マガジンのカバー画像

ドローンが挑む環境問題

14
地球環境への負担(負荷)低減に貢献するドローン(drones)。ドローンデリバリー(drone delivery)による社会全体における環境負荷軽減への寄与では「環境イニシアチブ…
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

【ドローンライトショー】とは何か?

近年、夜空を彩るエンターテインメントとして「打上花火」に取って代わる「ドローンライトショー」(drone light show)が注目を集めている。本稿では「ドローンライトショー」とは何かを概観する。 ドローンライトショーの定義「ドローンライトショー」(drone light show)は「ドローンアニメーション」(drone animation)あるいは「ドローンディスプレイ」(drone display)または「ドローンライトインスタレーション」(drone light

【ドローンデリバリー】が環境イニシアチブ賞受賞

2017年にアイスランドの首都レイキャビクで世界初のオンデマンド商用ドローンデリバリーサービスを開始したオンラインコマース企業Aha社(Aha.is)が、ドローンデリバリー(drone delivery)活用による環境負担(環境負荷)軽減への貢献でSA Confederation of Icelandic Enterpriseの「環境イニシアチブ賞」を受賞した(2021年10月7日付『Morgunblaðið』「Hamborgarar á flugi」)。 商用ドローンデリ

【ドローンが挑む気候危機】森林火災で荒廃した大地の再生

ドローン産業においてSDGsやESG、気候変動に関心の高い投資家からいま最も注目されている業種はドローンによる森林再生(drone reforestation)事業である。先月(2021年9月)もTesla社やSpaceX社に初期から投資しているDBL Partners、Shopify社CEOのトバイアス・ルーク(Tobias Lütke)、Salesforce社CEOのマーク・ベニオフ(Marc Benioff)率いるTIME Venturesなどがドローンによる森林再生事

【韓国】水素燃料電池ドローンなどゼロエミッションで世界をリード

世界初の水素燃料電池VTOL固定翼ドローンを開発したことで知られる韓国の斗山モビリティ・イノベーション(Doosan Mobility Innovation)社の水素燃料電池ドローン「DJ25」が「Drones & Unmanned Systems」部門で、水素燃料電池ドローンによる太陽光発電施設の検査・点検ソリューションが「Sustainability, Eco-Design & Smart Energy」部門でそれぞれ『CES 2022 イノベーション賞』(CES 202

【災害時のドローン活用】ドローンで地震被害状況把握リアルタイム情報収集

【ドローンにパイロットは不要】日本でも全自動ドローン運用開始

日本のグリーンエネルギー企業である株式会社afterFITは今月(2022年2月)18日付のプレスリリース「再エネの低コスト化へ全自動ドローン導入、点検を省人化・コスト削減」で、2022年2月17日から同社が管理する栃木県内の太陽光発電所において全自動ドローンによる点検・監視業務の運用を開始したと発表した。 ドローンによる全自動点検・監視システムafterFIT社が独自に開発したと見られるドローンによる全自動点検・監視システムは栃木県那須町芦野にある発電所(1,924KW)

【乗用ドローン】世界初の「空飛ぶクルマ空港」Vertiport建設開始

Urban-Air Port社(イギリス)と現代自動車(韓国)はイギリスのコベントリー(Coventry)で世界初のゼロエミッションハブとなるアーバンエアモビリティ用Vertiport(垂直離着陸用飛行場)「Air-One」の建設を開始した。 エコでクリーンなドローンと乗用ドローン「空飛ぶIoTデバイス」であるドローン(drone)および「新しい空域」を活用する所謂「空飛ぶクルマ」と呼称される乗用ドローン(passenger drone)あるいはエアモビリティ(air mo

【エアモビリティ】空飛ぶクルマ、乗用ドローン、eVTOLは何が違うのか?

2021年7月、遂に日本のスタートアップが開発した所謂「空飛ぶクルマ」と呼称されるエアモビリティ(eVTOL)が発売された。という一文だけでも「空飛ぶクルマ」「エアモビリティ」「eVTOL」というワードが登場する。 近年、環境負荷(環境負担)軽減に向けたゼロエミッション(カーボンニュートラル)への取り組みとして「Urban Air Mobility」(都市型空域交通あるいは都市航空交通システム)の実用化(社会実装)が期待されている。そのため最近の報道、例えば2021年11月

【空飛ぶクルマ】大阪・関西万博の目玉なのに韓国からも2年遅れ!

