【ドローン1対多運航】Wing社50機ワンオペ認可取得(世界と日本の差が拡大)
世界のドローンデリバリー業界を牽引するAlphabet(Google)傘下のWing Aviation社(以下、Wing社)はメルボルンへのドローンデリバリーサービス拡大に際してオーストラリア政府から1人のオペレーターで同時に最大50機のデリバリードローン(配送用UAV)を運航させる認可を取得した。
情弱な衰退途上国かつドローン後進国である日本のメディアはドローンデリバリーというと馬鹿の一つ覚えでAmazon社(Prime Air)やZipline社を引き合いに出すが、実際にドローンデリバリー業界をリードしているのはWing社である。
Wing社のドローンデリバリープラットフォームはロジスティクスオートメーションソフトでドローンフリートが効率的に管理された分散型の自動システムであり、これまで同社のオーストラリアにおける1対多運航は1人のオペレーターで同時に最大15機までとされていたが、今回の許可で3倍以上の50機に拡大された。
これによりプラットフォーム本来の効率性が活かされるようになり、ドローンデリバリー運用コストがさらに低減されることになる。1対1運航ベースの稚拙なアーキテクチャしか想像できない所為なのか日本には「ドローンデリバリーは採算が合わない」「コストが掛かる」などといった思い込みによるデマが根強く残っているが、実際は低コストでエネルギー効率が高く、環境負荷(環境負担)の少ないエコでクリーンなロジスティックスである。
世界の1対多運航
ドローンの1対多運航は今回Wing社がオーストラリアで1対15機から50機に拡大。同じくオーストラリアでは世界の医療物資ドローンデリバリーサービスを牽引するSwoop Aero社が1対5機の同時BVLOS運航認可をオーストラリア民間航空安全庁(CASA)から受けている。自律型ドローンによる自動警備・モニタリング・点検システムではPercepto社がアメリカ連邦航空局(FAA)から1対30機の同時BVLOS運航認可を取得している。もちろん、これらは実用化・社会実装されているものであり、単なる実証実験ではない。
ドローンフリート管理ソリューション
自社プラットフォームのUTM(ドローン運航管理システム)リンクなどでない場合でも幾つかのドローンフリート管理ソリューションが存在し、それぞれの国や地域の規制において運用されている。
海外の実証実験
自律型ドローンの分散型運航管理としてはハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学(Eötvös Loránd University)の実証実験が興味深く、記憶に新しい。エトヴェシュ・ロラーンド大学による自律型ドローンの分散型運航管理アルゴリズムはシミュレーション上で最大5000機、実証実験においては100機の同時運航管理に成功している。
ドローン後進国日本の現状
翻って日本は規制などを加味するにせよ、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト」(ReAMoプロジェクト)の一環でKDDI社と日本航空(JAL)社が共同で実施した2024年5月15日の実証実験において、遠隔操縦者1名でドローン3機の同時運航に成功したことをマスコミが鬼の首を取ったように嬉々として報道している有様である。
日本企業を応援しているが、稚拙なプラットフォームしかなく既にかもめや社が倒産している。残念だが、今回これでまた端からWing社など海外の優れたドローンデリバリープラットフォームを導入しないとドローン配送事業自体に対する誤った評価や風評被害を招きかねないという危惧がリアリティーを帯びることになった。