読むことは旅をすることに似ている
人は、基本的に、自分の属している人間関係のなかで生活を営んでいくものだと思う。たとえ交友関係がひろがることはあっても、そう多くのコミュニティに同時に身を置くことは難しい。
思えば子供のころというのは、家族と、学校のクラスメイトと先生、あとは習い事の先生とか近所の人とか友達の家族とか、たまに会う親戚とか……まあとにかく、直接やりとりが可能な身近な人だけで構成される人間関係が自分の世界のすべてだった。
自分が属する限られた人間関係のなかで「あれ……? こういうふうに思ってしま