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第178話 愛と憎しみとツインレイ


 それから間もなく、けーこは私のことを“ちゃんづけ”で呼び始めた。どういう訳だか彼女にとっての『愛すべきコンテンツ』と化してしまった私はしばらくの間、シリウスのあれやこれやを話して聞かせた。

 自分たちが住んでいた場所は本当に田舎だということ。小川が流れていること。虹も出ること。夜空もあること。編み物の文化があったということ。リトは茶色いチョッキを羽織っていること(ベストと呼ぶより、左右の身頃を真ん中で結ぶための紐がついていて、チョッキと呼ぶ雰囲気が合っていた)。リトはいつもまんまるきのこカットで、おそらくおばさんに当たる人が髪の毛を切ってくれているということ。それからミトは、父を助けるために戦地に向かうという苦渋の決断をしたこと……。

 それらをすべて、けーこは喜んで聞いてくれた。彼女と散歩をしながらそんなことを喋る時、無意識のうちに長い草をむしってうっかりブンブン振ってしまった。小さな男の子が棒切れを持ちたがる習性が出てしまい、私を通したリトが小出しにけーこに甘えている。

「おうクソ坊主、葉っぱ振らないの。
まぁでも私、アカシックは視ないからさ。ひみちゃんから過去世の話聞けて嬉しいよ。」

 そんな風に言ってもらえて、自分とは違うアセンションのやり方であってもようやく本当の意味で許容することができた。それに、私とあきらが音楽ホールに行っていた同じ時期、けーこはけーこで神社を訪ね、着々と彼女の道を歩んでいた。

 それらのことは、自分の方法だけが唯一の正しい『世界』ではないのだと“自分の尺度の小ささ”に気がつくことへと繋がり、するとそこからさらに巡って、私という存在の“視野の狭さ”を意外な人物から教わることへと繋がっていった。

……

 リトが以前より大幅に軽くなったことで、彼、スサナル先生の深い場所から再び闇感情があがってきた。

 お前を殺したい。お前を呪いたい。
お前が信用できない。お前のことを許せない……。


 浄化に伴う肉体の苦しさが増していく。大量の光を流せるようになったことで、呼気として闇が抜けるとそこから一気に高血圧になり、続けて低血圧になる現象が現れてきた。そのたびに視界が朦朧として、頭がクラクラと痺れている。
 すると先生のエゴセルフから、こんなことを尋ねられた。

「お前はつらくないのか。」

「私も苦しいけど、あなたの苦しみに比べればなんてことないわ。私はあなたを愛しているのよ。」

 スサナル先生の重たい憎悪感情に比べたら、自分の苦しみはぬるいと思ってそんなことを答えると、明確に彼のエゴセルフから「それは違う。」と言われてしまった。

「そうではなくて、俺を好きなお前のことを、“お前”が大切に愛するんだよ。」

 そう言われてからようやくわかった。

「お前を許せない」も「お前を愛したい」も、その時お前と言われている“私”とは、彼にとってきっとぼやけたものなんだ。

「自分は『お前を許せない』って言ってるけど、自分は『お前を愛したい』って言ってるけど、
けどきっと“今のお前”には、自分からの言葉はちっとも響いてないんだろう。こいつには何も伝わってないんだろう。」って、そんな風に思われている。

 スサナル先生が本気で愛したい私とは、何ものにも流されずに自分らしくいる自分のことを、自分で愛している私。『自己愛で満たされた私』のことをこそ、彼は愛したいんだと気がついた。
 なんと彼が待ち望んでいたのは、『究極的には彼がいようといまいと関係なく、自分らしくいられる私』そのものだったのだ。


 まっすぐに、スサナル先生に見つめられた。ようやくか、やっと気づいてくれたのかと、そんな意識に射抜かれると、その夜二つの不思議な出来事が待っていた。




(参考)
けーこ記事『制限をかけているのは自分自身』


written by ひみ

⭐︎⭐︎⭐︎

実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

⭐︎⭐︎⭐︎ 

本当に、時々エゴセルフという存在には驚かされます。

『そうではなくて、俺を好きなお前のことを、“お前”が大切に愛するんだよ。』

もちろんエゴセルフにも螺旋状に高い低いはあるんですが、だからこそ、彼らをちゃんと尊重すればこそ頼れる強力な味方になってくれます。
この時もまさにそうで、もっと低い場所にいる彼の憎悪感情を私に『通訳』して教えてくれました。
「なぜ俺の中の低い感情が許せないって怒ってるかわかってる?お前がお前の芯を大事にしないでどうするの!」って、その意味を込めて上に書いたセリフとして、こちらの私に気づきを与えてくれました。
「(ツインレイの)彼がこう言ったから自分もそう。彼が右と言えば右、白と言えば白。」ってなってしまうと、自分としての主体性は不在ってことですよね。
彼は、そんな状態、自分軸不在の人間を愛したくて私を作り出したわけではないと、それを私に伝えたかったんです。

それに単純に、こんなこと言われて嬉しい笑
私の一番のツボは彼なので、このセリフに一番喜んだのもまた、彼のツインレイ女子としての私のエゴセルフだったりするんですけどね。

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←今までのお話はこちら

→第179話 ツインレイという信頼関係

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