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web3・ブロックチェーンを活用したビジネスの今を語る

最近我が国日本で、web3・メタバース・ブロックチェーンなどといった言葉を、目にする機会が増えたように感じます。昨今では、日本政府もweb3を世界への成長戦略として注目していることが話題になりました。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02053/051200004/

そこで今回は、web3・ブロックチェーンといったテクノロジーが、この先我々にどんな未来をもたらしうるかを、web3事業家として最前線で精力的に活躍されている方々にお聞きしました。

【ゲストスピーカー】
藤本真衣氏 ( https://twitter.com/missbitcoin_mai )
intmax, cofounder/Japan Blockchain week運営/GMO Web3株式会社 取締役

エンジェル投資家としても活躍。
以下、”真衣さん”と表記いたします。

山本純矢氏 ( https://twitter.com/yamamoto_junya )
Scalably inc.代表取締役

コミュニティに重点を置いたブロックチェーン関連事業を、日本のみならず、東南アジアなどで幅広く展開している。
企業や大学などの、web3参入の一歩目をサポートしている。
以下”ヤマさん”と表記いたします。

のぶめい氏 ( 高橋 信行氏 )  ( https://twitter.com/nobu_mei )
SUSHI TOP MARKETING株式会社 COO
NFTを投機対象ではなく、NFTを使った実用的で面白いプロダクトの開発を行っている。

※藤本真衣さんは体調不良のため、オンラインでの参加となりました

ーーここ最近、2018からの5年間で暗号資産である、ビットコインやイーサリアムの価格は大きく上昇し、より多くの人々が暗号資産やその基盤となるブロックチェーンというものに関心を持つようになったと思います。2018年からのここ最近5年間で、真衣さん自体にどんな変化があったかお話をお聞かせください。

真衣さん
最初に、これが私のweb3プロフィールです。ご覧ください。

まずはDAOに所属するようになりましたね。”Glimmer DAO”や”GCR DAO”はいわゆる”investment dao”と呼ばれるもので、そこに集まった人たちで投資を行い、それにより生じた利益も分け合おうという感じです。これは2018年には考えられなかったですね。
FarcasterやLensはweb3上のSNSですね。既存のTwitterとは違う進化を遂げる可能性があるので要注目です。
NFTのコレクションも色々所有するようになって、ここにあるのはその一部です。2018年ごろは、Crypto KittyというNFTを一つ持っていただけだったので、今現在の複数のNFTのデジタルアートを所有している状態は、かなり大きな変化ではないでしょうか。
私が2018年に立ち上げたNonFungibleTokyoというイベントは、当時は小部屋で60人くらい集まるだけの小規模カンファレンスでした。今では渋谷のスクランブル交差点に広告を打てるようになるくらい、グローバルなカンファレンスに成長しています。ちなみに今年も6月22日に国際フォーラム開催しますので、興味のある方はぜひお越しください。

ーー投資家としての真衣さんは、今のweb3・ブロックチェーンの現状をどう見ていますか?