【🇫🇷一般航空路で有人初飛行】 Volocopter社などはアーバンエアモビリティ(UAM)の空域統合に向け、完全統合されたVertiport試験運用を開始。乗用ドローン「VoloCity」による有人での一般航空路初飛行を実施。 《Drone taxi take first spin in air traffic near Paris》https://t.co/qtbstJGZOa pic.twitter.com/EefPpWpwte — Iwahori Toshiki (

【イオン推進ドローン】宇宙飛行も可能なソリッドステート技術革新

イオン推進(ion propulsion)によるドローン(drone)を開発するアメリカのスタートアップ企業Undefined Technologies社は、次世代サイレント(静音)ドローンのコンセプトとして新しいデザインのイオン推進eVTOLドローン「Silent Ventus」を発表した。 UT社のイオン推進ドローン(UAV)はプロペラなどの可動部のない仕組み(リッドステート)であるイオン推進(ion thruster)を動力源とするドローンであるため環境負荷(環境負担

再生

【ハイブリッドドローン】最大7時間飛行、可搬重量45kg「Firefly」

ハイブリッドマルチローター(マルチコプター)ドローンの最長連続飛行時間記録はアメリカSkyfront社が13時間4分、スペインQuaternium社が10時間14分と海外ドローンメーカーは軒並み10時間を超えてきたが、アメリカParallel Flight Technologies社のハイブリッドマルチロータードローン(UAV)「Firefly」は最大ペイロード100ポンド(45kg)ながら最大飛行時間7時間オーバー(最大ペイロード45kg積載時は2時間以上)と特異な特徴を持つヘビーリフトPHEMドローン。 山火事防止や森林火災消火活動など災害現場での活躍が期待されており、USDAから助成を受け、Grayback Forestry社などとも提携している。 以前の記事『【韓国】水素燃料電池ドローンなどゼロエミッションで世界をリード』で触れた通り、マルチコプターの推進(駆動)方式としてハイブリッドは最大飛行時間と最大航続距離が一般的にエンジン(内燃機関)、水素燃料電池、バッテリー電動ドローンより長いのが特徴である。現状のテクノロジーイメージとしては「ハイブリッド≧エンジン>水素燃料電池>バッテリー」となる。 ハイブリッドはバッテリーが使用できなくなる過酷な環境下でも作動するので、ハイブリッドマルチロータードローンは砕氷船などに搭載され、北極や南極調査で使用されることも多い。最大ペイロード10kg(5kg積載時でも2時間飛行可能)なフィンランドAvartek Drones社の「Boxer Hybrid Drone」はその代表と言える。 惜しむらくは海外ハイブリッドマルチロータードローンに対抗できる技術力を有する日本企業が存在しないこと。エンジン(マルチコプター)ドローンのアラセ・アイザワ・アエロスパシアル合同会社あたりが新たにハイブリッドを製作してくれれば国際市場でも通用するハイブリッドマルチロータードローンが日本から誕生するかもしれない。

【可変形状ドローン】空中で再構成可能なクワッドコプターは墜落防止に役立つか?

カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)高性能ロボティクス研究所(High Performance Robotics Lab)が2019年に『International Conference on Robotics and Automation』(ICRA)で発表したパッシブモーフィングクワッドコプター(Passively Morphing Quadcopter)と思われる動画『Design and Control of a Midair-Reconfigur

【ドローン】欧州委員会エアモビリティ規制法案を決定: VTOL運航とエアタクシーにゴーサイン

欧州委員会(European Commission)はドローン(UAS)およびVTOL(垂直離着陸)機能を備えたエアモビリティ(manned VTOL-capable aircraft)に関する二次法案パッケージを決定。VTOL運航とエアタクシーにゴーサインを出した。 本法案パッケージは欧州航空安全庁(EASA)が2023年8月に欧州委員会へ提出した「ドローン(UAS)およびVTOL(垂直離着陸)機能を備えたエアモビリティ(manned VTOL-capable aircr

【ドローン】新しい国際航空標準・勧告方式(SARPs)

日本をはじめ世界193箇国が加盟する国際民間航空条約(通称シカゴ条約)に基付き設置された国連専門機関である国際民間航空機関(ICAO)は第231回理事会において19の条約附属書のうち15の附属書を修正(Amendment)、情報管理(Information Management)に関する新たな「航空業務方式」(Procedure for Air Navigation Services)が採択された。これらの修正には「Remotely Piloted Aircraft Syst