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体験記事「特別支援の技をわが家の子育てに生かしてみたら…その1」

しばらくお仕事が忙しく…記事を更新する意欲も余裕もなくnoteから離れておりました。その間にも多くの方にいいねやフォロー、コメントをいただいて嬉しく思っております。今後ともよろしくお願いします。

さてさて、今回紹介するのは我が子のことです。現在の我が家には、6歳の娘、4歳の息子、5ヶ月の娘がいます。支援学校で働いているので、おそらくは乳幼児期の子どもの発達や特別支援教育の知識、日々子どもたちと接してトラブルに遭遇する経験も世間一般の方に比べたら多いかと思います。もちろん子育ての方針にも、子どもたち一人ひとりも違いますので。何かの参考なれば幸いです。

言葉かけを変えてみた

今年の夏は職場で「叱る依存」やアンガーマネジメントについて研修をしたのですが…外ではそんな話をしつつもやはり子どもに怒ってしまうことがあります。

なのでそんな偉そうなことは言えないのですが…子どもたちとの関わりの中では、以前にも紹介した声かけ変換にもある、具体的で前向きな言葉かけを意識しています。

(画像はあさ出版より)

例えば

  • 「早く歯磨きしないと絵本読まないよ」ではなく、「絵本を読むために、急いで歯磨きをしよう!」

  • 「なんでできないんだ!」ではなく、「どうしたらいいと思う?」

  • 「早く用意をしなさい!」ではなく、「早く用意をしたほうがたくさん遊べると思うけど…どうする?」や「あと何秒で用意できる?」

  • すぐに怒鳴るのではなく、「3回目だよ…次は怒るよ」と予告する

などなどによって、こちらが怒ってしまい、お互いにヒートアップすることは減りました。もちろん全く怒らない…なんてことはないのですが。

もちろん子どもが成長していく上で失敗は欠かせませんが、それは失敗を通してどうしたら良かったのかを考え改善していく視点を持つためなのだと思います。だから、テーブル上のコップを倒した息子に「もう、なにしてるの?!」と怒るよりは、「その(テーブルの端にある/腕が当たりそうな)コップ大丈夫かな?倒れないか心配」と伝えて子どもがどうしたらいいかを考える機会にしたり、テーブルの奥にコップを置いた子に「コップを倒さないように考えて置いてていいね」とすぐに良いことをすぐに評価したりといった形の言葉かけを大切にしています。

トラブルや失敗に対応する宝物必要なのでしょうが、まずはトラブルや失敗にならないためのこちらからは働きかけやアドバイスといった前さばきも大切にしています(この前さばきという言葉は、『〈叱る依存〉がとまらない(村中 直人)』という本で見かけて以来、気に入って使っている言葉です)。

単に「●●しなさい!」ではなく、なぜそうしないといけないのかという理由もできるだけ説明するようにしています。

例えば、我が子のたちの好き嫌いには苦戦しているのですが(自分も小さい頃からの好き嫌いがあるのでわかる部分もかなりあるのですが…)、栄養バランスの話から「風邪を引かないために苦手なお野菜を食べないといけないよ」なんて話をしています(あか、き、みどりの栄養表を壁に貼ったり)。

(画像は高槻市より)

手洗いや歯磨き、睡眠、お薬なども「なぜ必要なのか」を繰り返し伝えたり、本人に確認するようにしています。

そんなことをしていると娘から「寝る前にスマホ見えたら寝れなくなるよ!」なんて注意されたりするのですが笑

後はすぐに「ありがとう」や「●●できてるやん!すごいやん!」などの言葉、マルやグーのハンドサイン、ハイタッチで褒めたり評価を伝えるようにしています。

僕たち大人はどうしてとできていないところに目がいってしまいますが…でも頑張っているところやできているところはあります。そこを見逃さないようにして、子どもたちに伝えてあげることを大事にしています。

子どもが嫌がったり、乗り気でなかったり、イライラして怒ってたりするときには、こちらがボケてふざけてみたり、ゲームみたいに楽しめる発想をしてみることもあります。

すべきことを可視化してみた

保育園から帰ってくると、リュックを放り出し手洗いしないままテレビを見たり、歯磨きやトイレになかなか行かなかったりする息子。

支援学校では、やるべきことのチェックリストをつくったり、写真やイラストで視覚的に示します。

ということでそんな商品を購入してみました。やることがイラストつきのマグネットで示されて、終わったら上に移動させていくスタイルの商品です。

結論から言うと、うちの子たちにはあまりハマりませんでした。家に届いてすぐの頃は喜んで取り組んでいた(やることがパッと見てわかりやすいのと、あとなにをしないといけないのかの見通しがもて、全部終わらせるのが快感になっていた)のですが…どうやらうちの子たちは、ぜんぶ終わらせることが快感になったり、ルーティンになったりするタイプではなかったようです。

息子も帰ってからやること、お風呂入ってからやることなども「おふろはいって〜、はみがきして〜、くっくっぺーして〜、といれいって〜ねるっ!」のように唱えて覚えてしまったので、今は戸棚の奥でほこりをかぶってます笑。

次は娘が小学校に行ったタイミングで慣れるまではやることリストみたいなのをつくったらいいかな?なんて考えてます。

こういうやることやスケジュールを視覚的に示す支援をする場合は、やらないといけない義務やノルマの押し付けにならないよう「終わったら●●しようね〜」「終わってから●●するために頑張ろうね〜」と前向きな言葉かけをするようにしています。

