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障害を持つ方へ美容医療ができること

自分から自分のやりたい美容の情報を見つけ、自分が好きなようにケアをして・・・当たり前のようにそれらができない人がいます。

ボディポジティブがムーブメントを起こし、ありのままの自分を愛することが賞賛される時代ですが、不健康で怠惰な日常を送っている状態で「ただ私を愛して」という人はいません。
皆必死に自分なりの美しさを探し、自分のボディイメージを受け入れることで社会にでていきます。

美容医療はこの多様性の時代のために生まれたと言っても過言ではありません。
メスを入れ、骨を削り、顔を作り変えて別人になるような美容整形は美容医療のほんの一部にすぎません。

もともとは戦争で傷ついた人の社会復帰を促すために生まれた医学から発展してきました。
見た目だけでなく、機能もそして自信も回復させることが本当のゴールです。

そして特に今の美容医療を利用していただきたいと私が思っているのが社会で活躍していきたいと思っている障害のある方です。障害のある方と書きましたが、医療に携わる我々は障害の有無も連続であることを一番知っているので、本来その括り方は違和感があります。行政が定める基準に則って障害者手帳をお持ちの方としてもよいかもしれません。

その中には冒頭に書いた通り、自分で思うようにケアができない、情報を取り入れることができない方がいます。
障害を個性と捉え社会で活躍している人たちはただ心が強いのではなく、他者の目を意識し、柔軟に変化していける人たちです。
それは障害の有無だけでなく、一見健常と言われる人たちにとっても必要な感覚です。
内面を表現する外見を健康的に整えていくことで本人が本来持っている美しさを医学的に引き出していき、自信を回復させ維持させることが現代の美容医療です。

フィラーなどの異物を入れることはありますが、それも今のやり方はただ膨らませるのではなく、減ったところを補う、下がった部分をもともとの位置へ戻すあるいは支えるためであったり、自分のコラーゲンの生成を促すために注入することがほとんどです。
アプリで修正したように毛穴を消すことはできませんが、薄い化粧でカバーできる程度に引き締めることはできます。
完璧はあり得ませんが、本人の自然な美しさを引き出していくことが今の医療で可能です。

また、他人に肌を触ってもらうことも大切なケアの一つです。
人に皮膚を触られることで、オキシトシンというホルモンがでて、非常にリラックスした状態を作り出します。社会で競い合い交感神経が優位な人ほどこうしたケアが身体と心に必要です。
非常に繊細で、些細なことと一般的に思われる刺激もつらい方がいます。
美容医療はもちろん痛みや光を伴うものも多いです。
ですが、医療機関ではありますので、その方の特性に合わせて治療を選び、また何か起きた時の対処も安心です。

私のクリニックでは障害者手帳をお持ちの方が美容医療を取り入れやすいように、割引制度も取り入れています。おそらくそういったことをしている美容クリニックはまだまだ少ないかもしれません。
でも、その制度のおかげで今まで敷居が高かった美容医療を受けようとする障害のある方の受診が増えてきています。
肌が綺麗になることの効果をよくご存じで、非常に熱心に通ってきてくださる方が多いです。

また、介護の現場ではいろいろな“名もなきケア”が存在します。自分で髭剃りができない方の髭剃り、乾燥からかゆくなる方の保湿剤の塗布、爪切りなど・・・

障害があるからといって美の追求をあきらめさせてはいけない、と私は思うのです。

これからももっとずっと自分らしく美しくあることのできる医療を行っていくつもりです。

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