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イタリア旅。 |断崖絶壁に築かれた絶景 〜チンクエテッレ編〜

今回の「イタリア旅。」は、北イタリアの知る人ぞ知る観光名所、チンクエテッレを旅したことについて書く。


季節は冬、12月。

ボローニャで知り合った日本人の友人と、鈍行列車に揺られ続けること約4時間。ようやくチンクエテッレに到着したとき、私たちは満身創痍だった。

イタリアの鈍行列車は、一見すると綺麗だが、実はオンボロであることが多い。

座席はカチカチでクッション性ゼロ。そして私たちが乗った列車は、なぜか窓が半開きのまま閉じることができず、固いシートの上で、冷気にブルブル震えながら移動した。

列車が遅延せず時間通りに動いてくれたことは、不幸中の幸いだった。イタリアの電車事情については、いつか別の機会に、熱く語りたい(?)と思っている。



チンクエテッレを旅する。


断崖絶壁の世界遺産

イタリア北西部のリグーリア州、有名な港湾都市・ジェノヴァのすぐ東に位置する、チンクエテッレ。


「チンクエテッレ」とは、イタリア語で「5つの土地」という意味だ。

その名の通り、チンクエテッレは、地中海の海岸線に並ぶ5つの村(モンテロッソ、ヴェルナッツァ、コルニーリャ、マナローラ、リオマッジョーレ)から構成されている。

さらに南部にあるポルトヴェーネレという集落、そして沖合の群島とともに、世界文化遺産に登録されている。


チンクエテッレの村々が築かれているのは、厳しい自然が生み出した、断崖絶壁の海岸線。険しい崖に肩を寄せあうようにして、色とりどりの家が建ち並ぶ。

チンクエテッレの起源は、遡ること11世紀頃。元々は、地中海沿岸の要塞として築かれた歴史を持つという。

当時、5つの村を行き来する手段は船のみ。陸路からはアクセスできない「陸の孤島」であったため、独自の文化・景観が育まれた。


チンクエテッレの村々を移動する手段は、電車・フェリー・徒歩(トレッキング)の3種類がある。私は、車窓からエメラルドグリーンの美しい海を眺めることができる、電車での移動を選択。

チンクエテッレの玄関口であるラ・スペツィア駅で、電車が1日乗り放題になる「チンクエテッレカード」を購入するのがお得だ(2018年時点)。

早速電車に乗り込み、順番に村を巡っていこう。


※今回は時間の都合で、5つの村のうち、コルニーリャだけは訪れることができませんでした。コルニーリャ推しの皆様、すみません……。



1. モンテロッソ 〜美しいビーチを独り占め〜

海沿いを走る列車に揺られ、陽光でキラキラ輝く海を眺めながら、モンテロッソに到着。

モンテロッソは、美しいビーチが最大の魅力。夏のヴァカンスの時期には、遊泳を楽しむ観光客で賑わうとのこと。

ただ、私が訪れた12月は閑散期で、当然ながら泳いでいる人はゼロ。人通りもまばらで、落ち着いた時間が流れていた。


モンテロッソのビーチ。これぞ、地中海のリゾート!

夏には、モンテロッソのビーチ一面に、パラソルが立ち並ぶとのこと。まっさらなビーチの写真を撮りたい場合は、実は冬の時期の方がおすすめかも。

太陽の光を反射し、美しく輝く地中海。季節外れのヴァカンス気分に浸る——と言いたいところだが、めちゃめちゃ風が吹いていて、極寒だった。


2. ヴェルナッツァ 〜防波堤から望む景色〜

ビーチの景観を堪能したのち、次の村であるヴェルナッツァに移動。

ヴェルナッツァは比較的小さな村だが、海に突き出した防波堤があり、その上から海を眺めることができた。遮るものは何もなく、ひたすらに海。

そして、振り返ったときに見える、反対側の村の景色が何とも素晴らしい。海・家・山・空の絶妙なコンビネーションが織り成す、絵画のような絶景だった。


ヴェルナッツァの防波堤。

防波堤から振り返ると見える、ヴェルナッツァの景色。美しくて、思わず足を止めた。


村の大通りを一歩外れると、ヴェルナッツァの住民が日常的に利用しているであろう、迷路のように入り組んだ路地が続いていた。ほんの少しディープなチンクエテッレを楽しむならここだ。


Il Porticciolo 〜人生で一番美味しかった海鮮パスタ〜

続いては、時間の都合で断崖のブドウ畑が有名なコルニーリャを飛ばし、マナローラへ。

マナローラを歩く前に、駅から海岸へと続く大通り沿いのリストランテ、「Il Porticciolo」で遅めのランチ。


ここで食べた海鮮パスタが、それはそれは美味しかった!!

海老・たこ・貝などの新鮮な海の幸がたっぷりと入った、贅沢な海鮮パスタ。味付けはさっぱりシンプルな塩味で、変に気を衒わずストレートに美味しい!

僭越ながら、人生で一番美味しい海鮮パスタの烙印を押させていただきました。チンクエテッレは漁村の集まりでもあるので、食事は海鮮一択。




3. マナローラ 〜自然と人間の芸術作品〜

マナローラは、チンクエテッレの代名詞ともいえる、切り立った断崖に家々が建ち並ぶ、独特の景観が望める場所だ。

オフシーズンだったが、やはりマナローラは、多くの観光客で賑わいを見せていた。

駅から海岸までの急勾配の大通りを下り、崖沿いの歩道をぐるりと歩いていく。しばらく道なりに進むと、ついにその絶景が姿を現した。


これぞ、チンクエテッレ。マナローラの絶景。

険しい崖と、カラフルな家々。それらを取り囲むように、空と海の青。自然と人間が共同で創り出した、ひとつの芸術作品だ。

チンクエテッレの家々では、今でも人々が実際に生活している。数百年前、この地が築かれたとき、人々はどんな思いでこの家々を建てたのだろう——?


マナローラの通りの様子。家の外壁がカラフルで、街歩きも楽しい。


4. リオマッジョーレ 〜夕焼けに照らされて〜

最後に訪れたのは、リオマッジョーレ。ここもマナローラと並び、チンクエテッレ特有の、断崖絶壁に築かれた絶景を眺めることができる場所だ。

私が訪れたとき、ちょうど夕暮れ時に差し掛かっていた。そのため、朱い夕陽に家々が照らされた、ひときわ美しい風景をファインダーに収めることができた。


リオマッジョーレの村。夕陽に照らされて少し赤みがかり、昼間とはまた違った表情を見せていた。

大通りを外れて細い小道を登り、村全体を見渡せる小高い場所へ。この場所を訪れて、本当に良かったと思う瞬間だった。


沈みゆく太陽と、刻々と色を変える海。

天候にも恵まれ、チンクエテッレを思う存分に堪能した。



私はイタリア留学中、イタリア全国の土地を、合計で30ヶ所以上巡り歩いた。

その中でも、今回ご紹介したチンクエテッレは、間違いなく5本の指に入るおすすめの場所だ。

ミラノやジェノヴァなど、イタリア北西部を旅行する際は、ぜひ旅程に組み込むことを検討してみていただきたい。

それでは、また次回の「イタリア旅。」でお会いしましょう。



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