真衣さん
私は、カンファレンスを主催したり、エンジェル投資家として、STEPNやAXIEやYIELD GUILD GAMESなどに投資しながら、その一方でintmaxという新プロジェクトのfounderとして、また、GMO関連の子会社のweb3関連事業の取締役も務めております。このように様々な肩書のある働き方がweb3的だと思いますね。それぞれの仕事の経験が自分の中で相互作用しあって、役に立っていることが非常に面白く感じます。
数年前までは、Polygon、AvalancheといったETHキラーと呼ばれるL1のチェーン間の競争が激しかったのですが、L1とL2の棲み分けが落ち着いてきて、最近はイーサリアムのL2の開発競争が激しくなってきています。その中で私たちintmaxも開発を進めている最中です。
イーサリアムは昨年Mergeという大きなアップデートがありました。アップデートの要点は大きく二点あります。まず、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムが、POWからPOSになり、チェーンの維持に必要なエネルギーが99%セーブされ、環境にやさしいチェーンになりました。それにより、ESGにチェックポイントを置いている投資家にも注目されるようになりました。
またイーサリアムは、今まではインフレ型通貨でしたが、このアップデートで市場に出回る枚数が抑えられる設計に変化しました。2023年の3月には上海というアップデートで、ステーキングの制約の幅が小さくなります。これにより、今までイーサリアムのステーキングをしていた人が、ステーキングを解除するか、制約がなくなったことでイーサリアムをステーキングするユーザーが増えるのかは、神のみぞ知ることですが、それが投資家に注目されています。
イーサリアムのL2は、イーサリアムの分散性・セキュリティを保ったまま、スケーラビリティ・拡張性を向上できるのが、素晴らしいポイントです。なお先述のイーサキラーのL1チェーンは、ユーザーの需要に応えて、スケーラビリティ・拡張性を優先するために、分散性・セキュリティを犠牲にしている場合があります。
ブロックチェーンの良さを生かしたまま、取引手数料が安くなり、大量のトランザクションを処理できるようになっているのが、L2の強みです。

ーーDAOについて、以下の表を引用したのですが、補足するポイントがありましたら、お聞かせください。

のぶめいさん
先ほど真衣さんがコンポーザビリティの高い仕事をされている、という話がありましたが、DAOでは、代替可能性が重視されるような、すなわち、腐ったパーツは取り換えればよいという発想の仕組みで成り立っています。それによって、雇用の流動性が高くなっていて、フリーランスの集まりのようなイメージを持つと良いかもしれませんね。

真衣さん
私が2つのDAOに所属しているように、所属先は、一社じゃなくて良いんですね。参加したければ参加できるし、やめたいなら辞められます。DAOに参加する人も、理由はそれぞれで、私の場合はお金儲けより、様々なビジネスに役立つような有益な情報をもらう場所と考えています。よく議論されるDAOそのものの定義よりも、自分が何に対してモチベーションを感じて関わることができるか、が重要だと思います。

ヤマさん
オープンに掛け算をしていくのが、いまの時代の働き方なんだなというイメージです。一人でできることは限られていますが、DAOではそれぞれのできることを掛け合わせることで、新しいアウトプットが産まれることがあります。個人の裁量が限定される従来の組織の働き方とは、変わってきていますよね。

ーーweb3が普及していく中での課題やキラーコンテンツは何だと思いますか?

真衣さん
Gamefiだと去年あたりは、AXIEでのスカラーシップ制度が盛り上がってましたね。AXIEの初期投資額は10万円ほどで、東南アジアの人々には高額すぎたため、AXIEのNFTを持っている人(我々)が持ってない人に貸してあげる代わりに、稼ぎの一部を貸し主(我々)に分配するという仕組みでした。今は少し下火になっているようですね。
ちなみに、これからは日本の大きな企業もGamefiに参入してくる予定です。クオリティが高く、面白い、日本初のプロダクトが、今後は見られるかもしれませんね。

のぶめいさん
投機的なものだけではなく、面白いゲームが出てくると良いですね。AXIEもスカラーとして雇われて稼げた現地の人たちの喜びの声が伝わってきて、NFTを介して価値交換やコミュニケーションが、グローバルレベルで生まれているのが、素晴らしいですよね。

ーーweb3によって、今後生まれる新しい職業ってありますか?

ヤマさん
すでに個人クリエイターがだいぶ表に出てきていますよね。今“職業の分解”が起きていて、今までは会社に所属して給料をもらっていたのが、いまでは自分の活動が市場にダイレクトに出ていって評価される、と。お金の流れが変わっていますよね。Youtuberやuber eatsなどが例として挙げられます。様々な分野でこのような変化が起こっていて、個人でできる専門職が、新しい職業として細分化されてきていますね。

のぶめいさん
ちなみに、NFTはマッチングアプリだと思ったらよいです。ウォレットに入っているNFTで、その人の思想や価値観を推し量ることができるという発想です。その時点で、コミュニケーションが省略されるのが、魅力的であると感じます。

ヤマさん
情報をひたすら最前線で追う、情報を分かりやすいまとめることに特化している、体験情報を説明するなど、それぞれの一点突破型の働き方も、生まれてきていますね。例えば、今までは会社のカスタマーセンターでやってたことを、ユーザーがやるようになってきているんですね。すでにクリプト関連でそのような仕事で飯を食べている人も、何人か知り合いにいますね。

ーー"why blockchain”~ブロックチェーンを使う必要はあるのか?~という問いに対して、どう考えますか?

