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詩作 凡庸なる自然たち

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言葉を並べて、詩と謳った凡庸な表現たち。 そこに映し出されるものだけを切り取っている。
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2023年8月の記事一覧

詩 巨大なるもの

根っからの文字集まりに参集されていた 採集される様々は、愛として 図らずも眠気の目を抓む …

釘
10か月前

詩 慌てふためく月

憑き物が落ちたかのように泣いてしまっていた 続き物の悪夢ばかり見ていたから、燃えるごみの…

釘
10か月前

詩 公平な人生

ぼくはなめくじだろう 僕は蛞蝓の中だろう  痒いようなひりつく  つまらない緊張に絆され…

釘
10か月前
3

詩 汗ばんだシャツ

ねえ、あの人 どうかしていない この雨に暑さに 降り頻る我に吾に 疲れ切った顔は何も言わず …

釘
10か月前
2

詩 育つ瓦礫

どこからともなく声がしていた 金属が軋むような音 いつまでも続く それとなく 岩場の美しい…

釘
10か月前
4

詩 新たなる国

 熱のうねる 狂ったように奴隷は  初の毛髪 祈りに燃やされ  この更地、イドに太刀並べよ…

釘
10か月前
1

短編 残響

 あの涼しげな場所も、冬の暖かな雰囲気も、おしまいになっていく。  規定されたさまざまな粒度をもつ評価の集い。生まれながらにして能力に差はあるから、それに見合った群としてそれ以外の華やかなものを求めし。  響きあったものは学舎の破壊によって何もかもが無くなった。  だからもう、あの廃屋から数多の無敵だった頃を思い出す事はないのだろう。 「大人になったから、もう響くこともない」  山の中腹にある寄宿舎兼学舎、必ず誰かが屋上の鐘を鳴らして朝と夜が繰り返し始まる。ここにいる全員