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自分をよりよく知って再挑戦 * 通訳のアルバイトを通じて見えてきたこと

こんにちは。
私は今年でドイツ生活14年になります。

学びたいことがあってドイツに来て、語学学校でドイツ語を学び、大学で勉強し、今はベルリンで仕事をしています。

ドイツ生活3年目頃からは生活に困らないくらいドイツ語が話せるようになり、学生ビザの許容範囲で通訳のアルバイトもできるようになりました。

メッセ会場の日本企業のブースで、日独交流のイベントで、スポーツ選手の団体のトレーニング合宿や試合で、手術のためにドイツに来た方の前後の入院中の通訳など、いろいろな場面でお手伝いさせてもらいました。

プロの通訳さんにはもちろん足元にも及びませんが、ドイツ語で人の役に立てるようになれたことへの喜びも大きくて、人伝にいただいた通訳のアルバイトに関しては、ほとんど来るもの拒まずの状態でした。

通訳が間に入ることでいろいろなことがスムーズに進んだり聞けなかったことが聞けたり伝えられなかったことが伝えられるようになったり、何より異国で安心して過ごせると、そうやって喜んでもらえることは私とっても本当に嬉しいことでした。

将来日本を代表するスポーツ選手になるであろう子どもたちが海外遠征としてドイツに来ていたときには、練習や試合が円滑に進むためのお手伝いは全て喜んでさせてもらいましたが、飲み物の注文や他の国の選手との交流などは、勇気を出して自分で話してみよう、と後ろから見守っていました。

通じたときの嬉しそうな顔や、自分でやってみることで少しずつ自信がついてきている様子を間近で見られるのは、本当に本当に嬉しかったです。

内容によっては、これまで触れることのなかった新しい分野に関することを学ぶことができるのも、通訳のお仕事の魅力的なことのひとつだと思います。

しかし、他のどんなお仕事とも同じように、楽しいことばかりではもちろんありませんでした。

私は、自分が思っていたよりも「"NO"が言えない日本人」だったのです!

「通訳を介することで自分では聞けないことが聞ける」
というのは、裏を返せば、
「自分では聞きにくいことも聞いてもらえる」
ということであることも少なくはなく。

クライアントさんたちと一緒のホテルに泊まっているときには、
朝早くから「タオルが足りない!」だったり、
夜中に子どもたちが来て「部屋から締め出された!」だったり。

術後のクライアントさんが精神的に不安定だったときには、そのサポートで自分の精神状態もおかしくなりそうになったり。

団体さんの数名が用意して来たユーロが足りなくなり、私が銀行に走り現金で両替をしたり。

。。。。。。

通訳とは、必要なときに言葉を訳して伝える、ということだと思っていたのですが、油断していた私は、気が付けば何でも屋さんになってしまっていました。

言葉が通じない異国の地にいるということは、一日中、何をするにしても、言葉の弊害があるのはもちろんです。

そこに、「私にできることはいつでも何でも言ってくださいね!」という通訳さんがいれば、何かあるごとに頼るのはごく自然なこと。

アルバイトだったこともあり、労働時間や内容を事前にきちんと決めていなかったのも原因です。

どこで線引きをしていいのか全く分からなくてなってしまっていました。

更に、ドイツの人たちに日本人のことを悪く思われたくなくて多少のわがままや無茶なことなどもオブラートに包んでドイツ語に訳したり、日本の人たちにドイツのことを悪く思われたくなくて丁寧な言い回しにして日本語に訳したり、誰にも頼まれてもいないのにどちらの側にも気を遣いクタクタのへとへとに。

その結果、みんながどう思うかは私の問題ではないのだから、気を遣うのはやめて、言われたことを右から左へ、左から右へ、機械のように訳しよう、と考える対策をとってみたこともありました。

また、これは通訳あるあるだと思うのですが、ドイツ人がちょくちょく間に挟んでくるジャーマンジョークのようなものを日本語にどう訳したらいいのか、そもそもどこまで訳すべきなのか、でもなぜ私がドイツ人と笑っているのかを訳さないのは失礼だし、訳しても笑いに時差が出るし。。。んー、なかなか難しい。


通訳の勉強をされているプロの方たちは、いろいろな場面での対応の仕方や心構えなども勉強されているのでしょうか。
それも本当に大切なスキルのひとつなんだと思います。

私は無鉄砲にやってしまったために何でも屋さんになり力尽きてしまって、
「私には向いていないんだ。。。もうやらない。。。」
とそっぽを向いてしまいました。

通訳はもちろんとても大変なお仕事だとは思うのですが、必要以上に面倒な状況を作ってしまったのは私自身。

大変だったけど、たくさん学ばせてもらったし、今となってはどれも楽しい思い出です。通訳を通じて知り合って今も連絡をくれる人たちも多くて、出会いには本当に感謝です。

そっぽを向いてしまってから数年。

今、過去の経験を生かして、近々また日本からドイツに自由に来れるようになるときを心待ちにしながら、子ども連れ家族のためのガイドツアーやガイドブックには載っていないベルリンの遊びマップを準備中。
とってもワクワクしています。


自分にはできない、向いてない、と思ってしまうことも、一度少し離れてみて、考え方ややり方をちょっと変えてみるだけで、とっても楽しくできるようになるかもしれません。


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