フランス旅行が高嶺の花になるくらいには日本が貧乏になった話
「うわ、こんなに値段高くなったんや!」
思わず口に出してしまった。
先日、ミラーレス一眼カメラの購入を検討していた時のことである。
遡ること9年前、2014年5月。
私はミラーレス一眼カメラデビューを果たした。
写真を撮ることが大好きで、それまではデジカメでパシャパシャ撮っていた。が、とうとうミラーレス一眼カメラに手を出した。何回も電気屋さんに通って、手にしたカメラはオリンパス、5万円台。
それから9年の月日が経った。
カメラは壊れた。
愛着があるので修理に出そうとしたところ、型が古すぎて修理対象外だった。
やむなく新しいカメラを探しながら、やっぱり同じメーカーの同じような機種が使いやすいよね、レンズも前回と同じように標準キットと望遠レンズが欲しいよね、などと思いながら見ていたところ、値段を見て驚いた。
10万円を超えていた。
そして冒頭の言葉に繋がったのだ。
「うわ、こんなに値段高くなったんや!」
って。
9年前に比べて、2倍以上の値段になっていた。
これが噂のインフレか…!
もう少し迷おうかなと思いつつ、きっと迷っているうちに、値段はもっと高くなるんだろうなとも思った。
この考えもインフレの時の考えだ…!
まさに物価上昇だ…!
「来年はもっと値下がりしてるかも。今買わなくてもいいや」となるのがデフレの時代。
「来年はもっと値上がりしてるかも。今買っておこうかな」となるのがインフレの時代。
そうか、日本にもインフレの時代がようやくやってきたんだな。
36年間生きてて、物心ついた時からずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっとデフレだった。「物価が上昇する」という感覚が全然分からなかった。でも2023年になって、生まれてから36年経って、ようやくその肌感覚を知った。
日本の物価上昇率は、前年同月比で105.2%(2023年6月統計局HPより)
去年より105%も物価が上がっている。
インフレだよね。
日本だけではない。
世界中でインフレだ。
アメリカは、2022年6月、物価上昇率+9.1%という驚異的な数字をたたき出した。その後ゆるやかになるも、2022年12月でようやく+7%以下となったほど。2023年6月には+3%まで落ち着いたところ。
同じくヨーロッパは、+5.5%である。
そして。
ご存知の通り、すごく円安になった。
円安、つまり円が安くなった=円の価値が下がった。
5年前は1ドル110円ぐらいだったのに、今は1ドル140円ぐらいである。
物価って相対的なものだ。
いくら日本がインフレでも、世界もインフレでかつこれだけ円安が進んだら、世界から見たら日本の物価はどんどん安くなっている。
これを読んでいるそこのあなた。
最近、海外旅行の値段上がったな~って思ってない?
外資の方が給与高いな~って思ってない?
そうなんです、
そういう世界になってきたのです。
先日、ツイッター…ではなく「X」を見ていたら、ちょっとフランスが炎上してた。
詳しいことは「X」の中でみなさま色々お話されているので私が話すまでもないのだが、栄美玄先生のツイートが印象的だった。
フランス旅行が高嶺の花になるくらいには自国が貧乏になった
「あぁ、そうだよなぁ」と思いながら、去年の10月ぐらいに書いた自分のnoteを思い出した。
この時、いつも私のnoteを読んでくださっているコタニさんから、コメントでこんな質問をもらっていた。
これについて書こうと思っていたら、10ヶ月経っていた。コタニさん、大変お待たせしました。忘れていたわけじゃないの。ずっと書きたいなとは思っていたの。ということで、今日ここについて書きます。
例えばの話。
1日の食事手当が5,000円、会社からもらえるとしたら、あなたはどう思う?1ヶ月20営業日だとして、1ヶ月で10万円もらえる計算。
月の食費(平日のみ)で10万円もらえるってけっこう嬉しいなって思いません?
イメージしやすいように、食費1日5,000円の内訳を考えてみた。
こんなイメージかと思う。
何ならもうちょっと安くすませられる。
みたいにしたら、一日合計3,000円ぐらいの食費でもいけるじゃないですか。
こんな感じで月~木を過ごしていたら、金曜日には13,000円ぐらい使えるので、ちょっと奮発して軽いコース料理食べちゃえます。
これが、一日の食費5,000円かけられるイメージ。
食べるものに不自由しません。
ちょっとした贅沢まで出来ちゃいます。
そう、日本ではね。
じゃぁ、アメリカでは?
