産後のニーズも高い分野であり、幅広い年代の女性が必要としている商品。

③Calendher Technologies Corp(生理)

生理や睡眠のトラッキングや、ライフスタイルのコーチングが受けられるアプリ「FLOKA Smart Wellness Coaching」を提供。
筆者は、生理→ルナルナ、睡眠→Oura Ring、歩数→Fitbitとそれぞれ別のアプリで管理しているが、それらをひとつにまとめて、コーチングを提供してくれるアプリのイメージ。

現在の筆者の状況は、バラバラのアプリで管理しているため、「今月生理が遅れた」「今日は眠りが浅かった」「今日は歩いてない」と、健康状態の把握で終わっている。しかし、このアプリのように、女性の健康に関するさまざまなデータが集まれば、さまざまな観点から分析も可能になり、病気になったときだけでなく、予防医療の分野にまで発展することが期待できるのではないだろうか。日本でもこのような統合型アプリが出てきそう。

【まとめ】Femtechの発展にはデータとインサイトが肝

AI大国カナダのFemtechサービスを見て感じたのは、プロダクトに収まらず、それを活かしたプラットフォームへと発展させていること。そのために肝となるのが「データ収集」「ユーザーインサイト」。

どんな世界を実現させたいのか、そのためにどんなデータを集めるのかという観点はもちろん、ユーザーが気づいていないニーズにたどり着くためにも、「ユーザーがどう感じるのか」という観点に、常に立ち返る必要がある。

アイデアはすぐにできても、ユーザーに刺さらないとあとで困る。投資する前のヒアリングと、机上で考え抜くだけ考えることを心がけたい。