ルパン三世 カリオストロの城はみんな知ってるけど、カリオストロって何者なのか

日本でカリオストロといえば、宮崎駿が監督したことで知られる『ルパン三世 カリオストロの城』ってことになると思うのだけど、実際いたのですよ、カリオストロという怪しい山師が。

ルパン三世の方は、この実在したカリオストロとは別物ってことになってる。架空のカリオストロ公国の物語ってことになってるんだけど、山師カリオストロを意識しているのは確実なのだ。
今回、読了後にわざわざ見直して見て確信(←暇人か)

そもそも山師カリオストロとは何していた人か??
フリーメーソンに所属する錬金術師にして医者。
精霊と言葉を交わし、
美人の妻を娼婦に仕立て上げ、
美肌になるという美肌水やらを売りさばき、
いく先々で秘術をチラつかせながら
ヨーロッパ中をペテンにかけた稀代の詐欺師。

錬金術とは金を生み出す秘術な訳だけど、まぁできるわけない。
「カリオストロの城」においてカリオストロ公国が偽札作りをしているのも
錬金術や詐欺行為で金を巻き上げていた本家カリオストロへの
オマージュと考えるべきだろうし、
クラリスの部屋にルパンが忍び込んだ後に伯爵が言うセリフにも注目。

可愛い顔をして もう男を引き込んだか
カリオストロの血は争えんな

これが何を意味してるかと言うと、
カリオストロは自分の美人妻を娼婦に仕立て上げ、
行く先々で有力者を誘惑させ、たらしこみ、
協力者&支援者&愛人とさせたのです。
だからその不貞な血を引いている、と言うことを言ってるわけ。

実在のカリオストロはヴァロワ家の血を引くと称するジャンヌ・ド・ラ・モット伯爵夫人が、王室御用達の宝石商ベーマーから160万リーブル(金塊1t程度に相当する)の首飾りをロアン枢機卿に買わせ、それを王妃マリー・アントワネットに渡すと偽って騙し取った典型的なかたり詐欺、「王妃の首飾り事件」に絡んでフランス革命の引き金を引いたとも言われている。

実際は冤罪で釈放されているのだけど、
とにかくいかがわしいことばかりして渡り歩いてきたわけよ、
カリオストロは。
貧しい人には無償で診察する善意の医師として振る舞いつつ、
治らない赤子を引き取って治療すると称して、
健康な赤ちゃんとすり替えて返した、なんて逸話もあるくらい。

そういえばこの首飾り事件は、ルブランもルパンシリーズの
小説の題材として書いている。それも第1作目で。

だから時系列としてはカリオストロがいて、ルブランのルパンが首飾り事件をテーマとして取り上げ、ルパン三世でも映画のモチーフに使われた、と言う流れ。
と言うか、カリオストロがルパン三世のテーマになる
必然がお分りいただけるだろうか。

ちなみに今回初めて知ったけど、
カリオストロの城のノベライズは集英社から出ているんだって。

自分の会社なのに知らんかったわー。
そして更に驚きなのが、、、、後日譚があるのか!!

と、思って買ってみたら・・・
4年後のクラリスが当時を回想するという作りで、
「カリオストロの城」の各シーンをツギハギしたアニメコミック的なページがほとんど。最後に少し制作秘話的なスタッフインタビューが・・・。

思ってたんと大分違うけど、
ルブランの『緑の目の令嬢』と黒岩涙香の『幽霊塔』が
モチーフだったって話は面白かったな。

正確には宮崎駿は『幽霊塔』は黒岩涙香のは読んでなくて、
涙香のをリライトした江戸川乱歩版を読んでいたらしい。

そしてさらにこれを翻案したマンガが出ていて、
これがまたかなり面白いのでおすすめ。


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