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【イオン推進ドローン】宇宙飛行も可能なソリッドステート技術革新

イオン推進(ion propulsion)によるドローン(drone)を開発するアメリカのスタートアップ企業Undefined Technologies社は、次世代サイレント(静音)ドローンのコンセプトとして新しいデザインのイオン推進eVTOLドローン「Silent Ventus」を発表した。

UT社のイオン推進ドローン(UAV)はプロペラなどの可動部のない仕組み(リッドステート)であるイオン推進(ion thruster)を動力源とするドローンであるため環境負荷(環境負担)が少なく、静音性に優れ、大気中と大気のない宇宙空間でも推進できるのが特徴となる。

イオン推進テクノロジー

イオン推進(ion thruster)は「イオン駆動」「イオンエンジン」「イオンスラスタ」「イオンロケット」などとも呼称され、アーク放電やマイクロ波などで推進剤を加熱・電離させて生成したプラズマ状イオンを静電場で加速・噴射することで推力を得るのが一般的である。

そのため従来は真空でしか使用できないが、UT社独自の「AirTantrum」テクノロジーは機体を取り巻くイオンクラウドを活用することで高レベルのイオン推進力を大気中でも発生させることができる。本稿のタイトルで「宇宙飛行も可能な」と謳ったが、イオン推進技術を中心に見るのであれば「大気圏内でも飛行可能な」ソリッドステート推進装置となる。

また、電動で排ガス等を出さないため環境負荷が少なく、ゼロエミッションに貢献する技術である。

■イオン推進技術「AirTantrum」の特徴
①静音性
②ゼロエミッション(カーボンニュートラル)
③大気中でも宇宙(真空)でも推進可能
④ソリッドステート(安全性・冗長性・低メンテナンスコスト)

大気中で使用可能なイオン推進

大気中で使用可能なイオン推進としては、UT社「AirTantrum」テクノロジーの他に、NASAが開発を支援するマサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科(Department of Aeronautics and Astronautics)Steven Barrett教授の研究が知られる。

新しい推進技術開発が加速

イオン推進のようなソリッドステート技術ではないものの、先日はオーストリアCycloTech社の「サイクロローター」(CycloRotor)技術を使用した貨物ドローンのコンセプト「CCY-01」が、CycloTech社とヤマトホールディングス(ヤマト運輸)の共同で発表された。

新しいことに挑戦しなければ革新は生まれない。世界ではドローン(UAV)の新しい推進テクノロジー開発が加速している。


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