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もうすこし、腕のなかで

この子は、8月に生まれました。

急かすような波に、逆らうことなく素直に流されて、導かれるままに安心して。ふわふわと漂っていたあたたかい子宮にさよならをして、せまい狭い産道をいのちがけて押し進んで、その先の光を目指してまっすぐに。

はじめての世界は、あまりに広く大きく、眩しくて。いのちの赤と、クリームの白をたくさん纏ったとても小さなからだは、おおきな役目を果たして安堵したように、時折泣き声をあげながらもゆったりとしていました。

とつきとおか。そばにいてくれて、ありがとう。お母さんにしてくれて、ありがとう。


さて。生まれてから早くも3ヶ月が経ちまして、とても小さかった体は4kgも増えました。母乳やミルクを飲んですぐに眠る日々はとっくに終わり、よく遊んでよく泣いて、にっこり笑顔も覚えました。

天然モヒカンな髪の毛はどんどん抜けるのに、眉毛は一本橋になりそうな程にふさふさで。立派な出臍はしゅーっと萎んでいき、ほっそり顔は食パンみたいに膨らんで。

大好きな絵本や遊びがうまれて、近所にお話仲間のおじいさんおばあさんができて、首座り練習には興味がなく、兄ちゃんが好き。そして何より、抱っこが大好き。

朝も昼も夜も、何時間も、ゆらゆらとんとんゆーらゆら。いまこの瞬間も、寝ついた息子を右腕で縦抱っこゆらゆら、左腕で体を支えながらポチポチと。昼間は決して布団で寝たくないようなので、ずっとずっと抱っこです。

捗らない家事、悲鳴をあげる身体、なくなった自分ひとりの時間。でもそんなものはどうでもよくて、このちっちゃくてどこまでも大きな命を抱きしめてあげられる幸せ。

出来ることなら、ずっとずっと、来年も再来年もそうしていたいけれど。保育園へ通う日が近づいています。さみしいな。さみしい。

がんばって楽しく働くからね。大丈夫だよ、あなたも楽しく過ごしてきてね。たくさんの愛に囲まれて、お友達といっぱいあそんで。お互いに一生懸命に楽しんで、帰ってきたらまたぎゅーっとしよう。抱っこさせてね。

だから、今のうち。寝顔にほおを寄せて小さな鼻息をかんじてみたり、ゆらゆらしながらお散歩に出かけたり。お腹の中から腕のなかへ、温もりを伝えに来てくれたあなたを、いっぱいいっぱい抱きしめさせて。



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