シングルマザーになるときに選んだ仕事

夫とは離婚をすることにしました。

シングルマザーになるわけなので、自分ひとりで稼いだお金で、子供を育てて生活をしていかなければなりません。
どんな仕事をしようか?などと、特に悩みはしませんでした。

最初から候補は2つありました。
廃棄物運搬をする会社か、自分の特技を活かした仕事。

廃棄物運搬の仕事は、その仕事の会社で働いていたときに社長に、
「あんたもこの資格とってこの仕事するといいよ。人間は必ず死ぬんだし、死んだ人の家なんか片付けるのみんな嫌なんだから、仕事は永遠にあるんだよ。」と、何度も聞かされていました。
実際にその会社で働きながら「なるほど」と実感していたので、
離婚を決めるより前に、産業廃棄物収集・運搬の資格試験を受けて、合格していました。
その試験は事前に数時間の講習会があり、おそらく試験に出るであろう大事なところを説明してくれ、次の日に試験がありました。
けっこう年をとった男女が受講にも受験にも来ていました。
また、その仕事をするためには、古物商の許可が必要だとかで、社長は
「警察署に行って、許可が欲しいんです、って言えば紙に何か書いて、それでもらえるから」
と、言っていました。

もう1つの仕事候補は、自分の得意なことを人に教える仕事です。
以前にお金に困ったときに、そのときに住んでいた家の近所で教室の看板を見つけ、雇ってもらえないかと電話をしてみたことがありました。
教室の先生は
「ご自分が習ったお教室でお願いしてみて下さい」
とおっしゃいました。
つまりは断られたのです。
実家のある県とは違う県に住んでいたので、私の先生にお願いすることは不可能でした。

離婚後の仕事についての話を母にすると、公務員の母は
「ちゃんと安定した会社で正社員で働いたほうがいいんじゃないの?
そうすればボーナスだってもらえるんだし。」
と軽く反対はしましたが、絶対に反対!!!という反応でもありませんでした。

正社員としてどこかの会社で働く気など、さらさらありませんでした。
高校を卒業してすぐに入社した会社では、手取り12万円ほどしかお給料をもらえませんでした。残業してやっと13万円くらい。
ボーナスはもらえましたが、バブル時期とその後の差額は大きく、
同じ仕事内容なのに、世の中の都合でそんなに変わってしまうことが馬鹿馬鹿しいと思っていました。
それに、高卒の私は、どんなに仕事を頑張っても、
雑用が他の人より早く丁寧に出来る程度で、それが上司に評価されたり、
お給料アップにつながることはなさそうでした。
野心のある私は、頑張ったら頑張っただけ誰かが評価をしてくれたり、
高収入を得られるような仕事がしたかったのです。
それに、その頃の会社というのは、有給休暇などを取得することも、
遅刻や早退をすることも、とても大変でした。

貯金はなかったので、仕事を始めるための準備資金にお金がかからない方にしようと思い、まずは市役所に行って、産業廃棄物の仕事を始めるために必要な手続きや道具について聞いてみようと思いました。

すると、市役所の人は
「今は新規で廃棄物収集・運搬業の許可申請はできません」
と言いました。
現在登録されている会社だけで、市内のその仕事は賄えているというのです。
「じゃあ、今後どこかの会社がやめたときに、そこに入ることはできますか?」と聞いてみると、
「どこかの会社がやめたら、今登録されている会社だけでやることになります。とにかくキャンセル待ちのようなことは出来ません」
と言われてしまいました。

あの社長…資格さえ取れば誰でも簡単に始められるようなこと散々言って思い込ませておいて…
自分で出来ないのなら、資格も必要なかったわけです。
受講・受験料がいくらだったか忘れてしまいましたが、数万円は支払いました。

まあでもいつか何かの役にたつかもしれない、と、そのときは思いましたが、役に立つことはありませんでした。
【資格の有効期限は5年】と書いてありました。
私は、その資格が運転免許のように、
届けさえ出せば更新出来ると思っていたのです。
5年後に「更新したいのですが」と行ってみると、
それは更新など出来ない、取ったら取りっ放しでただ有効期限があるだけの資格だったのです。
じゃあ、そもそも、そんな資格の募集するなよ…と驚き、腹が立ちました。
一緒に受験をしていた人達は、何のために必要で受験していたのでしょうか…?


そんなわけで、
自動的にもう1つの候補だった仕事を選ぶことになりました。

離婚する頃には地元に戻っていたので、早速自分が教わった先生のもとを訪ねました。
事情を話すと
「自分でやるのとそれを人に教えるのは全然違うから、教え方の勉強をしに通ってみたら?」とおっしゃって下さいました。
そこの教室は、下校後の小学生を対象にしていて、
平日は毎日やっていたので、私も夕方毎日通いました。
子供達も連れて来て一緒にやらせてもいい、とのことだったので、
ときどき一緒に連れて行きました。
自分が新しく教室を始めるためには、パソコン1台とプリンターくらいがあれば十分でした。
教室を開く場所については先生が
「市営や県営の団地の集会所を借りると安くすむし、子供も集まるよ。」
と教えてくれ、友人のつてで運よく借りられる場所が見つかりました。
1日午前中1,000円、午後1,000円、ということでした。
午後しか借りる必要がなかったので、1日1,000円を1ヶ月まとめて月末に支払うということになりました。

その頃パートで一緒に働いていた教室近辺の友人に、生徒募集のチラシを渡すと、そのまた友人達に声をかけてくれ、生徒もすぐに数人集まりました。
もちろん、ポスティングもして歩きました。
その辺でその教室が珍しかったのか、口コミでどんどん生徒が増えました。

子供達が下校するまでの時間…つまり夕方までは、それまで働いていた飲食店でパートも続けることができました。
パートの仕事はもちろん希望シフト制ですし、自分が始めた仕事は自己都合でお休みすることもできました。
学校行事のために、誰かに気を使ったり遠慮したりせずに休むことができ、子育てをしながらするには良い仕事であったと思っています。



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