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書籍紹介『今日からできる!障がいのある子のお金トレーニング』

『今日からできる!障がいのある子のお金トレーニング(鹿野 佐代子/前野 彩)』という本の紹介です。


僕の個人的なお話から

僕は支援学校で社会科教員をしています。

授業では教科書的な内容などの知識をもちろん教えるのですが、それだけではなく学んだ知識や技能が生活の中で活かせる、また家庭や社会での生活や働くための訓練も含めた作業学習での課題を学習に取り入れていくということを大事にしています。

今から8年ほど前でしょうか、当時盲学校の高等部で働いていた僕は、支援学校の教員向けにお金の教育についてのセミナーがあるということで参加しました。

生活で活かせる取組みがたくさんあったそのセミナーの内容を参考に、硬貨や紙幣の識別方法や効果が識別できる便利な財布の紹介、音声アナウンスを使った切符の買い方なども含めた盲学校流にアレンジし、公民分野でお金の授業を行いました。

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(画像はNOBU.tvより)

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(画像は川崎市視覚障害者情報文化センターより)

毎月の収入を振り分けた人生すごろく風のゲームで生徒たちを破産させたり、悪徳商法で何百万円もするツボを生徒たちに売りつけたのもいい思い出です笑(もちろん、そうならないための、なってから対応するための方策も学びました)。

あれから月日が流れ、転勤先の支援学校でもお金(経済)の授業をすることになりました。そんなときに先輩が貸してくれたのがこの本です。

読み進めていくと見知った内容…改めて昔の研修資料を探してみると同じ鹿野先生の名前がありました。

そんな訳で8年越し?の出会いを果たしたこの本を紹介していきます。

お金って大事だけれど、どうしたらいいのかわからない

「障がいのある子どもの将来が心配だ」「(親である自分が亡くなった後のために)この子のためにお金を残さないと」なんて考えたことのある方はいらっしゃると思います。が、具体的にいくらお金を残せばその不安はなくなるのでしょうか?あるいは多額の遺産を残しても、お子さんはどこに住んでどうやって暮らしていくのか?お金を管理できるのか?そのためにいくら必要なのか?に答えることができますか?

答えられないのなら漠然とした不安はなくならないと思います。

逆に、子どもの収入と生活していくのに必要な金額を具体的に計算したり、子どもが「お金を使う・管理する力」を身につけてくれれば、その不安は減っていくのではないでしょうか。

この本は障がいのある子たちやその保護者に、お金の管理や使い方、上手な付き合い方を教えてくれる本です。

自分でお金を管理するために

「お金を持たずに友だちとランチに行った」「電子マネーを使いすぎて改札を出られなくなった」「悪徳商法に引っかかって高額な壺を買わされた」「喫茶店に入ったけれど水だけ飲んで注文しなかった」「自分のお小遣いをもらっているけど使いたくない」お金にまつわる失敗エピソードですが、失敗するかもと考えてお金のことを学ばない取り組まないのでは元も子もありません。

失敗しても、「失敗しないための方法」を考えて、次はうまくいくような後押しをして…を積み重ねていくしかないのです。

本では、幼児期から高校生以上までのお金の教育や、金銭感覚を身につけるためのトレーニング、ライブイベント表やキャッシュフロー表をグラフ化したり、お金カレンダーやマネポケ、袋分けなどを使ってお金を見える化する方法が紹介されています。

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(画像は楽ちんかんたん♪ズボラFPがつくったお金ポケットより)

そんな工夫をしながら、お小遣いが足りなくなったり、お金を何に使いたいのかを考えたり、目標のためにお金を貯めたり、生活に必要なお金を考えたりする中で、子どもたちがお金をコントロールしながら使うことができるようになったなら、将来への不安は大きく減っているのではないでしょうか。

シミュレーションをして必要なお金を把握する

僕もそうなのですがお金の管理が苦手で毎月どんぶり勘定になっているという方もいらっしゃるかと思います。

まずは月々の出費を把握しましょう。最近は口座と連動したり、レシートを撮るだけなど便利なアプリがあります。家計簿本でもマネーフォワードZaimなどの家計簿アプリが紹介されています。

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(画像は日本経済新聞より)

そして子どもの進学や結婚、退職などのライブイベント表とキャッシュフロー表ができれば、自分や子どもの老後までのお金の見通しが持てます。そこまでできれば得体の知れない不安は姿を消しているかも知れませんね。

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(画像は資産形成ハンドブックより)

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(画像はゆうたんとより)

子どもだけでなく、親側のお金の管理についても教えてくれるなんて便利な本です笑。障害基礎年金など関連する福祉制度も掲載されています。

まとめ

子どもにも親にも役に立つお金に関する情報がいっぱいの本の紹介でした。

お金って大事なのはわかるけれど、「どうやったら子どもが上手く付き合えるようになるのか不安」「将来のお金、親なき後の子どものことが気がかり」「子どもへのお金のトレーニングってどうやったらいいの?」なんていう想いを持った方はぜひ手に取ってみてください。

支援学校の先生方にもおすすめですよー!

前野彩さんのホームページ鹿野佐代子さんのブログ、また鹿野さんが理事をされている親なき後や終活を考えるNPO法人ら・し・さのホームページなどにもセミナーやお役立ち情報などが掲載されていますので覗いてみてはどうでしょうか。

親亡き後については、こちらの本もおすすめです。



表紙の画像はAmazon.co.jpより引用しました。