のぶめいさん
三者以上でやり取りするときや、改ざんされて困るようなものを扱う時は、ブロックチェーンを使うのが良いと思います。また、ネットワーク効果が重要視される領域だと思っています。

真衣さん
逆にブロックチェーンと相性が悪い部分について回答すると、ブロックチェーンでは、オンチェーンに刻まれたものの追跡には、非常に効果的ですが、物理的な要素が絡むと、そこが弱点になりうることは覚えておいて良いと思います。

ヤマさん
あるプロダクトのブロックチェーンに乗せる前後の管理をどうするか、でしたらビジネスモデルの更なる分解が必要で、パーツごとに整理して、要不要を考えるとわかりやすいと思います。

のぶめいさん
履歴が価値になるか?を考えると、分かりやすいかもしれません。これからは“長さ”、すなわちブロックチェーンに刻まれた時間的価値が、評価の対象になると考えます。

ーー皆さんがビジネスにおいて心がけていることは何ですか?

ヤマさん
人がやりたくないことを、プロセスを分解して、どうやって簡単にやってのけるか、に焦点を当てています。

のぶめいさん
めんどくさいことをできるだけ、簡単にできるようにしようと考えてます。web3プラットフォームはまだまだ煩雑なものが多いため、それをいかに簡単なものにするかという発想が重要です。

真衣さん
みんなが平等に使いやすいことを目指しています。intmaxでも生体認証ウォレット、すなわち指一本の指紋で作れるようなプロダクト開発に取り組んでいます。取引手数料を安くする努力をしているのも、その一環です。去年のイーサリアムのガス代高騰時には、一回のトランザクションで数万円単位の取引手数料がかかった時期がありましたが、それだと使える人に偏りが出てしまう。それはブロックチェーンが思い描いていた未来ではないはずです。

ーー最後にweb3業界で働く上での、スキル・マインドを教えてください。

のぶめいさん
私の書いた、「Web3.0の教科書」はかなり良くまとまっていると思います。ぜひ手に取ってみてください。この本の内容は、知人からweb3について聞かれたことがきっかけで、数年前から配信している、メルマガをまとめたものになります。

ヤマさん
“枠組みにとらわれないこと”ですかね。web3は人類が今まで足を踏み入れたことがない新しい領域で、それと今の社会を掛け合わせて何ができるのか、をみんなで考えていくセクターです。自分がどういう事をしたいのかによって、かかわり方が異なりますが、未知の分野故、解がないので、それに対して恐れない姿勢が、絶対条件です。挑戦をすればするほど、新大陸の発見のような、非常に面白い未来が待っていると思います。

真衣さん
日本人ではなく、地球人というようなマインドで考えることが重要ですね。web3業界では、グローバルにつながる感覚を味わう機会が多いと思います。このことは、私自身が、プロジェクトを運営する身として実感することが多いです。日本を誇りに思うのは良いことですが、日本人というマインドのままでは、絶対に成功しないと思います。

本日はweb3・ブロックチェーンについて、現在最前線で活躍されている事業者の三方から、様々な角度から切り込んで話していただきました。この分野は、今後ももっと盛り上がっていくでしょうし、引き続き、注目していきたいですね。


ライター ビーム @beam__dr
meetALIVE プロデューサー 森脇匡紀 @moriwaking
meetALIVE コミュニティマネージャー 小倉一葉 @osake1st

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「毎日をより楽しく、世界をより豊かにしよう!」と挑戦を続けるイノベーター達と語らう企画を用意しています。

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