アドラー心理学に学ぶ、幸せの本質
フロイト、ユングに並び三大心理学の一つに数えられるアドラー心理学。
その内容からは私たちの幸せというものについてとても考えさせられる。
書籍で特に有名なのが「嫌われる勇気」
あまりこうした本に興味がない方でも、タイトルくらいは聞いたことがあるかもしれない。
ここでは、この「嫌われる勇気」の内容を中心にアドラー心理学から幸福の本質について考えていきたいと思う。
自分の中の価値観を変えたいという方には必見の内容だ。
「全ての悩みは人間関係」
アドラーは、私たちの抱える悩みは全て人間関係が原因であると断言する。
実際私たちがよく悩むことといったら、お金や恋愛、仕事、将来、家族のことなどなど。 これらの問題は突き詰めると必ずどこかで人間関係に行き着く。
顧客と良い関係を築けるか、上司に気に入られることができるか、好きな人の気を引くことができるか、両親と円滑な関係を結ぶことができるか。
私たちが人間という社会的な動物である以上、こうした他者との関係を完全にゼロにすることはできない。
そう考えるとやはり身の回りの人間関係をいかにして良いものにできるかが、人生においてとても大きな問題であると見ることができる。
この点は以下の内容を考える上でも基礎となってくれるので、頭に留めていただければと思う。
トラウマは存在しない
「トラウマというものはない」とアドラーはまた断言する。
私たちは「トラウマ」を、今行動しないでいるための理由にしているということは往々にしてある。
仮に過去に大きな失敗を犯してしまっていたとしても、そのことと今現在新しいことを始めることとの間には実際には何の因果関係もない。
トラウマをうまい言い訳にしているだけだとアドラーは切り捨てる。
しかしこう考えることで過去と決別して、新たな一歩を踏み出せるようになるのもまた事実だろう。
トラウマから少し距離をとって冷静にその事実を眺めてみることで、実は案外大したことではないと思えることもある。
一見アドラーの主張はとても厳しくも感じられるが、実は私たちに前に進む勇気をくれるような内容であることに気付かされる。
「課題の分離」
正直ここがこの本の核とも言える箇所だ。
アドラーは自分の問題と他人の問題を分けることが大事であると言う。
これはどういうことかというと、自分にどうしようもできないことは気にするなと言い換えることができる。
自分がどれだけ努力しようとも、相手の自分に対する評価をこちらが完全に決定することはできない。
それならば相手にどう見られるかといった不確定要素は考慮せずに自分がやりたいように好きなことをやる。これが自らの人生を充実したものにするためにはとても大事であると考えられる。
この考えは現代の私たちを苦しめる承認欲求や周囲からの視線などから解放されるのに大きな役に立ってくれる。
それまでの他者中心の人生から脱却して「自分の人生」を生きるための大きな助けとして機能してくれる。
これがタイトルにもある「嫌われる勇気」だ。
人間関係への応用
またこの考えは人間関係においても応用することができる。
物理的な他人の視線を気にしすぎてしまうという人にとって、自分の課題と他者の課題を分離するいう考え方は一つの救いになってくれるはず。
他人が自分のことをどう思うかを気にしすぎても何も生み出さないのだから、自分ができることだけに意識を向ける。
これを日常の中で意識することで、自分らしくありのままに振る舞うということが少しでも気楽にできるようになるだろう。
「共同体感覚」と他者貢献
しかしこの「嫌われる勇気」を持って自由に行動するだけでは、真の意味で幸せになることは難しいともアドラーは言う。
なぜなら私たち人間は、自分だけが楽しいだけでは真に満たされることができないという面倒な性質を持った生き物だから。
これにはやはり人間が長い間コミュニティという一定の社会性を伴う環境で生きてきたという事実が関係しているようだ。
では心から満足できる人生を生きるためにどうすればいいのかという問いに対してアドラーはこう答える。
「共同体感覚を持って、他者貢献をせよ」
人間は誰かの役に立っていると感じられる時に、自分一人だけの時とは比べ物にならないほど大きな幸せを感じることができる。
誰かに感謝されたり、他者にプラスの影響を与えられた時になんとも言えない嬉しさを感じたことがあるという方は多いだろう。
この感覚を自らの意志で獲得できるようになるためには「自分はなんらかのコミュニティの一員であり、その中で誰かに価値を提供する」
という意識を持つことが重要であるとアドラーは言う。
共同体感覚のヒント
さて、このよくわからない「共同体感覚」を得るために大事なこととして、メンバー各々の長所を活かすという視点を持つことが重要であるともアドラーは言う。
共同体の中でそれぞれが自己効力を感じるためには、自らの強みを発揮した上で周りの人々に貢献するというのが必要不可欠になる。
これを可能にするためにも他者の長所にしっかりと目を向け、なるべくありのままの姿を肯定し、それを活かすように意識することが重要になってくる。
こうして他者との繋がりを感じながら、そこに対して貢献できているという感覚を持てること。
これこそが人生の幸福度が間違いなく高めることができると、アドラーは結論づける。
まとめ
アドラー心理学の内容は人によっては人生に大きな影響を与えてくれるものだ。
やはり長きにわたって読み続けられているのにも頷ける。
中でも「課題の分離」と「共同体感覚」はこの考えの中核になる。
自分自身に集中した上で、それを達成した者同士が新たなシンパシーを作っていく。
そんなアドラー心理学の考え方はあらゆる所に応用することができるかもしれない。
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