マクドナルドのチーズバーガーセットでさえ、約1,200円(8.49ドル)する世界。
一年前、ニューヨークで一風堂のラーメンは一杯3,000円するというnoteも書いた。
チーズバーガーセットで1,200円するんですよ?
一杯のラーメンで3,000円するんですよ?
1日5,000円の食事手当では、全然足りない。
これはアメリカの中でも特に物価の高いニューヨークだから、というのもあるけれど、アメリカ全体で見ても、平均して日本の物価の2倍ぐらいの世界なのだ。
去年、facebookにアメリカの物価上昇について書いたら、友人から続々とコメントがきたんです。一部をご紹介しましょう。
アメリカを筆頭に「海外ほんま物価高いねん!」っていう共感の声が続々と集まったんです。
これ、1年前の話ですからね。
それからさらに、物価が上がっていますからね。
さすがに私もコンビニのサンドイッチで1,500円はビックリした。そんな高いんやな。
つまり。
会社から1日5,000円の食事手当をもらっても、
日本なら余裕のある食事が出来る。
アメリカなら3食ファーストフードでもキツイかも。
と言う状態なのだ。
日本で働いて日本で生活しているだけでは、それでも良かったかもしれない。だってお金に余裕がなくても物価が安いから。みんながそれで回っているから。
でも。
いまやグローバル社会。
日本人でも、海外旅行に1回も行ったことのない人は珍しいだろう。
じゃぁ、今フランスに行こうと思ったら?
すぐに行ける?
飛行機代、現地での宿泊代、食費…
さらに円安(円の価値が下がっている=外国通貨の価値が上がっている)の影響もあり、日本に住んでいる私たちから見れば、海外旅行がどんどん高嶺の花になってきているのが実態。
だからこその、先ほどののツイート。
もう、本当にその通りなの。
私の感覚では、15年前はそうでもなかったよ?
円高だったこと差し引いても、ここまでではなかったよ?
シドニーに短期移住した友人も、こう言っていた。
例えば、今これを読んでいるあなたの年収が600万円だとしたら。
日本人の平均年収よりは高い。
だから問題なく生活していけるだろう。
日本では。
(東京23区で子どもの教育費をがんがんかけるとかいうケースは別です。)
でもシドニーでは。
物価が2倍。
つまり、日本で年収600万円のあなたは、シドニーでは300万円相当。
年収300万円。
今と同じ生活が出来ますか?
物価が安い。
回りまわって、給与もそんなに上がっていない。
いや、もちろんインフレ加味して多少は上がっているよ?
でも海外の給与の上昇率と比べたら全然上がっていない。
物価が上がらない
給与も上がらない
そんな日本でずっといたら、海外には行けなくなっちゃう。
こうやって、日本はじりじり貧乏になってきています。
ゆでがえるのように。
そんな国で、働きたいという人が来るだろうか。
観光にはもってこいだけどね。
最近思うのです。
「モノの値段高くなったな」と感じている日本にいる人。
「ニッポン安いじゃーん。じゃんじゃんお金を使おう!」っていう外国から来た方。
どっちの方がターゲット層になるか。
例えば超高級ホテルや超高級不動産なんかは、もはや外国から来た人をターゲットにしている感じがあります。もう、日本に住んでいる消費者はターゲットじゃないんだなって。
今は超高級ホテルや不動産だけですが、こうやってどんどん日本人消費者がターゲットにされなくなってくる可能性も、このままだとあるのです。
高級ホテルや高級不動産の話をしましたが、食事手当の話に戻ります。
1日5,000円の食事手当では、3食ファーストフードでも足りないアメリカ。かたや、余裕で足りる日本。この差はどんどん広がってきているな、と感じています。
ちなみに。
今日の私の昼食は、コンビニで買ったカレーパン、菓子パン、サンドイッチで合計491円だったんですけどね。もしかして私が…日本のインフレを抑制していて…日本をじわじわ貧乏にしている一員なのかしら…。
明日はちゃんとお金使って経済回そ!
(4,623字)
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