時間を具体化、可視化してみた

忙しい日々の時間の中でつい言ってしまう「ちょっと待ってて」や「あとちょっとやから!」「すぐ行くから!(すぐ行けない)」などなど。

(画像はillust STAMPOより)

そう言われても子どもたちは待つのが苦手ですし、時間のイメージを理解するのも難しい…ということで、特別支援の技を使って具体化してみました。

まずは「ちょっと」などの抽象的な言葉ではなく、子どもたちがわかる具体的な言葉で伝えます。例えば「あと10秒待ってて!」「ポケモンの歌歌ってて、終わるまでには戻ってくるから」
「手はハッピーバースデーの歌を歌い終わるまでゴシゴシして流すんだよ」みたいな感じです。

こうすると数を数えたり、歌を歌うことで気持ちがそちらに移ってくれたり、見通しが持てたりします。10秒や30秒といったイメージがついてきたら、子どもが「待って」「もうちょっと」と言ってきたときに「じゃああと何秒くらい?」と問い返したりもしています。こんなやり取りの中でなんとなく時間のイメージがついてきているのだと思います。

あとは「このアニメが終わったら」「本を1冊読み終わったら」「あと1回ゲームしたら」などのキリがいいタイミングを予告しておくのも、気持ちの切り替えにいいと思います。

(画像はアルパパの知育ブログより)

ここまでは言葉かけの話ですが、続いて紹介するのは視覚的に時間がわかるタイムタイマーの紹介です。

特別支援の現場では時間の視覚化/構造化で当たり前のように使われているタイムタイマー。もちろん効果はバツグンです。よくわからない時間が見てわかる具体的なものに早変わり、見通しが持てるようになりました。

子どもたちと相談してタイマーをセットすることで、「あとこのくらいやったら終わる」「いやもうちょっと短くしたら?」などと提案や交渉のアプローチができるようになりますし、子どもたちが自分で決めた残り時間なので、終わるときの切り替えもスムーズになりました(もちろん「こんな時間じゃ満足できない〜!!」と怒ってタイマーを限界まで回すことなんかもありましたが笑)。なんなら子どもたちが自分からタイムタイマーを持ち出して「タイマー鳴ったら交代な」と相談したりも。

という訳でタイムタイマーはめちゃめちゃおすすめのグッズです。

片付けを構造化してみた

子どもは本当に散らかします。散らかしの天才です笑。散らかったままは嫌なので片付けるのですが、将来のことを考えると自分たちで片付けるようになって欲しいところです。

子どもたちが片付けできない原因の1つが、何をどこに収納したらいいのかがわからないということです。そこで特別支援の技、構造化と視覚支援を活用していきます…といっても子ども部屋の収納などでテレビやネットで紹介されたりしているものと変わりはありません。

(画像はヨムーノより)

(画像はfolkより)

(画像はミーハーママの2歳差育児ブログより)

要するに「どこになにをなおすのか」が一目瞭然になるように、それぞれの収納スペースを決め、イラストや写真などで示します。

箱に入り切らずに溢れるのも散らかる原因なので、なるべくゆとりのある収納スペースを確保しましょう。注意してください、気づけばおもちゃはどんどん増殖していきますよ!笑。

またパズルやカード類、シルバニアやリカちゃん人形の細かいパーツなどはすぐにバラバラになってしまうので連絡袋やジップロックに入れます。小さい子がいると誤飲の危険もありますしね。

これで下準備はオッケーです。

片付けはめんどくさいものなので、「●●するために片付けしようね〜」などと前向きになるような言葉をよくかけます。

慣れないうちはまず散らかっているものを1箇所にまとめて、「このおもちゃはどこになおすの?」なんて子どもたちに尋ねながらゲーム感覚でどこに収納するのかを確認していきます。

(画像はコエテコより)

時には僕がわざと別の場所になおそうとして子どもたちに注意されたりも。そして片付けが終わったら「ありがとう」と「綺麗に片付いて気持ちいいねぇ」を忘れずに伝えています(「そうだね」と言いつつまた一瞬で散らかす子どもたちですが笑)。

未だにすぐに散らかりますし、「これは●●ちゃんが遊んだやつじゃないから!」なんて姉弟ケンカは日常茶飯事ですが…繰り返すことで片付けのスピードはだんだん速くなってきています。

まとめ

今回は職場ではなく、わが家の子育てで生かしている特別支援の技を、言葉かけと視覚支援、構造化を中心に紹介してみました。

書き始めると、他にも気持ちの言語化、ルールの明文化、性教育、嫌なことやイライラしたときの対応などなどやっていることが浮かんだきました。またそのうちに続編も書いてみたいと思います。

もちろん家と学校は違います。家でも学校でも、デイサービスや学童、習い事先でも頑張らないといけないなら、その子にはどこにも心休まる場所がないことになります。すぐに出てくる自分の教員の顔を押さえつつ、特別支援の技を生かしつつ、でも僕も子どもも楽しんでいける、そんなくらいが丁度いいのかな?なんて考えながら日々を過ごしています。まぁ子育てはキラキラしたものばかりではありませんし、僕自身もわが子故に厳しく叱ってしまい後悔することもあるのですが。

最後に、いろいろ紹介しましたが、子どもたちも含めたわがメガネ家では、「ごめんなさい」よりも「ありがとう」と伝えること、ゆとりをもって楽しむことを大事にしています。

今回紹介したいろいろが皆様の子育てのお役に立てば幸いです。



表紙の画像はパブリックドメインQから引用した、3人兄弟のイラストです。